夢の続き

癒し空間 ~ 裏ブログ

字幕のこと (かなり長いです)

2005年03月21日 | オペラ座の怪人

あぁ、自分の英語力の無さが情けないです。悲しいです。残念です(T-T)。

これまで、映画 『 オペラ座の怪人 』 を絶賛してきた私ですが、
少し前から、字幕の一部に違和感を感じ始めていました。
最初の頃は、興味や関心が偏っていたのと、映像みながら
字幕読むのに必死で、あまり気にならなかったというか、
余裕がなかったので、ん?とは思いながらも流してみていたのですが、
オペラ座の怪人という ”物語” に興味が出だしてからは、
ん? え? 意味わから~ん「(ーヘー;) というセリフが続発。
これは誤訳? 私の理解力の問題? もしかして日本語力まで
低下してしまったのか(T-T)? と混乱。 英語力が無いため、
ヒアリングだけでは到底自力検証は無理だし(スクリプトまだ届かない)、
ただ、ただ、???マークを溜め込んで悶々としていたのですが、
どうやら誤訳のようです。 ホッ … って安心している場合ではない!
なんだかすごいことになっているようです。 誤訳だらけらしいっすよ!
ファンの間で、字幕改善委員会なるものが発足し、猛抗議を展開
している模様 ( ̄ω ̄;) !! せめてDVDは正しい訳に直してから
発売せよという署名運動までやっていました。

そんなにひどかったとは … 。 確かに、オペラ座初心者な上、
英語力も無い私でも、なんだこりゃ~ヽ( ´ ^ ` )ノ? って
思う部分がたくさんあるもんなぁ。 この誤訳が、主要人物の性格を歪め、
物語の魅力を半減させてしまっていることは、生粋のオペラ座ファンには、
許されざる事態なのでしょう。
生粋のファンでなくても、この事実を知って、物語や登場人物像を
正しく理解できていなかったのかもと思うと、かなりショックです。
一応原作等も読んだので、おそらくそれほど歪められた印象には
なっていないと思いますが。
本を読んで、違和感に気づいたってのもあるしね。

誤解してほしくないのは、映画自体はすばらしい出来なのです。
問題は字幕。 あぁ、もったいない。
ちなみに字幕作成者は、かの有名なナツコさんです。
ロード・オブ・ザ・リングの時も、相当たたかれたとか。

ほんの一部ですが、重大な誤訳のみ、ちょっと書き留めておきます。
(http://enbi.moo.jp/phantom/phantom-movie.html より抜粋)

   ++++++

「 私の贈り物!お前は私の物! 」
(Your chains are still mine. You belong to me! )

マスカレードで、ファントムがクリスの胸元にぶら下がる指輪に気づくシーン。
贈り物?いやそれ、ラウルからの贈り物だから!ファントム贈ってないから!
もう意味不明・・・。 おそらくネックレスのチェーンと二人の「絆」の
ダブルミーニングだと思うのですが、どこから贈り物が出てきたのやら・・・。
「私とお前はまだつながれている。お前は私のもの!」
「私たちをつなぐ鎖は私の手の中にある!お前は私のものだ!」 が
妥当ではないかなぁ。

「 情熱のプレイ 」 (passion-play)
「ドン・ファン」 のシーン。
非常に官能的な映像に表れる破壊力満点の字幕。
「プレイ」 って!17歳・天使さまを信じているクリスティーヌちゃんに
劇中劇とは言え、こんなセリフを吐かすとは!
日本でもミュージカルと区別して 「ストレートプレイ」 という表現をするが、
現代日本で 「プレイ」 というと 「SMプレイ」 とか 「放置プレイ」 とか
「赤ちゃんプレイ」 とか、なんかまぁとりあえず性的なイメージが・・・。
かなり官能的なシーンなので、ここで 「んまぁ、このあとファントムと
クリスティーヌはあんなコトやこんなコトしてお楽しみなのね」 と
勘違いしてしまった人は多いのではないかと思われます。
ちなみに劇団四季版は 「ふたりきりの物語」、サントラの日本語訳は
「受難劇」 となっています。
この 「Point of No Return」 という歌は、かなりセクシャルな意味が
こめられているので、passion-play にもそういうことを想起させるための
確信犯的な部分もあるのかもしれません。
また、「情熱的な芝居」 というイメージを想起させるため、という意図も
多少は含まれているのかとも思います。 ただ、格調高い言葉で
淫らな誘惑を仕掛けるのが 「ドン・ファン」 の面白いところなので、
単なるセクハラオヤジみたいな言葉は使わないでほしかったと。
ていうか、「私たちの情熱のプレイ」 って、単純に日本語としておかしいし。

「 ぼくを裏切らないでくれ 」
ファントムの隠れ家にクリスティーヌを追ってやってきたラウルくん。
せっかく彼女を見つけた嬉しさで、マダム・ジリーの忠告
(目の高さに手をあげて) を忘れたために首に縄をかけられてしまいます。
クリスティーヌに対し、どちらかを選べと迫るファントム。
ファントムを拒否すればラウルは殺される。 ファントムを選ぶということは、
ラウルと別れ、闇の世界で生きなければならない。 
そんな究極の選択をクリスティーヌは迫られているわけです。
そのシーンでラウルくんは泣きながら歌っているのですが、泣き顔と字幕の
セリフがあいまって、ものすごく情けない人になってしまっています。
情けないだけならいいのですが、「自分が助かりたいために、
クリスティーヌに助けを求めている(ファントムに従ってくれと懇願している)」
ように見えてしまいます。 さらにその後のクリスティーヌの行動の動機も
ひどく矮小化されてしまうことになります。

ファントム ・ クリスティーヌ ・ ラウルによる三重唱のシーンで、
原詩 (ロンドンオリジナルキャスト版参照) では

Christine,forgive me,please forgive me...  
クリスティーヌ、どうか僕を許してくれ
I did it all for you,and all for nothing...   
全ては君のためにやったことだけど無駄だった
Say you love him, and my life is over    
彼を愛していると言えば、僕の人生は終わる
Either way you choose, he has to win   
どちらにしても彼の勝ちだ
Why make her lie to you, to save me? (to PHANTOM)
僕を助けるために、彼女に (お前を愛していると) ウソをつかせるのか?
For pity's sake, Chiristine, say no!      
頼む、クリスティーヌ、「ノー (怪人を愛していない) 」 と言ってくれ
Don't throw your life away for my sake  
僕の命を救うために、君の人生を犠牲にしてはいけない
I fought so hard to free you         
僕は君を自由にするために闘った

と歌っています。 しかし字幕では、 「僕を裏切らないでくれ」
「彼女にウソをつかせるのか?」 「君を助けたかったんだ」
というような3行しか字幕がついていなかったと思います。
ラウル哀れなり・・・
同時に3人が歌うので、全ての歌詞に字幕がつけられないという
事情はあるでしょうが、この字幕からは、
「自分の命を捨ててでもクリスティーヌを怪人から救いたい」 という
ラウルの一途な愛が見えてきません。
正直、「なぜそこを訳す?」 と疑問に思います。
ラウルの歌の中で一番伝えなくてはいけないのは
「Don't throw your life away for my sake」 だと思うのですが・・・。
どうせ3行しか出せないのなら、この際、歌と字幕の出るタイミングは
一致しなくてもいいから、「僕のために犠牲になるな」 あるいは
「僕を見捨てろ(四季訳)」 を入れるべきだと思います。

「 あなたに惹かれたことを! 」 (you are not alone )
この作品中、一番大切ともいえるこのシーンでやってくれました。
ここはそのまま 「あなたは孤独じゃない」 と訳すべき!というか、
なんで勝手に脚色するのか理解に苦しむ。
なぜ 「惹かれていた」 という意訳がダメなのかというと、舞台版や
原作ではクリスティーヌがファントムに対して恋愛対象として
「惹かれていた」 かどうかははっきりさせていないからです。
ここはファンの間でもいろんな解釈があるのですが、
恋愛感情だけでなく母性愛、慈愛とも言えるもっと大きな
「愛」 だったのでは、と思います。

「私もアナタのこと好きよん」 → チューだと、そのあとなんでファントムが
呆然としてラウルとクリスティーヌを解放するのかがわかりませんし、
愛の告白した割りにあっさりとラウルと一緒にラブラブな歌を歌いながら
去っていくクリスティーヌはもっと理解に苦しみます。
尻の軽い二股女にしか見えません。 また、先の 「僕を裏切らないで」
というラウルくんの泣き落としのあとにこの言葉とチューだと、
ラウルを助けたいために嘘をついているようにも見えます
(もともとそういう解釈をしている人もいますが、ここで問題なのは、そういう
解釈を限定してしまう訳は作品の意図をゆがめてしまいかねないということ)。

訳がおかしいのももちろんのこと、この字幕が出たとき、
ちょうど字幕の位置とかぶる位置で、クリスティーヌが指輪をはめています。
「You are not alone」 って言いながら左手薬指に指輪をはめて
ファントムにキスをする。 指輪をはめたことは、この瞬間クリスティーヌが、
確実にファントムのものなのだということの証。 ものすごい重要なシーンなのに
字幕に集中してたらかなりの確立で見逃すと思います。
訳云々より、この瞬間の字幕が邪魔!

   ++++++
 
えっと、しつこいですけど、これでもほんの一部です。びっくり。
しかし、本当の意味を知ることが出来てよかったよ(ー)。
意味が180度違う部分もあったりして、なんともまぁ、
ひたすらお口あんぐり状態です。   
あぁ、英語力があったら、字幕なんて気にせず更に感動できるのになぁ。