歩けば楽し

楽しさを歩いて発見

  思い出を歩いて発掘

   健康を歩いて増進

害虫から植物を守る新タイプのタンパク質機能を発見

2018-11-06 | 農業
 農研機構は、クワの乳液中に含まれるタンパク質が、昆虫の消化管内の囲食膜という薄膜を異常に肥厚させて消化を抑制し、成長を阻害することを明らかにした(7月17日発表)。このようなしくみで昆虫の成長を阻害するタンパク質はこれまで見つかっておらず、新たな害虫防除資材としての活用が期待できる。
 植物は動くことができないので、昆虫などの生物に食べられることを防ぐために、"毒"のような作用を示すタンパク質などの物質を生産することが知られている。このような物質は害虫を防除するための薬剤として利用できる可能性があり、旧来の薬剤が効かない害虫も出現しているため、新しい製剤の開発につながる資材として注目されている。
 クワの葉はカイコの餌としてよく知られており、カイコ以外のほとんどの昆虫はこれを利用することができない。農研機構は、クワ乳液に含まれる特定のタンパク質(MLX56様タンパク質)が、これまでに報告されたことがない全く新しいメカニズムで害虫の成長を阻害することを発見した。このタンパク質は、ガ類の幼虫の消化管内に存在する囲食膜という薄膜を異常に肥厚させて消化機能不全を起こすことが分かった。しかも、0.01-0.04%という極めて低い濃度で餌に加えるだけで、幼虫の成長を顕著に阻害した。
 MLX56様タンパク質は害虫から植物を守る新しい技術開発の資材として有望な候補である。
 研究の内容
 1.エリサンというガの幼虫に、MLX56様タンパク質を含む餌を食べさせると、0.01-0.04%という非常に低濃度で加えた場合でも、顕著に成長が阻害された。昆虫の消化管内には、囲食膜というチューブ状の薄い膜が、食物を包むように存在しています。MLX56様タンパク質は、この囲食膜に特異的に結合して肥厚させ、クワの葉を食べたエリサンの消化機能不全を引き起こすことが分かった。
 2.MLX56様タンパク質を含む餌を摂食したエリサンの消化管の横断切片を作り、光学顕微鏡で観察したところ、本来は極めて薄い囲食膜が腸管断面の1/5を越えるほど厚くなることが分かった。
 3.囲食膜は主にキチンでできている。キチンの合成を阻害する薬剤とMLX56様タンパク質を共にエリサン幼虫に食べさせると、MLX56様タンパク質による囲食膜の肥厚は見られず、エリサン幼虫に対する成長阻害活性も確認されなかった。また、クワを消化できるカイコにMLX56様タンパク質を与えた場合にも、囲食膜の肥厚や成長阻害は見られなかった。このことから、MLX56様タンパク質の作用による囲食膜の肥厚がエリサン幼虫の消化機能を低下させ、その結果としてクワを利用できないエリサンの成長が阻害されると考えられる。
 4.MLX56様タンパク質はHevein領域とExtensin領域という特徴的な構造を含むが、MLX56様タンパク質はそのHevein領域で囲食膜のキチンに結合し、Extensin領域が持つ膨潤効果で囲食膜を顕著に肥厚させることが判明した。
 5.囲食膜に結合して肥厚させることで昆虫の消化機能不全を引き起こすという昆虫食害耐性メカニズムは、これまでに報告されたことがない全く新しいタイプのもの。MLX56様タンパク質を利用した新たな害虫防除技術の開発が期待できる。
 ◆説明
 〇乳液
 植物の葉、茎、実などの組織の傷口から滲出してくる白色の液体。クワ、イチジク、サツマイモ、レタス、タンポポ、パパイアなど多くの植物が分泌する。その役割には諸説があるが、乳液には昆虫や病原菌に対して毒性をもつ化合物やタンパク質が高濃度で含まれていることが多いため、昆虫や病原菌に対する防御のために分泌されるという説が有力である。
 〇囲食膜
 昆虫の消化管の内腔に消化管壁に沿って食物を包むように存在する極めて薄い透明な膜。キチンを主成分とする。その生物的役割は完全に解明されているわけではないが、昆虫が食べた植物破片などの硬い物体と消化管内壁の細胞の接触による物理的ダメージや病気の感染を防ぐ役割があるものと考えられている。未消化の植物片やタンパク質、デンプンなどは囲食膜を通過でないが、消化酵素や消化されたペプチド、アミノ酸、ブドウ糖などの小さい分子は囲食膜を通過して消化管の細胞に届く。
 〇MLX56様タンパク質
 クワ乳液中に含まれるMLX56は、クワが自らを昆虫による食害から身を守るために生産する耐虫性タンパク質。クワ乳液にはMLX56によく似た(95%以上)構造のLA-bという類似タンパク質も同じくらいの量で含まれている。この両者を総称してMLX56様タンパク質と呼ぶ。昆虫に対する成長阻害活性が高く、0.01-0.04%という低濃度で餌に添加するだけでその成長を顕著に阻害できる。構造も特徴的で、キチンに結合する能力をもつHevein領域という構造と、これまで植物における機能が不明であったExtensin領域と呼ばれる構造を含む。Extensin構造は本研究で膨潤効果をもつことが判明した。
 〇昆虫(害虫)に対し毒性や成長阻害活性を示すタンパク質
 微生物由来のBt毒素や、植物が昆虫の食害から身を守るために保持している消化酵素阻害タンパク質などの防御タンパク質がある。現在は昆虫だけに毒性を示すBt毒素が、農薬や耐虫性品種遺伝子育種に広く用いられている。近年、抵抗性を発達させた(毒が効かない)昆虫の報告が増えており、新たな作用メカニズムで昆虫に毒性や成長阻害活性を示すタンパク質の発見が待たれている。
 〇抵抗性を発達させた害虫
 害虫を防除するために同じ殺虫剤を使用していると、ごく稀に存在するその薬剤が効きにくい個体だけが生き残る。このような個体が増加し、やがて大勢を占めるようになると、その害虫には同じ殺虫剤が使えなくなる、という問題が生じる。これが抵抗性と呼ばれる現象である。現在実用化されている殺虫性タンパク質のBt毒素も例外でなく、抵抗性を発達させた害虫が報告されている。Bt毒素抵抗性が害虫集団中に広まるスピードは他の殺虫剤に対する抵抗性に比べて遅いことが知られているが、長期的にはBt毒素抵抗性の害虫が増えてくることが危惧されている。そのため、新たな作用メカニズムを持つ殺虫性・成長阻害性タンパク質の発見が求められている。
 〇キチン
 N-アセチルグルコサミンという糖が重合した高分子。エビやカニなどの甲殻類の殻や昆虫の表皮、カビ、キノコに含まれるが、ヒトを含む脊椎動物の体内には存在しない。昆虫では表皮だけでなく、消化管内の囲食膜や呼吸器官である気管にも含まれている。

 朝は曇り、昼頃から小雨となり夕方まで。
 春に咲いた”ヒサカキ”の花。熟した実が枝に沢山付いている。
 ”ヒサカキ”は雌雄異株、でも雄花・雌花だけを付ける雄株・雌株だけでなく両性花の株もあると言う。
 開花時期は、3月~4月で、枝の下側に短くぶら下がる様に咲く。雄花には雄しべ、雌花には雌しべだけが見える。花の大きさは数mm、雌花が雄花より気持ち小さいかな。花の形は、白っぽいクリーム色で壺状。強い芳香が漂ってくる。
 「榊:サカキ」が手に入らない関東地方以北では、墓・仏壇へのお供え(仏さん柴)や玉串などに、サカキ代替で使われることがある。これより、名(ヒサカキ)の由来に、「榊に非ず」から「非さかき」説、サカキより小振りから「姫サカキ」説がある。
 ヒサカキ(姫榊)
 学名:Eurya japonica
 ツバキ科ヒサカキ属
 雌雄異株(常緑小高木)
 開花時期は3月~4月
 白い小さな花が葉腋(ようえき)に付ける
 5弁花で花径は数mm
 雄花は鐘形で、雌しべは退化して見えない
 雌花は杯形、雌しべのみで花柱は3裂してる
 果実も径数mm程で、秋に黒紫色に熟す


最新の画像もっと見る

コメントを投稿