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横須賀総合医療センター心臓血管外科

お気軽にコメントいただければ、一般の方の質問にも心臓血管外科専門医が答えます。

心臓血管外科における働き方改革

2019-04-27 12:17:46 | 心臓病の治療
 心臓血管外科といえば、重症の患者さんを扱い、また術後のきめ細かい循環、呼吸管理を必要とするため、術後は病院に泊まり込んでいる、という伝統的なところも少なくないと思いますが、海外の大規模施設などでは、術後はICU担当医が管理を担当してくれるので、朝から数件の手術をこなして夕方帰宅するというパターンの国も多いようです。
 海外に比べて医師の数が極端に少ない日本では、一人何役も安い給料で働くことがまるで美徳のようになっている文化があり、筆者も大学病院で働いているときは当直の担当でなくとも月の半分以上は病院に泊まり込み、担当した患者さんが具合が悪い時には最大で月に26日を泊まり込んでいたこともありました。その後、ICUチームというのが結成され、いわゆるClosed ICUで術後の管理を一気に引き受けてくれる部署ができてから、手術が終わり出血や、手術手技に問題がない限りは、術後管理はお任せして早く上がれるようになりました。
 横須賀市立うわまち病院においても、現チームになってからICU専属医を招へいして、平日の日中の管理をお願いできるようになり、それが徐々に拡充して現在は三人体制で術後管理をしてもらえるようになっています。
 それによって、時間外労働が減少傾向で、月に100時間以上の時間外労働が当たり前だったのが、現在は目標を50時間以内という一般の企業並みまで減少させることも可能となってきています。
 働き方改革を進めるためには、ただただ「仕事をがんばるな」というのではなく、人数を増やしてワークシェアしていく必要があります。

 横須賀市立うわまち病院には400床ほどの病院に常勤医が100人以上いるという恵まれた環境であり、少しずつ内部の環境も充実させていい医療を効率よく今後も改善していく予定です。