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天然キラル溶媒を不斉源とする触媒的不斉合成を行う手法を開発

2019-07-15 | 科学・技術
 京都大学大学院工学研究科杉野目道紀教授、長田裕也 助教、竹田龍平博士課程学生(研究当時、現:民間企業勤務)らの研究グループは、天然から安価かつ大量に得られるキラル溶媒を唯一の不斉源として用い、触媒的不斉合成を行う新たな手法を開発した(7月3日発表)。本研究成果は、2019年7月3日にアメリカ化学会のオープンアクセス誌「ACS Central Science」オンライン版に公開。
 研究手法・成果
 今回の新しい方法では、触媒は「右手/左手可変型」の構造を持っている。見方によっては、左右の区別のない軍手のような「手袋型」の構造を持っていると言える。反応を行う際に、これを「右手型溶媒」あるいは「左手型溶媒」に溶かすだけで、その場で「右手型」あるいは「左手型」の触媒構造が形成される。これは、「手袋」に右手を入れれば、「右手型」、左手を入れれば「左手型」の形になることに対応する。「溶媒」とは反応を行う際に、触媒や化合物を弱く取り囲むことで均一に溶かすために使われる液体で、通常それらは「右手型」と「左手型」を区別して生成させるほどには強い効果を示さないと考えられてきた。今回、らせん型高分子を触媒として用いることで、溶媒から受ける本来弱い効果を大きく増幅して「右手型」または「左手型」の構造を効率的に発生させ、高い選択性で「右手型」または「左手型」の生成物を得る触媒的不斉合成に世界で初めて成功した。溶媒として用いるのは天然から安価に得られる「リモネン」という有機化合物である。
 天然から安価に得られる「リモネン」にも「右手型」と「左手型」があり、それぞれ「(R)-リモネン」と「(S)-リモネン」と呼ばれている。(R)-リモネンはオレンジの皮から、もう一方の(S)-リモネンはペパーミントから得ることができる(ちなみに(R)-リモネンは柑橘系の香りを持ち、(S)-リモネンはハーブまたは森のような香りを持つ)。
 このらせん型高分子を(R)-リモネンに溶解させたところ、完全な右巻き構造を形成した。これを触媒として合成を行なったところ、高い純度で一方の鏡像体を生成物として得ることができた。一方で(S)-リモネンを用いた場合には、高分子は完全な左巻き構造を形成し、触媒として用いると、先ほどとは逆の鏡像体を高い純度で得ることができた。
 本成果は、安価な天然化合物に溶かすだけで必要な触媒構造が1段階で生成できる点で、従来の触媒的不斉合成の概念を根本的に変え得るものである。
 オレンジの皮から得られる「(R)-リモネン」を反応溶媒として用いることで高分子(ポリ(キノキサリン-2,3-ジイル))に一方向巻きらせん構造を誘起させ、その後その高分子を触媒として利用することで高選択的に光学活性化合物が得られることを明らかにした。さらに、低光学純度のリモネンを用いた場合でも、高分子の不斉増幅現象に基づいて高い不斉選択性が維持された。本成果は、医薬品や農薬の高効率生産のほか、コピー防止印刷やバイオ研究用試薬などの効率的な開発に応用されることが期待されるとともに、安価な生物由来資源を有効に活用する新たな指針を示すものとして期待される。
 ◆用語解説
 〇キラル溶媒
 「キラル溶媒」とは一方の鏡像体からなる液体で、一般に「溶媒」は反応を行う際に、触媒や化合物を弱く取り囲むことで均一に溶かすために使われる。通常は、キラル溶媒を用いたとしても「右手型」と「左手型」を区別して生成させるほどには強い効果を示さないと考えられてきた。
 〇不斉源
 「不斉源」とは、鏡像体のバランスの偏りの起源となる化合物などを指す。これまでの研究では、キラル溶媒は不斉源とはならないと見なされてきた。
 〇不斉増幅現象
 「不斉増幅現象」とは、低い純度の鏡像体から、高い純度の鏡像体が得られる現象。一般に、このような現象は極めて限られていることが知られている。

 朝は小雨がぱらつく曇り、午後から晴れ。
 近所の畑で”バジル”畑があり、白い小さな花が咲き出している。茎は4稜形で、直立する。夏~秋に、茎頂に穂状花序を作り、白い唇形花が咲く。植物全体に高い香りがある。
 ”バジル”には150種の栽培品種があると言われ、これは良く知られる”スイートバジル(Sweet basil)”。ハーブの一種で、スパイス(香辛料)として”ブッシュバジル”とともに良く使われる。”バジル”の葉はイタリアン料理に良く使われ、トマト・オリーブオイルと相性が良い。
 ”バジル”の和名は目箒(めぼうき)。グルコマンナンを含む”バジル”の種を水に浸すと30倍程に膨張し、半透明の白っぽいゼリー状の物質で覆われる。名の由来は、そのゼリー状の物質が目薬となり、目のゴミを取り除く事から。
 バジル(スイートバジル;Sweet basil)
 別名:目箒(めぼうき)、バジリコ
 学名:Ocimum basilicum
 シソ科メボウキ属(オキマム属)
 多年草(日本では越冬できないので一年草扱)
 原産地はインド・アフリカ
 (インド、ネパールでは神聖な植物とされる)
 中国から江戸時代に渡来
 開花時期は6月~10月


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