パリ、サン・ブノワ通り 2013-03-30 20:58:00 | 文学 それほど前のことではないが、 ある晩、私の窓の下を一組の男女が通って行った。真夜中のことだった。 二人はあるシャンソンを歌っており、私には題名はわからないが、 一度、生涯でただ一度だけ、 私が幸福だった時期に聞いたことがあるように思われた。 拍子のはっきりした曲で、 古いロンドのリフレインみたいなリズムと音調をもっていた。 (マルグリット・デュラス『戦争ノート』田中倫郎訳 . . . 本文を読む