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論説「自由民主党憲法改正案を読んで(その1)~全般的な意見」

2013-02-21 17:23:19 | 政治

自由民主党憲法改正案を読んで(その1

~全般的な所見」

  On My Commentary of The Liberal Democratic Party’s Draft

 to the New Constitution Law of Japan I ~ Overviews~

荒井康全[1]

Yasumasa Arai

(総合知学会会員)

 February 22, 2013

 

 (Abstract)

The Liberal Democratic Party of Japan (LDP) has been working  their draft schemes of amendment of The Constitution of Japan.  The author, this time takes as comparative reviews between the draft of 2012[2], and it’s counterpart to The Constitution Law now running.[3] [4] 

This essay will critically be followed by essay II[5], which pays  more a focus on the prefaces  between different  drafts, so far.

 

 

 

目次

1.はじめに

2. 所見のまとめ

3.個別条文案への考察

 

1.はじめに

自由民主党の憲法改正案(24年案とよぶ)[6]が2012年4月に決定され公表されている。 今回は、これを材料として使い、筆者が注目すべきと考える改正案の項目に焦点を置き考察することしたい。

 

 

 

2.所見のまとめ

2-1.24年案の前文[7]は 日本とそのあり方に関する歴史認識と理念が貧困である。内向き志向で、世界における日本が見えてこない。

 

2-2.この点 現憲法[8]は 借り物っぽさがあるが、内容は世界的にみて出色であると思う。憲法第二十五条[9]などは世界的に先行していて 医療保険法などの例にまつまでもなく、いまオバマ政権のアメリカがいま立ち上げようとしているものである。

2-3.筆者、自身は 現在 やや右よりに立つものである。その眼から、一番の問題は現憲法第九条であり、ここで国際法上の国のもつ自然権である交戦権と集団安全保障への改正が最大のポイントであると考える。 

2-4.筆者が これからの日本で一番恐れていることは独裁政権の誕生の可能性についてである。 1933年にドイツのナチス政権による「全権委任法」によって独裁権を獲得したが、これは合法的な憲法改正手続きを経て成立したものであったと理解している。 筆者の理解が間違えでなければ、ワイマール憲法はヒットラー政権のもとでも合法であり、その上に憲法とは別に ドイツ政府が法律を制定できるとした全権委任法が乗かったという形である。さらに、現在の彼らの「ドイツ基本法」はワイマール憲法と上記ヒットラーの法の上に構築された、階層構造であると理解している。

2-5.上記4.の可能性は 日本にても、あると見ている。 筆者は、大阪市長の橋下 徹氏が「キュートな独裁者」と自らうそぶいていることから あらためて 日本の独裁国家への転換の素地を見たように思っている。 第三、第四の橋下はでてくるとおもう。

2-6.したがって 24年案の第64条の二[10]の「政党」の内部秩序の部分は民主主義国家を守る上で当を得たものあるが、表現に明確さを書いていること指摘したい。 この辺はドイツが参考になると考える。

2-7.現在の憲法での「専制と隷従」「圧迫と偏狭」の永久の除去の部分は 基本的な部分であるとおもう。 

2-8.あらたに「公益および公共の秩序」が現憲法の「公共の福祉」に代わり出てきている点では、これまでより鮮明にして一歩前にでたとおもう。 しかしながら、これも かつての特高秘密警察機能への転用解釈をあたえてしまう可能性もあり、それをいかに排除していくかに工夫を要するとおもう。

2-9.「伝統」 特に「助け合い」と「和」の精神は わるくはなく、わかりやすいが 中世的な主権形態であり、いかにも苔むした発想である。 若い世代をふるい立たせ、この国が人類社会の自由と平和に邁進していくべく、普遍化次元までへと 志向を高めることが不可欠であると考える。 しかし、ここの条文案では、日本が単なる内向き民族主義に立ち帰って、思想的にも孤立化をしたものとして理解されるであろう。これについては、わが国民はとことん議論し 形にあらわす努力が必要である。 この24年案の「前文」で欠けているところは まさに、この部分であると言えよう。

2-10.天皇について 「元首」とし、「象徴」であると説明しているが これだけでは定義を成していない。

2-11.憲法の改正[11]を 議会の三分の二から二分の一にして 改正のためのバリアを低くしている。これは 内外の情勢の変化に機敏に対応するためと言いたいところであろうが、暴走勢力の餌食になる危険性が高いことを危惧する。 何度か憲法改正をしてきたドイツでさえもが議会の三分の二を保持していることを思いおこすべきである。

2-12.たとえば、“柔軟な日本 挑戦する日本”のスピリット、これは私の心情表現である。ミサイル防衛、サイバーテロ、同性婚、婚外子、外国人の日本国籍取得など 世界規模であたらしい波が起こるなかで、おおいに国論を興し、千変万過をしなやかに乗り切るためには 「伝統」と「和」と「助け合い」が実践的に意味をもってくるであろうが、これいも国民理念的な哲学的根拠の確立が必要である。

2-13.科学技術と、環境を入れてあるが、反対する理由もないが、お題目的であり、理念的にまだ練れていないものを感じる。

 

2-14.以上から考え、筆者の結論としては  以下の三つで十分と考える;

ひとつ、現憲法第九条の精神を生かすものの、国の交戦権の復活と集団安全保障を明記する。

ひとつ、独裁国家につながる意図の防止条項の明示する。

ひとつ、以上のふたつをとりいれ、 現憲法を基本的に保持する。 

 

++++++

3.個別条文案への考察 

3-1. 「前文」について

3-1-1 先の大戦が何であったか、自らは如何に評価するかが明示されていない。

3-1-2 その定義ならびに態度としての意志表示がなく突然「平和主義」が入ってきて 結果的に軽薄な条文になっている。人類のなかで対等の構成員として生きていく日本国という哲学が読み取れない。つまり歴史認識がない。

3-1-3 近代民主主義国家としての基本精神である「自由」と「平等」の一つである「平等」が抜けている。

さらに「専制と隷従」「圧迫と偏狭」は、悲惨な戦争を起こした日本人が、自らの血の代償を経て獲得した精神であると理解されるべきであり、 大切にされなければならいない。 

3-1-4*「規律」が 「自由と規律 」の表現のなかで入ってきているが その精神が明示的でない。

3-1-5「和」「助け合い」「伝統」が価値基準としてでてくるが 日本はもとより、世界人類との共存繁栄を獲得するために、生きている精神次元としても認識内容を明示しておく必要がある。

3-1-6 各国の前文を参考のために引用したい。

例 ドイツ基本法[12] 

「神及び人間の前での責任を自覚し、統合されたヨーロッパの対等の構成員として世界平和に奉仕する意思に鼓舞されて、その憲法制定権力に基づき、この基本法を制定した。」

例 アメリカ憲法(1788年)[13]

「われら合衆国人民は、より完全な連合を形成し、正義を確立し国内の平穏を保障し、共同の防衛を備え、一般的福祉を増進し、そしてわれらの子孫のために自由の恵沢を確保する目的をもって、ここに・・・・制定し、これを確立する」

例 フランス憲法(1957年)[14]

これまでの宣言 規定でとの関係からの確認かつ補完された人の諸権利と国民主権の諸原理に対する至誠、および、その後の規定された至誠を厳粛に宣言するという表現。

 

3-2.  第1章 天皇[15]

「元首」とは?「象徴」とは?の説明がなく 概念定義となっていない。

3-3.  第2章 安全保障

第九条[16] で「国権」としての 、交戦権の放棄を条文では継続している。

 

国際法としては、 交戦権[17] [18]は 独立国の国際法上の前提であり、これがないと国際紛争当事国間での前提がかみ合わず、紛争解決にいたらない。つまり独立国としての主権が成立しない。第九条の二で「国防軍」は 国際的には軍隊である。 交戦権での保証がない軍隊では いざというときに 国際法のルールを利用できず、矛盾をおこす。 

 

3-4.  第12条[19] [20]国民の責務

「公益および公の秩序」に反しないというのは精神としては大事であるが、これのために 個人への思想や心情への侵害の可能性がある。現憲法で保障する「専制と隷従」「圧迫と偏狭」へと いわゆる独裁警察国家の招来を許す危険性がある。

やはり 憲法で「専制と隷従」「圧迫と偏狭」の除去を謳うことは重要である。

 

3-5.  第19条[21] 個人情報の不当取得の禁止等

 情報の取り扱いに対して あらたに一項を設け 不法な情報漏えいを禁止している。サイバーテロや権謀術数化する国際政治経済に不可避的に必要な項目である。

 

3-6.第64条の二 政党[22]

政党について 新たに条文案になった。これは 政党の内部秩序も民主主義の制度に従うべきであることを意味する。たとえば 政党の代表が政党内で独裁権を党規約で決めることの危険を防御することになるので重要な条項と評価する。

ドイツの例は ナチスの過去の経験により、政党の内部秩序に枠は重要であろう。

 

ドイツ基本法の例

第21条[政党] ① 政党は、国民の意識形成に協力する。政党の結成は、自由である。政党の内部秩序は、民主制の諸制度に合致していなければならない。(資金の」公開)

②政党のうちで、その目的またはその支持者の行動により、自由で民主的な基本秩序を侵害若しくは除去し、またドイツ連邦共和国の存立を危うくすることをめざしているものは、違憲である。その違憲性の疑い」については、連邦憲法裁判所がこれを決定する。

③(詳細は・・・・)

 

3-7. 第10章 第百条 憲法改正

憲法改正のハードルを 三分の二から 二分の一にして低くしている。

先進国の憲法では 三分の二が趨勢であり、基本法をしばしば改正してきたドイツでさえ、三分の二である。 ナチスの「全権委任状」[23]は一種の憲法改正であった。これによって ナチス政府は憲法とは別に法律を制定することを可能にした

バリアが高い方が 暴走政党の出現を防ぐ効果があるのではないかと考える。

3-8. 参考例

ドイツ基本法

第5条[表現の自由、出版の自由、放送、芸術の自由、学問の自由]

③項で 芸術及び学問、研究及び教授は、自由である。教授の自由は、憲法に対する 忠誠を免除しない。

つまり、憲法に関する忠誠を義務付けている。

第6条①婚姻及び家族は、国家的秩序により特別な保護をうける。

②子供の保護は、 親の自然の権利であり、まずもって親に課せられた「義務である、 この義務の遂行については、国家共同体がこれを監視する。

③(供の保護者に故障のときは・・)

④すべての母親は、共同体の保護と扶助を請求することができる。

⑤婚外子にたいしては、法によって、肉体的及び精神的発達について、ならびに社会におけるその地位について、婚内子と同様の条件があたえられなくてはならない、婚姻の異性婚として限定されるかは 明示されていない。

⑥子供の教育は親で 国家はそれを監視する権利があるとしている。

⑦母親は孤立していない。

以上



[1] 荒井康全 Yasumasa Arai  男性 1938生れ  神奈川県  日本人 

上席化学工学技士 元東京工業大学資源化学研究所特任教授

東京都町田市   E-mail: araraiypol1a@nifty.com

携帯電話:090:7634-0161

 

[4]荒井資料No.1043 荒井康全「自民党憲法改正案についておもうこと(1)」

..\総合知学会\青木様自民党憲法改正案を読んで(字句修正121223) 荒井.docx

[5] 自由民主党憲法改正案を読んで(その2)On My Commentary of The Liberal Democratic Party’s Draft to the New Constitution Law of Japan II  February 22, 2013, Multiple Knowledge Society

 

[7] (憲法改正案平成24年4月27日(決定))の前文」(「24年案」と呼ぶ)

* (前文)

  日本国民は、長い歴史と固有の文化を持ち、国民統合の象徴である天皇を戴く国家であって、国民主権の下、立法、行政、及び司法の三権分立に基づいて統治される。

 我が国は、 先の大戦による荒廃や幾多の大災害を乗り越えて発展し、今や国際社会において重要な地位を占めており、平和主義の下、諸外国との友好関係を増進し、世界の平和と繁栄に貢献する。

 日本国民は、国と国土を誇りと気概を持って自ら守り、基本的人権を尊重するとともに、和を尊び、家族や社会全体が互いに助け合って国家を形成する。

 我々は、自由と規律を重んじ、美しい国土と自然環境を守りつつ、教育や科学技術を振興し、活力ある経済活動を通じて国を成長させる。

 日本国民は、良き伝統と我々の国家を末永く子孫に継承するため、この憲法を制定する。

 

[8]  「テキスト3 現行憲法「日本国憲法」の前文」 (ここでは「現憲法」と呼ぶ)

(前文)

 日本国身は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のあめに、諸国民との協和による成果と、わが国土にわたって自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであって、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。 これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基づくものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。

 日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであって、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようお決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思う。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。

 われらは、いずれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであって、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従うことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする刻々の責務であると信ずる。

 日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓う。

 

[9] 現憲法

二十五条 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。

② 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。

 

 

[10] 24年案の第64条の二

(政党)

第六十四条の二 国は、政党が議会制民主主義に不可欠の存在であることに鑑み、その活動の公正の確保及びその健全な発展に努めなければならない。

2 政党の政治活動の自由は、保障する。

3 前二項に定めるもののほか、政党に関する事項は、法律で定める。

 

 

 

[11]

24年案

百条 この憲法の改正は、衆議院又は参議院の議員の発議により、両議院のそれぞれの総議員の過半数の賛成で国会が議決し、国民に提案してその承認を得なければならない。この承認には、法律の定めるところにより行われる国民の投票において有効投票の過半数の賛成を必要とする。

 

[12] ドイツ基本法 前文 高橋和之編 [新版]世界憲法集 第2版 岩波文庫 p.168

[13] アメリカ合衆国憲法 前文 高橋和之編 [新版]世界憲法集 第2版 岩波文庫 p.52

[14] フランス憲法 前文高橋和之編 [新版]世界憲法集 第2版 岩波文庫p289

[15] 24年案での天皇

(天皇)

第一条 天皇は、日本国の元首であり、日本国及び日本国民統合の象徴であって、その地位は、主権の存する日本国民の総意に基づく。

(皇位の継承)

 

 

 

[16]

24年案

(平和主義)

第九条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動としての戦争を放棄し、武力による威嚇及び武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては用いない。

2 前項の規定は、自衛権の発動を妨げるものではない。

(国防軍)

第九条の二 我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全を確保するため、内閣総理大臣を最高指揮官とする国防軍を保持する。

2 国防軍は、前項の規定による任務を遂行する際は、法律の定めるところにより、国会の承認その他の統制に服する。

3 国防軍は、第一項に規定する任務を遂行するための活動のほか、法律の定めるところにより、国際社会の平和と安全を確保すために国際的に協調して行われる活動及び公の秩序を維持し、又は国民の生命若しくは自由を守るための活動を行うことができる。

4 前二項に定めるもののほか、国防軍の組織、統制及び機密の保持に関する事項は、法律で定める。

5 国防軍に属する軍人その他の公務員がその職務の実施に伴う罪又は国防軍の機密に関する罪を犯した場合の裁判を行うため、法律の定めるところにより、国防軍に審判所を置く。この場合においては、被告人が裁判所へ上訴する権利は、保障されなければならない。

(領土等の保全等)

第九条の三 国は、主権と独立を守るため、国民と協力して、領土、領海及び領空を保全し、その資源を確保しなければならない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[17] 交戦権 The right of belligerency

http://www.kokubou.com/document_room/rance/gendai/kenpou9_kousenken.htm

概略を引用する以下のとおりである。

「交戦権とは 交戦権の定義については大きく分けて二つの考え方がある。
まず第一に国家が戦争を行う権利とするもの。第一次大戦まで戦争はそれぞれの国や王或いは領主にとり当然行いうる権利とされていた。「戦争=悪」という考え方にこだわると後ろ向きなイメージが先行しがちであるが、この点を忘れてはならないだろう。
第二に、戦時国際法により交戦国に認められる諸権利の総称とするものがある。
諸権利とは具体的に言えば敵戦力の破壊、殺害から、中立国の船舶に対し、国防上の要請から若しくは戦時禁制品の取り締まり等の為に臨検や拿捕を行え、また占領地では軍政を敷いて、敵国民やその財産について一定の強制措置(例えば司令部として使う為に家屋を徴発する)を行えるというものである。
つまり、これら諸権利が認められない(交戦権を放棄する)ということは、敵兵を殺害すれば殺人罪となり、施設等を破壊せしめれば器物損壊やその他法令に違反することになる。もし戦争或いは武力紛争に至った場合、我が国は交戦権を否認しているので、我が方のみが当然認められている保護を受けられず、その上、相手方に戦時法の順守を要求する権利もまた交戦権と解されるならば、そうした要求も出来ず、軍人だけでなく一般国民・文民の保護を定めたジュネーブ諸条約の適用もまたなされないという事態も考えられるわけである。端的に言えば、戦争法で認められている如何なる権利も憲法により相手方に対し要求は出来ないということである。これは国民としては不利益を強要されていることとなる。
何も戦争法は国だけが主体ではなく戦闘行為を行う個人も又主体なり得る場合があることは先述の通りであるからだ。
また我が国も批准しているジュネーブ四条約の規定では例えば「捕虜の待遇に関する義務」や「戦時における文民の保護義務」などがあるが、これは我が国が交戦権を放棄していようと守らねばならない義務である。これはウィーン条約法条約の定めるところであり、すなわち国内法を理由に条約の不履行を正当化できない為である。」


 

[18] 出典:グロチウス「戦争と平和の法」の主張  東京工業大学2011文系科目 橋爪大三郎 理論社会学「軍事社会学」教材資料 グロチウス「戦争と平和の法を読む」

1.主権国家は、戦争をする権利がある。~すべての戦争は合法。ただし、戦争のやり方に気をつけなさい。とはいえ、戦争は悲惨なので、なるべくやらないほうがよい。

2.日本国憲法と、戦後民主主義 ~第九条「戦争放棄、軍隊を持たない」 Q:放棄するのだから、交戦権はあった?

3.「自衛権」論争・・・自衛権は、制定法(第九条)では廃棄できない固有の自然権だ。

4.国際社会 (主権国家の集まり)は、自然法にもとずいている。

5.グロチウスは、自然法論者

戦後世界・・・パリ不戦条約+ヤルタ・ポツダム体制:戦争不法論(→東京裁判)⇒ グロチウスに立脚すると、戦後の国際秩序を否定することになる。

*グロチウス自然法論  神の法/自然法/国王の法(制定法)

 自然法は神の法のうち理性が発見できる部分。 

*主権 sovereignity 個人の自由や人権と平行して析出する統治権力の性質。

 中世:濃厚な中間集団・伝統・共同体 ⇒ 近代:主権国家・中間団体・自由な個人

 

[19] 24年案

(国民の責務)

第十二条 この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力により、保持されなければならない。国民は、これを濫用してはならず、自由及び権利には責任及び義務が伴うことを自覚し、常に公益及び公の秩序に反してはならない。

 

 

[20] 現憲法(国民の責務)

第十二条 この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。

 

 

[21]

 

(個人情報の不当取得の禁止等)

第十九条の二 何人も、個人に関する情報を不当に取得し、保有し、又は利用してはならない。

 

 

 

[22]  24年案の第64条の二

(政党)

第六十四条の二 国は、政党が議会制民主主義に不可欠の存在であることに鑑み、その活動の公正の確保及びその健全な発展に努めなければならない。

2 政党の政治活動の自由は、保障する。

3 前二項に定めるもののほか、政党に関する事項は、法律で定める。

 

 

[23] http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%A8%E6%A8%A9%E5%A7%94%E4%BB%BB%E6%B3%95

いわゆる全権委任法は全5条から成る。

前文

国会(ライヒスターク)は以下の法律を議決し憲法変更的立法の必要の満たされたのを確認した後、第二院の同意を得てここにこれを公布する。

第一条

ドイツ国の法律は、憲法に規定されている手続き以外に、ドイツ政府によっても制定されうる。本条は、憲法85条第2項および第87条に対しても適用される。

第二条

ドイツ政府によって制定された法律は、国会および第二院の制度そのものにかかわるものでない限り、憲法に違反することができる。ただし、大統領の権限はなんら変わることはない。

第三条

ドイツ政府によって定められた法律は、首相によって作成され、官報を通じて公布される。特殊な規定がない限り、公布の翌日からその効力を有する。憲法68条から第77条は、政府によって制定された法律の適用を受けない。

第四条

ドイツ国と外国との条約も、本法の有効期間においては、立法に関わる諸機関の合意を必要としない。政府はこうした条約の履行に必要な法律を発布する。

第五条

本法は公布の日をもって効力を発する。本法は1937年4月1日になるか、現政府が他の政府に交代した場合に効力を失う。

 


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