ヴィクトリア朝の封建的な空気が残る1902年のロンドン。
上流階級の家庭に育ったビアトリクスは、子供の頃からの
夢であった絵本を出版しようとしていていた。
主人公は、青い上着を着た愛らしいうさぎ、ピーター。
新人編集者、ノーマンはビアトリクスの絵に魅了され、
二人で制作した絵本はたちまちイギリス中に知られるようになった。
いつしか愛し合うようになる二人だったが、ビアトリクスの両親は
身分違いの結婚を許さなかった。
舞台は1902年、ヴィクトリア王朝時代のイギリス。
それだけで興味津々。 いつまで見ていても飽きないほど
美しい湖水地方の風景はもちろんのこと、ところどころに
とても効果的に登場して、優しい微笑みを誘う2次元の動物たち、
チャーミングな2人の主演俳優と、個性豊かな実力者揃いの
脇役たち…。 衣裳といい、スケッチブックのカバーといい、
ビアトリクスの持ち物といい、静かな中にも、英国らしい
見どころばかりで、最初から最後まで、画面に釘付けだった。
物語の中心に描かれる、30歳を過ぎて尚、初々しく瑞々しく、
過ぎるほど節度ある、紳士と淑女の恋が、
ずっと心に染み入って離れてくれない。
1度で隅々まで大好きになった、珠玉の1作。
きっと、何度も観たくなってしまうだろうな。
長蛇の列に並んだ甲斐がありました。