オレのタバコ人生

2010年11月17日（水）午前６時30分。

1989年、二十歳のオレはタバコを吸い始めた。
法律的に大人と認められる年齢になっても、背が低く比較的童顔だったオレは、年相応に見てもらえず、その事についてかなりのコンプレックスを感じていた。
なんとか、大人に見られる方法はないものか。

男の嗜みは、

酒、タバコ、女

の３つだ。
ただし、酒は一滴も飲めない。女はいない。とくれば残るのはタバコだけ。
実際、タバコを吸っていれば、それなりに大人に見てもらえるんじゃないか？
そんな軽い気持ちで喫煙家の道を歩んだ。
当時、仲間内で流行っていた銘柄は、『キャスターマイルド』。
ジーンズの後ろポケットから、取り出したしわくちゃのタバコから、いびつに折れ曲がったタバコを１本取り出し、ジッポライターで火をつける。これが、我々の流儀だった。

以来、幾度となく実施された値上げごとに、価格の安い銘柄に変更しつつ、吸い続けた。
最後に落ち着いたのは、290円の『キャスターワン』だった。
そして、今年10月。タバコが大幅に値上げされた。
オレの中でタバコは300円まで。というルールがあったため、この値上げではもう買えるタバコがないという事になる。９月末の時点で、買い置きしたタバコは３カートンほど。
これがなくなれば、お終いだ。

そして無くなったのが、冒頭の日付。
もう、タバコを吸う事で、大人のフリをする事は出来なくなる。もっとも20年前に比べると、オレも年をとったのでさすがに未成年に見られる事はないだろう。
とにかく、20年を越える喫煙家としてのオレの人生にピリオドがうたれた。

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ちょっとだけハードボイルドな感じにしてみましたが、やっぱりキャラが違うなぁ。