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希少金属を使わない光触媒、二酸化炭素を一酸化炭素に変換

2018-06-17 | 科学・技術
 東京工業大学石谷治教授、前田和彦准教授、栗木亮大学院生、日本学術振興会特別研究員らの研究グループは、有機半導体材料と鉄錯体から成る光触媒に可視光を照射すると、二酸化炭素(CO2)が一酸化炭素(CO)へ選択的に還元されることを発見した(6月12日)。フランス・パリ第7大学らとの国際共同研究で、科学技術振興機構(JST)戦略的創造研究推進事業CRESTの国際強化支援のもとで行われた。研究成果は、米国化学会誌「Journal of the American Chemical Society」に速報として6月12日掲載。
 これまでに開発された高効率CO2還元光触媒は、ルテニウム(原子番号44、元素記号は Ru、貴金属にも分類)やレニウム(原子番号75、元素記号はRe)といった貴金属や稀少金属を用いたものがほとんど。今回開発の光触媒は、これらの金属を全く使わずに、ほぼ同等の光触媒性能を示す。本成果により、卑金属や有機半導体材料だけを用いた光触媒でも、太陽光をエネルギー源として、地球温暖化の主因であるCO2を有用な炭素資源へと変換できる。
 石谷教授らは、炭素と窒素から構成される有機半導体カーボンナイトライドを鉄錯体と組み合わせて光触媒として用い、二酸化炭素(CO2)を一酸化炭素(CO)へと高効率に還元できることを見いだした。この光触媒反応は、太陽光の波長帯でも主成分である可視光を照射することで進行する。カーボンナイトライドが可視光を吸収し、還元剤から触媒である鉄錯体への電子の移動を駆動する。その電子を用いて鉄錯体はCO2をCOへと還元する。性能の指標となるCO生成におけるターンオーバー数、外部量子収率、CO2還元の選択率は、それぞれ155、4.2%、99%に達した。これらの値は、貴金属や稀少金属錯体を用いた場合とほぼ同程度であり、すでに報告されている卑金属や有機分子を用いた光触媒と比べて10倍以上高かった。
 今後は、光触媒としての機能をさらに向上させるとともに、地球上に多量に存在し安価な水を還元剤に使える酸化光触媒との融合を目指す、と言う。
 ○鉄錯体
 金属または金属類似元素の原子・イオンの周囲に、配位子とよばれる原子・イオンまたは原子団が方向性をもって立体的に結合し、一つの原子集団をつくっているもの。
 ○貴金属
 8種の高価な金属。
 金(Au)、銀(Ag)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、ルテニウム(Ru)、オスミウム(Os)
 ○卑金属
 貴金属ではない金属。
 ○カーボンナイトライド
 炭素と窒素だけで構成された有機半導体
 ○ターンオーバー数
 触媒反応の活性点が何回機能したかを表す指標。
 例えば活性点が100個あり生成物が10,000個得られた場合、ターンオーバー数は100となる。
 ○外部量子収率
 照射した光の量に対する反応に用いることができた光の量の割合。
 例えば、10,000個の光子を照射して、そのうち100個の光子が反応に関与した場合、外部量子収率は1%となる。
 ○選択率
 化学反応における全ての生成物量に対する目的生成物量の割合。

 今日は6月17日で、父の日。
 天気は晴れ、気温は最高気温20℃位と暑くはない。
 春に見た””ソシンロウバイ”の花(3月19日)。葉をかき分け、木の中を見たら果実がなっている。長径数cmほどの楕円形で、果実の中には数個の種子がある。
 ”ロウバイ”は、花からは香料、花のつぼみは鎮咳・解熱・鎮痛薬などの生薬とし、根は薬用にすると言う。でも、種子は強い毒性物質を含んでいる。アルカロイド系の毒「カリカンチン」である。
 名(ロウバイ:蝋梅)の由来は、「蝋細工の様な梅に似た花」説、「花色が蜜蝋(みつろう)に似ている」説、「臘月(ろうげつ、旧暦の12月)に、梅に似た香りの花」説がある。
 ロウバイ(蝋梅)
 別名:唐蝋梅(とうろうばい)、唐梅(とうばい、からうめ)
 ロウバイ科ロウバイ属
 落葉低木(丈は2m~4m)
 原産地は中国、17世紀頃に渡来
 開花時期は1月~3月
 花径は2cm程
 果実の種子は、抑制性神経伝達物質の放出を阻害して痙攣を誘発する有毒物質「カリカンチン」を含む


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