ポルトガルが独立記念で連休だったため、
第5番目の都市、コインブラに1泊の一人旅に行きました。
コインブラは、虹も立ち寄る街だったのです。
この旅では、たくさんの人との縁に恵まれました。
しかし、マウス・トゥ・マウスのハプニングが起きた旅でもあったのです・・・・。
さて、ここで問題です。
わたしの唇を奪ったのは誰でしょう?
①カヒーリョ・ダグラサの設計事務所にインターンシップに来られているYさん。
②優雅な森にあるイネシュの泉で、まとわりつくようににゃんにゃんしてくれた猫。
③ファドの生演奏を聴かせるbarで知り合って、コインブラを案内してくれたおじいちゃん。
④コインブラ旧大学にあるヨーロッパ最高の図書館で働く、サービス抜群の管理人のおじさん。
⑤コインブラ旧大学で居合わせて、一緒に観光したオーストラリア人のバッグパッカー。
Yさんとは、電車の中でたまたま再会して片道2時間の道のりを楽しませていただきました。
彼はポルトへ向かう途中でした。シザの建築を見にゆくそうです。
駅を出てすぐの広場にて。
灰色の空に向かって、彼はペンを振るっていたのです。
せめて夜が、明るくあるように。
コインブラでは古い門がたくさんあって、街の壁と壁の間に挟まれています。
ためしに門をくぐって空を見上げると、その場所は晴れていました。
違う門をくぐってみると、空間が斜めになっていました。
工事中の古いカテドラルに忍び込んだ小さな影たち。
おーい、ここはジャングルジムじゃあないんだけど。
身分違いの恋で暗殺されたイネシュ妃。
その悲劇の場所はとても優雅な森の中にひっそりとありました。
泉の底の不気味な色はイネシュの血痕だという言い伝えがあり、
泉の中や周りの木の幹に、言霊の書かれたいくつもの長くて赤いひもが流れていました。
あの子はイネシュの泉の可愛らしい番人、ケルベロスなのでしょう。
深夜になってBarへファドの生演奏を聴きに行きました。
そこで知り合った詩人のおじいちゃんに、
次の日ランチに誘われました。
写真はチョリソというウインナーをムードたっぷりに焼いているところ。
コインブラ大学はポルトガルで最も歴史のある大学で、それはヨーロッパでも3本の指に入ります。
特に図書館に関しては、
蔵書数や壮麗さや歴史的な観点からヨーロッパ最高といわれています。
そんな図書館。
ホリディのためか11時40分オープン12時30分クローズという謎の時間割でしたが、
たまたまぎりぎりに滑り込めました。帰り際に、
「この扉はなに?」
と管理人に訊いたところ、それは2階への階段でした。
それをきっかけに、
わたしはロープの向こう側のめくるめく世界を見学することができました。
2階にのぼって500年前に書かれた日本に関する書物を実際に手に取り、
その時代の京都の絵や文字を見ました。
本棚には金の絵の具で丁寧な中国画が描かれていました。
上のほうの書物をとるための梯子の仕舞われ方や
梯子を引っ掛ける金具のデザインも興味深いものでした。
そもそも写真撮影すら禁止区域なのですが…。
このおじさん、有難いけど管理人としてちょっと心配です。
ところでこのおじさんがディープなグリーティングの犯人です。
この野郎。
※
Barで知り合ったおじいちゃんのディープグリーティングは
予期していたのでさささっとかわしました。
彼は不満そうでしたが、知ったことか。
まさかおじいちゃんに、
「わたし彼氏いますんで、」と説明する日が来るとはネ。
左の写真は「帽子の間」。名前が魅力的。議会なんかを行います。
右の写真は「王様の書斎」。42人がびっしりとこっちを向いている部屋。
王様もきっと、落ち着かなかったはずです。
道中、オーストラリアのバッグパッカー君と出会いました。
彼とは5時間後、街で再会することとなります。
彼はリスボンへ向かうバスセンターへ
わたしはリスボン行きの駅のホームへ
そして彼はこう言ったのです。
「コインブラで2回も会えたんだ!リスボンでも会うだろうね!」
橋を渡って対岸にある展望台へ。
夕日を浴びるコインブラはあまりに美しい。
ありきたりな表現が最も似合います。
急に影が差して雨が降ってきたので、近くのカテドラルで雨宿りをしていました。
パーフェクトな虹を見たのは初めてでした。
加えて2重になっているのがわかるでしょうか?
コインブラの街がすっぽりとその中に収まっていました。
まだ雨は降っていたけれども、
わたしは大きめのフードをかぶってカテドラルを飛び出したのです。
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