こんばんは、あきっしーにて候う。
由来は秋葉原とふなっしーを略してみました。
・今日の見聞
「秋葉原」に行ってきました。
天気は怪しいものの雨は降らなかった。
・今日のアニメ
「アルティメット・スパイダーマン」を視聴しました。
モーガン・ル・フェイ現る!
・今日のアプリ
「モンスト」を起動しました。
”水の遊宴”ガチャ開催中。
・本日のニュース
情報源は”東洋経済オンライン”
「優れた子育てには、科学的な裏付けがある 根拠の無い通説や思い込みを排除しよう」
慶応大学准教授の中室牧子氏による、「学力の経済学」が異例のベストセラーとして話題を集めています。
教育を経済学的に分析した書籍など、普通のおばさんである私には理解するのも難しいに違いないと、大手新聞で絶賛されていたにもかかわらず、私は本書の読書を後回しにしていました。ところが冒頭から本の内容は、「ご褒美で釣っても『よい』」「ほめ育てしては『いけない』」「ゲームをしても『暴力的にはならない』」とあります。私たちが普段接している、この反対の「常識」には、科学的根拠がないと記述されているのです。根拠の無い通説や思い込みに気づかされることが多く、最初から一気に引き込まれました。
確かに日本では、たとえば財政政策に、財務大臣が「私の経験から」と発言することはありません。しかし教育政策では多分に、権威のある人が(専門家でもないのに)自分の経験に基づく発言をすることに、さほどの違和感はありません。
世の中には、どこかの誰かの受験成功体験や主観に基づく逸話に、藁にもすがる想いで群がる人はいっぱいいます。誰かが成功したからと言って、その通りに真似できるものでもないのに、教育に科学的な根拠が必要だという考え方が、官にも民にもほとんど浸透していないことに、中室氏は警鐘を鳴らされました。
教育経済学で多くのデータを用いて明らかにしている教育や子育てに関する発見は、「知っておかないともったいないこと」でいっぱいだそうです。特定の個人による成功体験より一般性の高い、その「もったいないこと」の数々を、本書は明らかにしてくれます。
米国では2000年初頭から、科学的根拠に基づく教育政策に、大転換したそうです。ノーベル賞やそれに準ずる賞を受賞した多くの優れた経済学者による実験や研究業績で、さまざまな良い教育法の科学的根拠は提示されていますが、そのような米国で実証された「根拠のある教育法」が(日本ではそのようなデータすら開示されていない、という忸怩(じくじ)たる思いと共に)本書では数多く紹介されます。
以下では膨大なデータで示された科学的根拠に基づく、「成功する子どもの育て方」の中、多くの親御さんが関心をお持ちになるだろういくつかを抜粋させていただきます。
まず、「子どもをご褒美で釣って勉強させる」のは、ご褒美がないと勉強しない子になるなどと、否定的な意見が大勢です。ところがこれは、科学的根拠がないそうです。
将来を考えれば勉強したほうがよいとわかっていても、勉強せず目先の楽を選ぶ子どもがいるのは、仕方がないことです。
そうであるなら将来の利益を先送りし、目先の利益や満足を選ぶ子どもの目先に、ご褒美をぶら下げる戦略は、今、子どもを勉強するように仕向けるのにとても有効な方法だと、「実験」結果は示したそうです。
ただ、そのご褒美の与え方で、効果が異なります。「テストでよい点をとればご褒美をあげる」(アウトプット)と、「本を読んだらご褒美をあげる」(インプット)の実験では、テストの結果は一見前者の方がいいように思いますが、「本を読んだらご褒美がもらえる」グループの方が成績が上がっています。
これはインプットにご褒美が与えられた場合、読書や宿題など、「なすべきこと」ことが明確です。一方アウトプットにご褒美が与えられた方は、具体的な方法が示されていないので、何をすればいいのか、熱意があっても勉強の仕方がわかりませんでした。
これはアウトプットにご褒美を与える場合は、勉強の仕方を教えるか、その指導者をつけるなどとセットでないと、効果がないことを示しているのだそうです。やみくもにニンジンさえぶら下げればいいのではありませんでした。
本書の内容は、個人的な育児経験と整合していることも多く、腑に落ちることが大変多かったです。学歴の高い友人に囲まれて努力をすると、自身の学力もアップするというデータ分析結果も示されています。わが家でも息子が朱に交わって赤くなるように、学歴の高い友人たちと切磋琢磨してほしく、進学中学校への入学作戦に力を注ぎました。
実はわが家の一部の子どもに採ったニンジン作戦は、私たちの親バカ子バカをばらすようなもので恥ずかしく、ずっと私は外部には秘密にしていました。今回これに科学的根拠に基づいているというお墨付きがつき、今ではまんざらでもありません。当時は勉強から逃げる子に何もしないよりはと、なりふり構わず取った作戦でした。なんとこの作戦が、「実験」を知らなかった私に、「科学的に効果が証明されたニンジン作戦」を実行させていたのです。
賢い子は放っておいても勉強するものだと自主性に任せて放っておいたら、恥ずかしながらわが家の息子はまったく勉強しなかったことでしょう。他人の成功例を真似て強要せず、中学生になるまでにニンジン作戦を遂行できたのは、正解でした。
レベルの低い自画自賛談になりましたが、要は根拠の無い通説に惑わされることなく子どもの性格をいちばんよく知る親が、子どもの個性に合わせた教育法を研究し、実践するべきだということです。「知らないともったいないこと」の中には、世間の常識や他人の成功例から外れていても、気にすることはないです。
本書を読んで、ともかく学力が高い子弟が集まる伝統ある進学校に、息子をなだめてすかしてでも勉強に向かわせ、入学できたのはよかったと、改めて感じたことでした。その成果には問題が残るとしても、「レベルの高い同級生が勉強している」という環境が整っていなければ、もっと問題が山積したことは、想像に難くないことですから。
(なお、ここでいう「レベルの高さ」とは、学力などのいわゆる「認知能力」だけでなく、向上心や忍耐力、継続力、モチベーションといった「非認知能力」も「レベルの高さ」に含まれています。)
「知らないともったいない」科学的根拠に基づく教育法が、ほかにもたくさん示されていて、目からうろこが沢山落ちました。
「子どもはとにかく褒めて育てよ」は、今や日本では常識です。人によっては、母親は女優のように演じてでも、子どもを褒めよと教えてくれています。子どもが自尊心や自信を持つと、さまざまなことにチャレンジする子に育つという理由です。
「実験」では、(褒めて育てることを否定しているわけではありませんが)むやみやたらな褒め方は、実力を伴わないナルシストを育てることになりかねないと示しているそうです。これは高1で成績がよかった生徒は高3で自尊心が高かったが、高1で自尊心が高かった生徒が高3で成績がよかったわけではないと、研究などで説明されています。
つまり「どのように褒めるか」も重要なポイントで、「頭がいいのね」と、子どものもともとの能力を褒めるのは、やる気をむしばむのだそうで、「よく頑張ったね」と努力した内容を褒められた子が、成績を伸ばしたそうです。親が俳優になって子どもを褒めるのは禁物でした。
私は「子どもは褒めて育てるべき」という言葉を教条的に受けて、信じられないほど子どもが何かをする度に大げさに褒める親と、それを喜ぶ子どもを何組も見てきました。何か本心とか真心といったものが置き去りにされた、芝居をしている親子の会話に聞こえて違和感がありました。
この違和感は、子どもに反省する機会を奪ったり、根拠のない自信をもたせることにつながるという本書の指摘で、「やはり効果がないのだ」と、私の腑に落ちました。
これに加え、以下のような非常に興味深いトピックに関して、科学的な実験結果が論じられています。
「学力の高い友だちの中にいると、自分の学力にもプラスの影響がある」
「しつけを受けた人は年収が高い」
「人生を成功に導くうえで重要なことは自制心や、やり抜く力。それらは筋肉を鍛えるように鍛えることができる」
「子どもの教育に時間やおカネをかけるとしたら、いつがいいか」(これは貧困層の幼児と親に学ぶ機会を提供して、同じ条件で選ばれた幼児教育を提供していない貧困家庭の幼児との、40年間にわたる追跡比較調査です。IQ、学歴、所得などで歴然とした差がつきました)。
「『いい先生』に出会うと、人生が変わる。教員免許制度は、能力の高い人が教員になるのを妨げている制度だ」
以上は目からうろこが出た中の一部を、勝手に少し短縮させて頂いて羅列したものです。
もちろん、データ分析とは数多くのデータに最も当てはまる一般性の高い結論が出されるものなので、その法則に当てはまらない個別ケースがたくさんあることには留意しなければなりません。
たとえば結果にご褒美を与えるだけで、自発的にさまざまな方法を試して結果を出す子どももいますし、まったく恵まれていない学習環境や家庭環境、学校であっても、驚くほど頭角を現す子どももいます。ご存じのように、礼節をわきまえずしつけを受けた痕跡がまったくなく、品性と教養のかけらもない億万長者もたくさんいること等などは、「科学的根拠」がなくても「オバサン的経験」から断言できます。
しかしそれでも、これらの「一般性の高い教訓の数々」を、わが子の個性や親自身の個性に応じて選択的に採用していくことで、家庭教育のすばらしい参考になる、「根拠ある教訓」に満ちあふれていました。
先日、本書の著者である中室牧子氏と、夕食をご一緒させていただく機会に恵まれました。よくもあのように膨大なデータを、素人にもわかりやすくまとめられましたねと申し上げましたところ、「それが私の仕事ですから」とさり気なく返されました。それほど純粋に、学問的根拠に基づいて著された本ですが、面白く読めるような工夫もふんだんにされており、重要な教訓を楽しみながら得ることができます。また当日お話を伺って感心したのですが、実際はこの本の10倍ほどの分量からそぎ落として、重要な部分が凝縮された、渾身の一冊ということができます。
本書には、「今まで読んだ育児書の中では、いちばん腑に落ちる書だった」という感想がほかからも寄せられていることを知り、納得しました。私の、「オバサン的経験に基づいて著されるコラム」で書いてきた育児経験と整合する部分も多く、経験で感じてきた育児経験に科学的根拠を与えていただいたような、「腑に落ちる」感覚が強かったです。本のタイトルは「学力の経済学」ですが、子どもを抱える親御さんの立場で読めば、「育児の経済学」と言うこともできるでしょう。
私のまずい要約で、中室先生が紹介された科学的根拠まで曖昧になっていないか心配です。それでも自信をもって申し上げられることは、教育政策を経済学的に根拠を持って議論する立場の政策担当者の方々のみならず、ご家庭の教育方針を考えられる上で多くの親御さんにとって貴重な「腑に落ちる教訓」に満ちあふれた一冊だということです。
一連の「育児本レビュー」の中で紹介させていただいた本はどれもが面白いものですが、中でも最もおすすめしたい一冊を上げるならば圧倒的に本書です。これから育児をされる親御さんたちには是非一読されることを、お勧めいたします。
由来は秋葉原とふなっしーを略してみました。
・今日の見聞
「秋葉原」に行ってきました。
天気は怪しいものの雨は降らなかった。
・今日のアニメ
「アルティメット・スパイダーマン」を視聴しました。
モーガン・ル・フェイ現る!
・今日のアプリ
「モンスト」を起動しました。
”水の遊宴”ガチャ開催中。
・本日のニュース
情報源は”東洋経済オンライン”
「優れた子育てには、科学的な裏付けがある 根拠の無い通説や思い込みを排除しよう」
慶応大学准教授の中室牧子氏による、「学力の経済学」が異例のベストセラーとして話題を集めています。
教育を経済学的に分析した書籍など、普通のおばさんである私には理解するのも難しいに違いないと、大手新聞で絶賛されていたにもかかわらず、私は本書の読書を後回しにしていました。ところが冒頭から本の内容は、「ご褒美で釣っても『よい』」「ほめ育てしては『いけない』」「ゲームをしても『暴力的にはならない』」とあります。私たちが普段接している、この反対の「常識」には、科学的根拠がないと記述されているのです。根拠の無い通説や思い込みに気づかされることが多く、最初から一気に引き込まれました。
確かに日本では、たとえば財政政策に、財務大臣が「私の経験から」と発言することはありません。しかし教育政策では多分に、権威のある人が(専門家でもないのに)自分の経験に基づく発言をすることに、さほどの違和感はありません。
世の中には、どこかの誰かの受験成功体験や主観に基づく逸話に、藁にもすがる想いで群がる人はいっぱいいます。誰かが成功したからと言って、その通りに真似できるものでもないのに、教育に科学的な根拠が必要だという考え方が、官にも民にもほとんど浸透していないことに、中室氏は警鐘を鳴らされました。
教育経済学で多くのデータを用いて明らかにしている教育や子育てに関する発見は、「知っておかないともったいないこと」でいっぱいだそうです。特定の個人による成功体験より一般性の高い、その「もったいないこと」の数々を、本書は明らかにしてくれます。
米国では2000年初頭から、科学的根拠に基づく教育政策に、大転換したそうです。ノーベル賞やそれに準ずる賞を受賞した多くの優れた経済学者による実験や研究業績で、さまざまな良い教育法の科学的根拠は提示されていますが、そのような米国で実証された「根拠のある教育法」が(日本ではそのようなデータすら開示されていない、という忸怩(じくじ)たる思いと共に)本書では数多く紹介されます。
以下では膨大なデータで示された科学的根拠に基づく、「成功する子どもの育て方」の中、多くの親御さんが関心をお持ちになるだろういくつかを抜粋させていただきます。
まず、「子どもをご褒美で釣って勉強させる」のは、ご褒美がないと勉強しない子になるなどと、否定的な意見が大勢です。ところがこれは、科学的根拠がないそうです。
将来を考えれば勉強したほうがよいとわかっていても、勉強せず目先の楽を選ぶ子どもがいるのは、仕方がないことです。
そうであるなら将来の利益を先送りし、目先の利益や満足を選ぶ子どもの目先に、ご褒美をぶら下げる戦略は、今、子どもを勉強するように仕向けるのにとても有効な方法だと、「実験」結果は示したそうです。
ただ、そのご褒美の与え方で、効果が異なります。「テストでよい点をとればご褒美をあげる」(アウトプット)と、「本を読んだらご褒美をあげる」(インプット)の実験では、テストの結果は一見前者の方がいいように思いますが、「本を読んだらご褒美がもらえる」グループの方が成績が上がっています。
これはインプットにご褒美が与えられた場合、読書や宿題など、「なすべきこと」ことが明確です。一方アウトプットにご褒美が与えられた方は、具体的な方法が示されていないので、何をすればいいのか、熱意があっても勉強の仕方がわかりませんでした。
これはアウトプットにご褒美を与える場合は、勉強の仕方を教えるか、その指導者をつけるなどとセットでないと、効果がないことを示しているのだそうです。やみくもにニンジンさえぶら下げればいいのではありませんでした。
本書の内容は、個人的な育児経験と整合していることも多く、腑に落ちることが大変多かったです。学歴の高い友人に囲まれて努力をすると、自身の学力もアップするというデータ分析結果も示されています。わが家でも息子が朱に交わって赤くなるように、学歴の高い友人たちと切磋琢磨してほしく、進学中学校への入学作戦に力を注ぎました。
実はわが家の一部の子どもに採ったニンジン作戦は、私たちの親バカ子バカをばらすようなもので恥ずかしく、ずっと私は外部には秘密にしていました。今回これに科学的根拠に基づいているというお墨付きがつき、今ではまんざらでもありません。当時は勉強から逃げる子に何もしないよりはと、なりふり構わず取った作戦でした。なんとこの作戦が、「実験」を知らなかった私に、「科学的に効果が証明されたニンジン作戦」を実行させていたのです。
賢い子は放っておいても勉強するものだと自主性に任せて放っておいたら、恥ずかしながらわが家の息子はまったく勉強しなかったことでしょう。他人の成功例を真似て強要せず、中学生になるまでにニンジン作戦を遂行できたのは、正解でした。
レベルの低い自画自賛談になりましたが、要は根拠の無い通説に惑わされることなく子どもの性格をいちばんよく知る親が、子どもの個性に合わせた教育法を研究し、実践するべきだということです。「知らないともったいないこと」の中には、世間の常識や他人の成功例から外れていても、気にすることはないです。
本書を読んで、ともかく学力が高い子弟が集まる伝統ある進学校に、息子をなだめてすかしてでも勉強に向かわせ、入学できたのはよかったと、改めて感じたことでした。その成果には問題が残るとしても、「レベルの高い同級生が勉強している」という環境が整っていなければ、もっと問題が山積したことは、想像に難くないことですから。
(なお、ここでいう「レベルの高さ」とは、学力などのいわゆる「認知能力」だけでなく、向上心や忍耐力、継続力、モチベーションといった「非認知能力」も「レベルの高さ」に含まれています。)
「知らないともったいない」科学的根拠に基づく教育法が、ほかにもたくさん示されていて、目からうろこが沢山落ちました。
「子どもはとにかく褒めて育てよ」は、今や日本では常識です。人によっては、母親は女優のように演じてでも、子どもを褒めよと教えてくれています。子どもが自尊心や自信を持つと、さまざまなことにチャレンジする子に育つという理由です。
「実験」では、(褒めて育てることを否定しているわけではありませんが)むやみやたらな褒め方は、実力を伴わないナルシストを育てることになりかねないと示しているそうです。これは高1で成績がよかった生徒は高3で自尊心が高かったが、高1で自尊心が高かった生徒が高3で成績がよかったわけではないと、研究などで説明されています。
つまり「どのように褒めるか」も重要なポイントで、「頭がいいのね」と、子どものもともとの能力を褒めるのは、やる気をむしばむのだそうで、「よく頑張ったね」と努力した内容を褒められた子が、成績を伸ばしたそうです。親が俳優になって子どもを褒めるのは禁物でした。
私は「子どもは褒めて育てるべき」という言葉を教条的に受けて、信じられないほど子どもが何かをする度に大げさに褒める親と、それを喜ぶ子どもを何組も見てきました。何か本心とか真心といったものが置き去りにされた、芝居をしている親子の会話に聞こえて違和感がありました。
この違和感は、子どもに反省する機会を奪ったり、根拠のない自信をもたせることにつながるという本書の指摘で、「やはり効果がないのだ」と、私の腑に落ちました。
これに加え、以下のような非常に興味深いトピックに関して、科学的な実験結果が論じられています。
「学力の高い友だちの中にいると、自分の学力にもプラスの影響がある」
「しつけを受けた人は年収が高い」
「人生を成功に導くうえで重要なことは自制心や、やり抜く力。それらは筋肉を鍛えるように鍛えることができる」
「子どもの教育に時間やおカネをかけるとしたら、いつがいいか」(これは貧困層の幼児と親に学ぶ機会を提供して、同じ条件で選ばれた幼児教育を提供していない貧困家庭の幼児との、40年間にわたる追跡比較調査です。IQ、学歴、所得などで歴然とした差がつきました)。
「『いい先生』に出会うと、人生が変わる。教員免許制度は、能力の高い人が教員になるのを妨げている制度だ」
以上は目からうろこが出た中の一部を、勝手に少し短縮させて頂いて羅列したものです。
もちろん、データ分析とは数多くのデータに最も当てはまる一般性の高い結論が出されるものなので、その法則に当てはまらない個別ケースがたくさんあることには留意しなければなりません。
たとえば結果にご褒美を与えるだけで、自発的にさまざまな方法を試して結果を出す子どももいますし、まったく恵まれていない学習環境や家庭環境、学校であっても、驚くほど頭角を現す子どももいます。ご存じのように、礼節をわきまえずしつけを受けた痕跡がまったくなく、品性と教養のかけらもない億万長者もたくさんいること等などは、「科学的根拠」がなくても「オバサン的経験」から断言できます。
しかしそれでも、これらの「一般性の高い教訓の数々」を、わが子の個性や親自身の個性に応じて選択的に採用していくことで、家庭教育のすばらしい参考になる、「根拠ある教訓」に満ちあふれていました。
先日、本書の著者である中室牧子氏と、夕食をご一緒させていただく機会に恵まれました。よくもあのように膨大なデータを、素人にもわかりやすくまとめられましたねと申し上げましたところ、「それが私の仕事ですから」とさり気なく返されました。それほど純粋に、学問的根拠に基づいて著された本ですが、面白く読めるような工夫もふんだんにされており、重要な教訓を楽しみながら得ることができます。また当日お話を伺って感心したのですが、実際はこの本の10倍ほどの分量からそぎ落として、重要な部分が凝縮された、渾身の一冊ということができます。
本書には、「今まで読んだ育児書の中では、いちばん腑に落ちる書だった」という感想がほかからも寄せられていることを知り、納得しました。私の、「オバサン的経験に基づいて著されるコラム」で書いてきた育児経験と整合する部分も多く、経験で感じてきた育児経験に科学的根拠を与えていただいたような、「腑に落ちる」感覚が強かったです。本のタイトルは「学力の経済学」ですが、子どもを抱える親御さんの立場で読めば、「育児の経済学」と言うこともできるでしょう。
私のまずい要約で、中室先生が紹介された科学的根拠まで曖昧になっていないか心配です。それでも自信をもって申し上げられることは、教育政策を経済学的に根拠を持って議論する立場の政策担当者の方々のみならず、ご家庭の教育方針を考えられる上で多くの親御さんにとって貴重な「腑に落ちる教訓」に満ちあふれた一冊だということです。
一連の「育児本レビュー」の中で紹介させていただいた本はどれもが面白いものですが、中でも最もおすすめしたい一冊を上げるならば圧倒的に本書です。これから育児をされる親御さんたちには是非一読されることを、お勧めいたします。