方向音痴はつらいよ

　「殿　お義母さんに　認知症の検査

受けてもらおうよ。

　この間　殿の従兄弟のヨウチャンが来て

元気な時にこそ　認知症機能検査

受けてもらった方が　良いよって

言ってくれたじゃない。」

「そうだねえ、掛かり付け医に　相談してみようか。」

「なんとか　リホームが終わった　

今の内に　診てもらおうよ。」

「先生　いつもお世話になります。

母の認知症検査を　お願いしたいのですが。」

「お母様もご高齢ですから、

検査した方が　良いと思います。

紹介状を書きますから、持って行って下さい。」

「ありがとうございます。」

「はじめまして　こんにちは、これ　紹介状です。」

「ハイ、お聞きしています。

早速ですが　検査していきましょう。」

　「では初めに　ここはどこでしょう？」

「びょういん？」

「今日は何月何日ですか？」

「なんがつ？なんにち？」

「何曜日ですか？」

「なんようび？」

「桜・猫・電車　言ってください。」

「さくら　ねこ　でんしゃ。」

「この言葉を　覚えておいて下さいよ。

次に　100から3づつ引いて行って下さい。」

「93　83　73　63　53…」

「ハイ　良いですよ。

今の季節は何ですかね？」

「なつ？」

「今の年号は？」

「年号？」

「明治とか　大正とか」

「それなら　しょうわです。」

「一番最初に　覚えておいてくださいって

言った、3つの言葉は何でしたかねぇ？」

「？？？」

「ハイ　良いですよ。」

「ではこの紹介状を　持って行って

総合病院で　脳のMRIを撮って貰って下さい。

ここでの　検査は以上で　終わりです。

お疲れさまでした。」

「どうもありがとう御座います。」

「MRIの結果も出まして、

お母様の脳の萎縮もそれほど　進んでいるとは

言えません。年相応と言えるでしょう。

とりあえず　認知症機能を抑える　お薬を

お出しします。毎食後に飲んで下さい。」

「ハイ　ありがとう御座います。」

「お大事に。」

（自分で頼んだ工事の人を

怒って　追い返してしまっても

認知症では　無い？

年相応？

どう言うっこっちゃ？

エライコッチャ！）

　

「殿　そう言えば　お義兄さんも義妹も

見えなくなっちゃったよねぇ？」

「あ　本当だ。いつからだろう？

何か聞いてない？」

「それを　私が　聞いているんだよ？」

　　　　　　　　　　┐(´д｀)┌ﾔﾚﾔﾚ