『一枚の絵画と詩』
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『ピレネーの城』 1959年
ルネ・マグリット(1898~1967)
マグリットは絵画という行為について、色を並べて、その実相を消し去り、空、人、木、山、家具、星、堅固な構造物、落書きなどの見慣れたものを、一つの詩的に凝縮したイメージに統合する芸術、と表現している。
また、マグリットにとって絵画とは、この世界に関する私たちの知識を深める手立てであり、絵の題名は説明ではなく、絵は題名の図解ではない。題名と絵の関係は詩的である。つまり、この関係によって、二つの相反するものに共通する側面が表現されなければならないと。
私はこの一枚の絵、『ピレネーの城』を見て、なぜか、スタジオジブリの『ハウルの動く城』 を思い浮かべました。これは、ただ城が宙に浮いているということからの連想なのですが、この絵を見た人は、それぞれ何を思うのでしょう・・・・。
広大な海と青い空を背景に浮かぶピレネーの城。まさしく、言葉は失われ、『一枚の絵画と詩』があるということでしょうか。