てのひらの中の偶然

携帯iphone12、そしてOLYMPUS OM-Dが切り撮った日常の風景

六本木-キャンティの想い出

2009-03-02 | 東京・影
CCLemon ホールでのライブ“きめてやる今夜”
内田裕也さんは、言葉少なに沢田研二少年の上京後のエピソードを語った。

「東京・六本木のイタリアンレストラン、キャンティにザ・タイガースを連れて行った
ステーキを注文するメンバーもいたのに
沢田研二は、(安い)バジリコ・スパゲッティを頼み、(口を)緑色にしながら食べていた」

沢田研二の遠慮がちな性格、また、それが裕也さんはいたく気に入ったと伝えたくて話してくださったのでしょう。

その後、キャンティはタイガース縁の場所となり、
併設のブティック-ベビー・ドールはタイガースのコスチュームを誂えているということで有名になりました。

ジュリーが口を緑に染めた頃から8-9年後、わたしは関西の片田舎から上京しました。

かなり前に、ザ・タイガースは解散していましたが、キャンティの存在はわたしを惹きつけました。
きらめく才能、リーダー的なクリエイターや文化人が集い、最先端のカルチャーはそこから発信される、
そんなキャンティに足を踏み入れてみたい、雰囲気を感じるだけでも良い・・・。

上京して2-3ヶ月後、気合を入れて一張羅を着込み、友人と二人で初めて六本木の駅に降りました。

キャンティには迷わず辿り着けました。
想像していたよりはずっと小さな入り口、狭くてほの暗い店内。
緊張しながら、案内された席に着くとメニューが渡されました。
お財布にはいつもよりは多めに入れてきていましたので、
スパゲティなら充分食べられそうで安心しました。
わたしと友人は、それぞれ別のスパゲティの品名を口にしました。

メニューを受け取った中年のウエイターは言いました。
 「手前どもはパスタハウスではございません・・・」「・・・???」
 「前菜、メインもご注文いただきませんと・・・」

スパゲティだけでは提供できない、そう言われているのです。
お財布の中には、お肉くらい食べられそうな金額は残っていたけど、
これ以上、ここにいる気持ちにはなれなかった。

だってね、わたしたちと前後して入店した有名な音楽家は、パスタしか注文してないやん!

おのぼりさん風情の小娘は、客ではないと言われたわけで、
意気揚々と場違いなところへ出かけて行ったのを悔いると共に、そういう世界もあると知ったわけで、
憧れの「キャンティ」に撃沈されてしまった!の巻きでした。

それから十数年、時は流れ・・・
ご近所にカジュアルなイタリアンレストランがオープンしました。
お店の前にハーブが沢山植えられ、明るい店内、親切なスタッフ
そして何よりもお料理が美味しいのです、オードブルからデザートまでいつも大満足で、
昼夜に関わらず、足しげく通いました。
ある日、そのお店のオーナーシェフが「以前は六本木のキャンティで勤めていました」と。

わたしは、かつて撃沈された顛末をご披露してしまいました。
「撃沈されたけど、今はここで美味しくいただけるので満足です。」
彼は少し顔を曇らせ
「昔はそういうこともあったかもしれませんね、
 でも、今はそんなことはないと思います、また行ってみてくださいね。」

そして、そのイタリアンレストランも今はなく、わたしのキャンティ再チャレンジもなく。
昔、むかしのお話です。


この書籍はきらびやかなキャンティの歴史が綴られています。
わたしが読む限り、ザ・タイガースの一部メンバーはキャンティに心酔していたようですが、
ジュリーは距離を置いていたのではないかと感じます。みなさまはどうお読みになるでしょうか?
キャンティ物語 (幻冬舎文庫)
野地 秩嘉
幻冬舎

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本日の画像は2月25日 ライブ開場前ののCCLemonホールです



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