将棋の高校生棋士・藤井聡太七段(17歳)が、今日行われた第91期棋聖戦決勝トーナメント準決勝で佐藤天彦九段(前名人)を破り、いよいよタイトル初挑戦まであと1勝に迫りました。もし、このまま決勝戦も制すると、最年少タイトル挑戦の新記録を樹立します。その決勝戦の相手は、現棋界3強の一人永瀬拓矢王座・叡王。藤井聡太七段はまだ若干17歳ですが、今回の決勝戦は、彼のこれからの長い棋士人生の中でも特別の大一番になるでしょう。注目の決勝戦は明後日4日木曜日です。
その藤井聡太さんがプロになったのは、2016年10月1日付。14歳2か月でのプロは、加藤一二三九段の持つ最年少棋士記録を、何と62年ぶりに更新したものでした。そして、翌年の6月26日に、プロデビューから無敗のまま歴代最多連勝記録(29連勝)を更新したのです。その連勝記録当時、私は、北極海に面したロシアのツンドラ地帯で撮影中でした。スタッフたちがインマルサット(Inmarsat)の通信衛星から入ってくる情報で「今日も藤井聡太君勝ったよ!」と教えてくれたのを思い出します。今の彼の地はちょうど雪が解けて動物たちが躍動する季節。コハクチョウが巣作りを終え、ホッキョクギツネが子育てに走り回っていることでしょう。

ロシア北極海沿岸ツンドラ地帯。成田→ハバロフスク→ヤクーツク→チェルスキー→現地までおよそ一週間の大冒険(ロシア北極海沿岸 2017)。

真ん中に私たちが約2か月滞在した漁師小屋が見える。風と鳥のさえずりだけが響く、地上の楽園。

白夜なので陽が沈まず、毎日16時間はフィールドに出ていたため、日焼けして誰が日本人かロシア人だかわからない。
撮影に明け暮れた夢のような日々。さんざんお世話になったみんなにまた会いたいなあ!
写真の左から二人目は、コックのカーチャ。料理がめちゃめちゃ上手で食事が唯一の楽しみだった私たちは彼女の3度の食事が待ち遠しかった。
ある日、カーチャが「今日は私の誕生日なの・・・」と言った。突然の告白に驚いた私は、とっておきのウォッカを用意した。宴会も終わり、みんな寝静まった真夜中、物音がするので目を開けるとテーブルでカーチャがウォッカを抱えるように飲んでいた。やがて彼女が静かに歌いだした。私はそっと彼女の歌声に耳を傾けた・・・。
大地の風 そよぐ風 光溢れる希望の大地 花は咲き乱れ 色鮮やかに染まる 豊かな自然 われらの誇り 豊かな大地 われらが誇り
大空の光 そそぐ光 光あふれる夢の大地 緑は葉を広げ 色鮮やかに光輝く 豊かな自然 われらの誇り 豊かな大地 われらが誇り
小屋のまわりで子どもを育てるコハクチョウ。秋には4000キロを旅して日本にやってくる。