GOKIGENRADIO

バーボングラス片手のロックな毎日

運がいいとか悪いとか

2017-06-04 23:20:12 | FOOD&DRINK
悪いこともあればいいこともある。
ついてないなと思っても、ついてるぜって思うことに出会う。
運がいいとか悪いとか、それでもちゃんと帳尻が合うように世の中できてる
人生なんてそんなもんだといつも思ってる。

その日はとことんついてなかった。
先日のブログでジョカのことを書いたら、梅田で鹿児島物産店やってるとの情報を頂いたのでわざわざ行ったが、一人を除いて接客が悪すぎた。(接客の良かった店員に勧められたボンタンアメの姉妹品パイン飴は買った)

駅のエレベーターで扉が閉まるぎりぎりに無理やり入り込んできた複数の中国人観光客は、なんか独特の匂いを放ってて臭かった。乗り換えの電車は満員、改札に向かうエスカレーターではおっさんにしれっと割り込まれた。今日おろしたてのおニューの靴だったので、靴を踏まれないように退いてしまった。

なんかついてないと思うことがちょっとずつあって、さらにおろしたての靴で歩き回ったせいで足がちょっと痛かった。靴ずれってやつですね。
今日は疲れた、自炊する気にはならないし、こんな日はなんか美味しいものを食べて帰ろうと地元駅の街を探索する。
孤独のグルメのように「俺は今何が食べたいのだ」「米が食いたいな」「中華もいいがやはり和食だな」「さてそうなるとどの店がいいか」「うーんこの店はちょっと違うな」「そうか今日は金曜の晩か、どこもけっこう賑わってるな」「ここは店の前に並んでる、パスだな」「どこにしよう、何を食べよう」などと彷徨ってた。

「あっ確かあっちに気になる店があったぞ、あそこに行ってみよう」
その店は路地裏の「豆腐料理・鍋・炭火焼鳥」という看板が出てる店。一体どれが売りなのかさっぱりわからないが、以前に店の前を通った時に気になってた店だ。あそこなら何か美味いものが食えるだろう。ちょっと痛む足を引きづりながらてくてく歩く。

お、ここだ。
入り口前のメニューが書いてあるボードを見たら、一品から鍋までいろんな料理がてんこ盛り。やはり何の料理が売りの店なのかは一切わからん。
暖簾をくぐって店に入る。
あぁ、こんな造りなのね。座敷席とカウンター。二階もあるのかな。
座敷席はグループ客で埋まっている。でもカウンターはけっこう空いているね。

でも、誰も出迎えにきてくれない。
普通扉を開けて中に入った途端、「いらっしゃいませ、何名様ですか?」とか言いながら店員が出迎えてくれるのだが。
「すいませーん」
声をかけるがやはり誰も来てくれない。
「すいませーん」
賑わってるせいか、聞こえないのかな。

「す・い・ま・せ〜ん」
結構大きな声で言ってみたが誰も出てきてくれない。
座敷のお客様や、カウンターのお客様が怪訝そうにこちらを見ている。
バツが悪いなぁ。でも出るのも格好悪いし。
こんな時、常連さんとかが、「マスター、お客様来てるよ」とか読んでくれたりして助けてくれるんだけど、その気配もなし。「うるさいなぁっ、誰だお前は」って感じで見られてる(気がする)。おーい、早く誰か出てきてくれよ。

よし、もう一度だけ言ってみよう。これで誰も出てこなければ出よう。
「すいま」くらいでようやく店主らしき男が裏から出て来た。お盆に料理を持ってるところを見たら、俺の声ででできたのではなく、客席に運ぶために出てきたのだろう。

その男、入り口で立ちすくんでる俺を見るが、何も言わない。
普通はここで
「いらっしゃい」「ごめんねバタバタしてて気づかなかった」「お一人様ですか?」「よかったらカウンターに座って」「後で注文聞きにきますね」「はい、お一人様カウンターで〜す」
というような流れになるはずなのだが・・・。

あれ?なんかおかしいなぁ。まぁいいや、
「あのー、一人なんですが」
と言ってみた。
するとその男はこう言った
「今、混んでるからねぇ」

だから何?
「混んでるからカウンターでいいか」
なのか?
いや違うなぁ、この口調は
「忙しいのに来やがって、暇な時に来いよ」
だなぁ。

喰う気が失せた。こんな店はろくな料理も出てこないだろう。
だからといって怒鳴ったり怒っても仕方がない。げんなりして「また来ます」と言って店を出た。二度と来ることはないけど一応社交辞令でね。

どうしよう、もう足がかなり痛いぞ。一刻も早く座りたいぞ。ビールも飲みたいぞ。腹もかなり減ったぞ。
もうどこでもいいか。王将とか𠮷野家で妥協するか。チェーンの焼き鳥屋でも、居酒屋でもいいか。いや待て、大事な一食だ、妥協しちゃダメだ。
しかし足はもう限界。
そうだ、この先に以前行ったラーメン屋があったじゃないか。あそこのラーメンは美味しかったぞ。ラーメンと餃子、いや、ラーメンとチャーハンってのもアリだな。

「よし、ラーメンでいいじゃないか」と店に向かい、到着。さぁ入ろうと思った時、その先に明かりを見つけた。
「あれ?あの店なんだったっけ?」
もうひと踏ん張り歩いてみよう。ダメだったらまたこの店に戻ってきたらいいだけだ。
あぁ、定食屋さんだ。店の前にペタペタといろんなメニューが貼ってある。いいじゃないか、こんな店好きだ。
ここに入ろう。

扉を開けて店に入ると客が誰もいない。店員も見えない。おいおい、又さっきみたいなことになるんじゃないか?って一瞬不安がよぎる。
「すいませーん」
するとすぐ
『は〜い』
とひとのよさそうな店主(?)が出てきてくれた。ちょっとほっとする。
「すいません、一人なんですけど、いいですか?」
『どうぞどうぞ、お掛け下さい』
おっ、よかった。いい店っぽいぞ、期待感大だ。

ようやく座れた。足がいてぇなぁ。靴近くの足をさすりながら壁に貼られたメニューを見る。いろいろあるなぁ、どれも美味しそうだ、何がオススメなのかな、まずはビールだな。飲みながらゆっくりメニューを吟味しよう。
「すいません、ビールください」
『生と瓶とあるけどどちらがいい?』
「じゃぁ、瓶で。料理はちょっと考えてから頼みます」
という会話の最中、店主が
『足、痛そうだね。どうしたの?』
と聞いてきた。
よく観察してくれてるな。
「いやぁ、今日靴おろしたてなんで、ちょっと痛いんですよ」

その後、店主が裏に行きはったんでてっきりビールを取りに行ったんだと思ったら、なんと絆創膏を持ってきてくれた。
『靴ずれやったらこれ貼っとき』「ちょっとはマシになるやろ』
なんていい人だ。ありがとう。さっきのぞんざいな扱いの店とは月とスッポン、雲泥の差があるなぁ。良かったこの店を選んで。

さて、何を食べるか。壁のメニュー見たらどれもこれも美味しそうだ。ここは魚介類メニューも豊富だな。一品もあれば揚げ物もある。丼も定食もあるのかぁ。おいおい、そばとうどんとか、おにぎりとか味噌汁とかもいろいろあるじゃないか。
これぞザ・定食屋だ。
以前同じ町内で行った幾つかの定食屋はなんかガッカリの店ばかりだった。メニューが少なかったり、ご飯がべちょっとしてたり、店員が無愛想だったり、しかも禁煙だったり。


でも、ここは違うぞ。まだ頼んでもいないし食べてもいないが、俺にはわかる。長年外食してきた俺にはわかる。この店の食べ物は絶対美味いに決まってる。

オススメを聞く。
キスのフライ、いいねぇ、旬だ。カレイの煮付け、それもいいねぇ。揚げだし豆腐、それもらおう。鱧の湯引き、いいねぇ、でも先日食べたのさ。イワシもうまそうだねぇ。入梅イワシなら美味いだろうなぁ。他には?ホタルイカの酢味噌かぁ、それももらおう。
ご飯ものといえば、おや、カツとじ定食がある。
カツ丼よりカツとじの方が好きだ。上に乗っかってるか、別皿かの違いだけなんだが、自分で汁加減がコントロールできるカツとじの方が好きだ。しかもここは定食じゃなくても単品でも頼めるって。いいねぇ、それももらおう。おいおい、ご飯が食いたいっ思ってたのに、なぜ単品にしたんだ?

店主さん、奥に注文を通す。奥にはもう一人おられるのね。返事は女の人の声だ。夫婦でやってはるのかな?
すぐ出てきたホタルイカの酢味噌をつつきながらビールを飲む。
テレビでは卓球をやっている。張本って選手が頑張ってる。珍しいなぁ、定食屋でテレビって言えば野球が定番なのに卓球中継かぁ。
揚げだし豆腐が出てきた。
熱々だ。出汁も大根おろしもいい感じ。やっぱり正解だ。この店は美味しい。

カツとじも出てきた。肉厚あるねぇ、日の通りも衣の具合も卵の溶き加減もお出汁もいい。美味い。
気に入った、今後ここの常連に絶対なるぞ。
店主に言う。
「最近この街に引っ越してきたんだけど、今後贔屓にさせてもらうよ」
『ありがとう、今後ご贔屓に』
仕事は何をしてるのかとか以前はどこに住んでたのかとか、いらないことは聞いてこない。それもいい。

定休日と営業時間を聞く。
『夜10時までです』
えっ!!ちょっと待って、時計見たら今21:55だよ。
「ごめんなさい閉店間際に」
って言うと
『いやいや、気にせんといて、10時までに注文してくれたら全部受けるのよ。大体いつも10時半から11時頃まで開けてるしね』
またもや感激してしまった。
昔はこんな融通の利く店って多かったのだが、最近は店に入るなり「ラストオーダーは何時で閉店は何時です」って追い払うように言われる店が多いからなぁ。

店主は他の客がいないからか、テレビを一緒に眺めてる。
「卓球好きなんですか?」
俺が聞くと
『いや、スポーツ全般どれも好きなのよ』
俺と一緒だ。

その後はどんどん世界に通用する若手が出てきてる。世界レベルで戦える選手はさっさと世界に出してあげなきゃいけない。マスコミや報道ももっとそこらへん考えないとダメだ。佐藤琢磨のインディ500の優勝を日本のマスコミは何故もっと大きく報道しないのだ。この卓球もそうだが日本人選手がメダルを取りそうになってから慌てて応援したり報道したりする。テニスの錦織の時もそうだ。野茂の時だってマスコミは最初そっぽ向いてた。活躍した途端手のひら返し。イチローがFAではなくなぜ裏技みたいな手段でメジャーに行ったのか。大谷も来季はメジャーに行くべきだ。でも日本は海外で活躍する日本人プレイヤーをあまり歓迎しない。これはいろんなスポーツのそれぞれの組織が相変わらず縦社会だからだろう。サッカーで中田がなぜ日本を出たのかから、相撲の白鵬など外国人力士の話、競輪の中野の凄さ、ゴルフの宮里や浅田真央の引退と宇多田ヒカルの休業の関連、フェンシングの太田の苦労とアスリートの報酬の話まで色々スポーツ談義三昧。

あぁ、こんな居心地のいい店は久々だ。

ついてないこともあればその分ラッキーってことに出会う。
運が悪いなぁと思っても、そのあといいこともある。
昔からそうだ。
パチンコで大負けしてもその夜の麻雀で大勝ちしたり、電車にぎりぎり間に合わなくても次の電車で昔の友人に逢ったり、結構お金の入ってる財布を拾ってネコババが頭によぎってもちゃんと届けてあげたら、自分が定期入れ落とした時もちゃんと届けられてたり。
人の運とかおこないなんて、帳尻が合うようになってる。

そう、接客とがダメダメの店で嫌な気分になっても、こんないい店に出会いたりするのだ。
偶然か必然か。
それを運命とかいうのかもしれないね。


1 Comments

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Unknown (男性化してる女)
2017-06-05 22:07:22
これぞ
禍福は糾える縄の如し
ですね!
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