「こんにちは。」
「こんにちは いらっしゃい どうぞ。」
「ハイ、ありがとうございます。」
「いつもの通り、サッパリとカットでいいっすか？」
「ハイ、サッパリカットで、お願いします。」
「あれ？顔 どうしました？むくんでませんか？」
「あぁ むくんでるのかー。
かかりつけ医に行って
顔が変なんですって言ったんですよ。
むくんでるって 言ったら良かった。」
「かかりつけ医はなんて？」
「血圧計って 大丈夫ですって。」
「むくみと血圧って関係あるんすかねぇ？」
「さあねえ……
私 もしかしてモラハラ？って、思っちゃったんですよ。」
「え？モラハラ 誰からっすか？」
「実の父と弟から、父はもう亡くなってるんですけど。
それと 同居の義母からも。」
「そりゃぁ、ショックっすね。」
「ものすごい ショックですよ。
まさか実の父、実の弟からモラハラされていたなんて。
それでタブレットで調べてみたら、
『投影・投射』とか『同一視』とか
『ガスライティング』とか、
手口って言うんでしょうか？色々あって、
父は『バカ』『ダメね』が口癖で、
弟は『アンタの顔不気味だぞ』って 言うもんで、
私 とうとう顔がオカシクなっちゃったか って、
思っちゃったんですよ。」
「暗示に掛かったみたいに思ったんすね？
そりゃぁ、気にしすぎっす。」
「そうなのよ、この気にし過ぎる性格が、
モラハラのターゲットになるんだって。」
「じゃあ モラハラにあいやすい人がいるんすか？」
「そうらしいですよ。
夜中に暴走族の人が走っているでしょ？
どんなに爆音立てて どんなに遠くまで走って
どこへ行こうと 自分は付いて来るんですからねぇ。」
「もっと自分をいたわってやってくださいよ。」
「本当 可哀想なことをしちゃった、
私 ホントに気が付かなくて 悪い事をしちゃった。
自分に厳しいのもターゲットになりやすい人の
性格なんだって。」
┐(´д｀)┌ﾔﾚﾔﾚ