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横須賀総合医療センター心臓血管外科

お気軽にコメントいただければ、一般の方の質問にも心臓血管外科専門医が答えます。

iPS細胞で髪の毛を再生させる!!

2019-08-05 20:06:30 | その他


 日本人は特に、髪の毛が薄くなる、もしくは無くなることへのコンプレックスが特に強い国民であることは誰もが否定しないと思います。
 カツラの市場は日本が世界のトップシェアであるとも聞いたことがあります。

 昨日たまたまiPS細胞の応用で最も市場で価値があるのは、自分の細胞から髪の毛を無限に再生することが出来るようになることだ、と確信を持って言う人がいて、なるほどな~って感心してしまいました。いろいろ育毛とか植毛とか、ウィグとかあるけれども、iPSの技術で毛髪そのものを再生することが出来れば一気に解決ですね!

2015年にスタンフォード大学でヒトiPS細胞から毛髪を作る細胞を作り、マウスへの移植を成功させたという報告があるそうです。そう遠くない将来に実現しそうです。Stemson Therapeuticsというベンチャー企業が特許を持っているようなので、投資先として有望かもしれません。




(イメージ:ヒトiPS細胞をヌードマウスに移植して発毛)


参考記事: https://www.sbpdiscovery.org/press/functional-hair-follicles-grown-from-stem-cells


病院内でWifiのサービス導入について

2019-08-05 19:40:51 | その他
 日本は公共のWi-Fiサービスの点において先進国の中でも遅れていると言われています。実際にフリーのWi-Fiを自分で経験するのは、ホテル内、カフェの中、携帯電話ショップの中、学会場などでしょうか?最近は飲食店内でもフリーWi-Fiを提供するところが増えてきました。
 では病院はどうでしょうか?近隣の病院でフリーのWi-Fiを設置しているところが散見されるようになってきました。病院内には、外来患者用のWi-Fiと、入院患者用のWi-Fiとを区別する必要があります。
 
 外来患者さんは病院の長い待ち時間を少しでも快適に過ごしてもらうため、という目的でサービス向上の一つです。
 もちろん入院患者さんには入院生活を少しでも快適にすごしてもらう、という目的もありますが、こちらは、消灯台一台一台に設置されていて、テレビカードが不要な代わりにWi-Fiがつながるようになっているものを導入している病院もあるようです。

 市立病院としては、万が一、病院の経営が悪い場合に、病院がコストを払って無料で患者サービスを提供する矛盾を議会などで指摘されるリスクもありますので、入院患者さんに対して消灯台を利用した場合の個別サービスとして実費負担してもらうのが現実的とも思います。使う人だけが支払うのが合理的のようにも思います。個別にルーターをレンタルしているサービスを提供しているところもあるようです。

 快適な入院生活の一つとしてインターネット環境を整えることもこれからの病院には必要と思います。

血管吻合は解ける糸で縫うんですか?

2019-08-05 04:11:37 | 大動脈疾患
 大動脈瘤の手術を受ける患者さんのご家族の質問です。
「血管を縫うのは溶ける糸で縫うんですか?」

 たいへんいい質問です!
 血管吻合は、吻合した後に圧がかかる場所でもあるので、糸が解けた後に吻合が外れてしまっては困ります。よって、正解は解けない糸で縫います。実際にはポリプロピレンのモノフィラメント糸(一本の繊維でできた糸)、または複数の細いポリエステル糸を寄り糸にして出来たものなどを使います。これらの素材は生体内では変化しないので、何十年経過してもその吻合部にとどまります。これらの糸の素材は生体内で全く変化しないのが特徴で、外もありません。人工血管の場合は時間が経過すると自己組織が入り込んでいって一体化し、あとで吻合部が外れたりしないような構造になっていきます。

 昔、刑事コロンボという映画で、冠動脈バイパス術の際に、故意に短期間で解けてしまう糸で吻合して術後に吻合部が外れて突然死させる、という殺人事件をテーマにしたものがありました。今から思うと、すごいストーリーです。


 「じゃあ、抜糸はいらないんですね!」と言われ、「その通りです!」とお答えしましたが、一度人工血管を腹部大動脈に吻合し、その後しばらくして、吻合に使用した糸を抜糸するって頼まれても不可能です!!
 一方、皮膚や腹壁を縫合する場合は、溶ける糸=吸収糸を使っています。ですので、手術創に関しても抜糸は必要ありません。最近は抗菌性のある吸収糸を使用することが多くなっています。