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特定の遺伝子型で選抜し地鶏の発育性を向上

2019-02-21 | 農業
 農研機構は、秋田県畜産試験場、岐阜県畜産研究所、熊本県農業研究センター畜産研究所、宮崎県畜産試験場と共同で、4県の地鶏について、生産の基になっている種鶏(しゅけい)を特定の遺伝子型で選抜することにより、地鶏の発育性を向上させ、出荷時体重を増加させることに成功した。
 4県の地鶏
  秋田県の比内(ひない)地鶏
  岐阜県の奥美濃古(おくみのこ)地鶏
  熊本県の天草(あまくさ)大王
  宮崎県のみやざき地頭鶏(じとっこ)
 地鶏は、地域の特産品として定着し、ブロイラーよりも高値で取引されている。しかし、飼育期間が長く生産にコストがかかることから、生産者から発育性の向上が求められている。なお、市場に流通する地鶏の多くは、在来種と他の鶏種を交配して生産されている。
 農研機構は2012年に、秋田県畜産試験場と共同で、「比内地鶏」の父系親品種の「比内鶏どり」において、発育性に強く関連する遺伝子(コレシストキニンA受容体遺伝子)が、ある遺伝子型(A型)を持つと、比内鶏の発育性が向上することを発見した。今回この成果をもとに、農研機構らは、共同で、4県の地鶏生産のルーツとなっている鶏(種鶏)を、比内鶏で発育性が向上するA型の遺伝子型で選抜・固定することによって、4県すべての地鶏の発育性が向上し、出荷時体重が増加することを確認した。
 本成果は、4県の地鶏の生産者所得の増加に貢献すると共に、全国のブランド地鶏の、発育性向上にも利用できると期待される。4県の試験場および研究所は、遺伝子選抜を行った種鶏群の孵化場への供給を、31年度以降、順次行う予定である。また本成果は、発育性の育種改良が遅れている他の地鶏への応用が期待される。
 因みに、上記4種の地鶏について、旧来の種鶏群から、A型固定の種鶏群へと完全に入れ替えた場合の経済効果を試算した。4県で年間1,250千羽の地鶏が出荷されており(2017年度)、4県合計で年間約66,000千円の生産者の売り上げ増加が見込まれる。
 ◆用語解説
 〇地鶏
 本成果で使用している「地鶏」は、「地鶏肉の日本農林規格」(平成11年7月施行、平成22年6月16日改正)で定義されているものを指す。その中で、飼育の対象となるひな鶏、飼育期間、飼育方法、飼育密度が詳細に定められている。
 例えば、ひな鶏では、在来種由来の血液百分率が50%以上のものであって、出生の証明(在来種からの系譜、在来種由来血液百分率およびふ化日の証明をいう。)ができること、とされている。日本食鳥協会のホームページには、ブランド名を持つ地鶏が約60種類掲載されている。
 〇種鶏
 地鶏の生産において、純粋な品種や系統がそのまま市場に出回ることはない。純粋な品種や系統は「原(げん)種鶏」と呼ばれる。原種鶏から、市場に流通する地鶏肉を生産するために分派させた鶏群が「種鶏」である。コマーシャル鶏は、複数の種鶏を交配させて作出されている。遺伝的な改良は、種鶏で行われている。
 〇コレシストキニンA受容体遺伝子(CCKAR:cholecystokinin type A receptor gene)
 コレシストキニンA受容体をコードする遺伝子。ニワトリでは、第4番染色体に座乗している。コレシストキニンは、食欲を抑制する神経情報伝達を担うペプチドホルモンとして知られている。コレシストキニンの受容体としては、AおよびB受容体が同定されている。このうち、主に腸管に分布しているA受容体は、満腹感を脳に伝えるシグナル伝達を担っている。CCKARの一塩基多型が、どのようなメカニズムで、発育形質に影響を及ぼしているかについて、今後詳細に検討する必要があるが、食欲や代謝に影響を及ぼしている可能性がある。
 〇一塩基多型(SNP:Single Nucleotide Polymorphism)
 遺伝子多型のうち、1つの塩基が、ほかの塩基と異なっているものは、一塩基多型(SNP: Single Nucleotide Polymorphism)と呼ばれている。そのタイプによって、遺伝子の発現量や遺伝子をもとに体内で作られるタンパク質の働きが微妙に変化し、発現形質に影響を与えることがある。

 今日は気温が上がり温かい(最高気温11℃位)。
 郊外のイチゴ栽培場(一苺一笑;いちごいちえ 松森農場)で、イチゴを購入。甘い・美味しい!。


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