福井7人の工芸サムライ

福井県にある国指定7つの伝統的工芸品の職人やモノづくりや産地、福井にまつわる事がらをご紹介します。

モノづくりの現場にヒントがある

2019-10-20 14:53:42 | ブログ

モノづくりの現場を知る事は重要です。


写真

今回は、モノづくりは机上ではなく現場から生まれるという紹介です。

 

皆さんはネットショップを活用する時代になっていますが
高額なものや、健康に関するものは実物を見ますよね?

やはり、それだけの対価を支払うなら失敗したくないですね。

東京からお客さまが来て頂きましたよ。
当社の商品を販売していただいているんだけど
体験して頂いて「こんなに手間かかってるの!?」って体験してもらいました。

体験して頂いたおかげで、買ってくれるお客さまに苦労談お話しできて説得力増すし、
自分で作った「おみやげ」なんて一番の思い出だよね。


モノづくりも実際使われている技術や人、設備から生まれます。

 

モノづくり 現場
製造現場を知るって大事な事です。
例えば、写真のような黄色い箱を扱っているとします。
お客さまから色々質問されますよね・
で、『~じゃないですかね?』『~だと思います・・・』
って見てもないものに返答できないから自信ないのバレるよね。

自信持って
実際に工場に行って、製造したところ見てきたから間違いないです!
なんて説明したらグッと説得力あがるよね!

僕も実際にイタリアのマツケリーに行って製造工程見てきたことが生地説明の自信になってるからね。
僕たちが作っている商品も実際に作っているとこ見てるから自信もって説明できる。

だから、製造現場を確認することは重要です。

 

 

そして時代の流れは止まらない

 

モノづくり 時代の流れ

例えばメガネの話。
現場を見て、どれだけ質のいいメガネを作っていたとしても、
コストとの関係は切っても切れない。

数量が多くて難易度の低いメガネの製造は生産コストが低い中国に流れ
逆に中国で対応できない難易度が高いものは日本に注文がきています。

難易度が高いものは行程が多く、時間もかかり不良率も高い。
かといって競合相手もいるから高い値段もつけれない。
要はハイリスクローリターンなんです。
しかも高級枠は必然と数量も少ない。

技術もあって仕事もあったのに倒産した部品加工会社があった。
予想だが手離れの悪い難易度の高い仕事を大量にして、人件費や材料費、型代の支払いはまったなし。
その割には利益率が低かったのかなと推測できる。

ますます仕事量が減少していくのなら、他力本願はやめて自立する商売をしないとダメだね。

しかし、なんでこんな高い技術があるのに潰れないといけないんだろう。。。
辛い思いをしている人がいるんだと思うと世の中理不尽でならない。

話は逸れてしまいましたが、、

鯖江耳かきはデザイナーが鯖江の工場に来ました

 

鯖江ミミカキで企画デザインから流通、宣伝まで手がけて頂いている
セメントプロデュースデザイン」様が鯖江まで来て頂きました。

質問の内容は
「〇〇したことありますか?」「この機械は何をするのですか?」「〇〇作ったことありますか?」
色々ヒアリングして、その中から出来ることを探るという事です。
そしてデザインに落とし込みできるように、現場を確認します。

詳しくは「鯖江耳かき誕生の秘話」をご覧ください。

 

 

モノづくりの産地はどうなの?

 

 産地は当社だけでなく、市場全体がすごく厳しい状況が続いてます。
時代に順応していくことがすごく大事だね。

でも、圧倒的に情報が少ない地方産地はどうしたら良いかも分からない状況。
ここで良いパートナーがいるといないでは雲泥の差なんだなと。。。

思いっきり相談して嫌われたら残念だけど頼るべき人には頼ろうと思いました。

最後に。。
成功しているモノづくりの成功者の経営理念を書いておこう。
・自分たちの事を自分たちで発信すれば伝えたい事を伝えられる。
・客観的にみることが大事
・自社の強みをアピールしていく
・名前が隠れる仕事はしない
・企業は人作り、感動作り
・人が見てかっこ良い人間になること
・人を集めれば結果はついてくる

モノづくり側、デザイナー側と、上手く連携することがモノづくりの秘訣です。


ウエアブルメガネの時代がやってくる

2019-10-10 21:58:45 | ブログ

メガネ型をしたスマホがすぐそこまで来ています。

 

 
今回は、メガネが進化形はどうなる?を紹介します。

スマホが当たり前の日常

メガネ ウエアルブル


皆さんは調べごとや食べたいもの、欲しいものがあったらスマホで調べますよね。
スマホはすぐ手元にあるし、パソコンみたいにいちいち立ち上げなくてもいい。

タッチパネルで子供でも簡単に操作できます。
スマホはすごく便利ですねー。

大変なのは文字を書くときくらいですかね?
ブログやメールを書く時はやはりキーボードがあると便利です。

 

スマホさえもいらない時代に?

スマホ いらない時代


そんなスマホさえも持たなくてもいい時代が目の前まで来ています。
スマホはウエアブルメガネになります。

ウエアブルとはwear able  ”着用できる”ということ。

スマホが誕生して10年
世界は一気に変化しました。
固定電話から携帯電話に変わっていったように

 
時代が変わった例

・電話からラインなど無料通話アプリに

・紙媒体からkindleのようなデジタル媒体に

・マスメディア(CMや新聞)からソーシャルメディア(個人発信SNSなど)

・リアル店舗からバーチャル店舗(ネットショップ)に

・大手ゲーム機器からスマホアプリゲームに

 

メガネも時代とともに進化してきました

メガネ 進化

メガネが誕生したと言われる江戸時代には
視力が悪くて本など読めない人たちに、新しい視界を提供するという
イノベーションを起こしました。
 

 

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そして、メガネは時代に合わせた変化をしていきます。
・紫外線から目を守るサングラスが生まれ
・錆びない、軽いチタン製のメガネが生まれ
・ファッションアイテムとして利用され
・踏んでも壊れないゴムみたいなメガネが生まれ
・パソコン用メガネが生まれてきたように次々と進化してきました。

 

 

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レンズも水晶からガラス、軽くて透明性の高いアクリルと進化しています。

そして、ついにメガネはスマホのようなデバイスと融合するのです。 

メガネって起きてる時は常に着用していますよね。
スマホも常に体に携帯し、身近にありますね。
出来るだけ荷物を減らしたい現代人にとって、
スマホとメガネの融合はとても魅力です。
私もその1人です。

 

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そうなると、世の中からなくなるものも出てきますね。
・カーナビ
・紙の地図
・辞書
・家にある固定電話
・メモ
・電話帳

などでしょうか。

おそらくアップルあたりから"apple watch"の次は"apple glass"てのが出てきそうな予感です。というか出てきて欲しいですね。

 

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メガネの産地も鯖江から変わる時代が来るかも

メガネ 鯖江

メガネのまち鯖江においても、かけるメガネの技術は素晴らしい。
しかし、ウエアブルメガネが生まれたら”めがねの産地”も厳しい時代が訪れます。
なぜなら、コンピュータ部分を作る工場が一緒にメガネを作るからです。
わざわざ、メガネだけ違う場所で作って、合体させるという手間をかけずに
一体型を作った方がコストも納期も抑えられますよね。

 

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最後に・・
その前にメガネのまち鯖江からウエアブルメガネ誕生して欲しいと願うばかりです。

 

 

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新商品開発のタネ。サイズを変えて違うターゲットに

2019-09-23 10:19:15 | ブログ

新商品開発するには

新商品開発 閃く




今回は、新商品開発するときのタネとなるような事例を紹介します。

すでに売れている商品をもっと広めたい

福井県にあるパン屋さんの実例です。
あん食パンで有名な「パンテス」さん。
あん食パンといえばパンテスと定着するようになりました。

発売から安定した売上を作っているのですが、
美味しいあん食パンをもっと手軽に広めたい、
というご相談を受けました。 

売れている商品ならサイズだけ変えるのが有効

すでに知名度があり、アイキャッチも、ネーミングも
整っています。

となると、販売ターゲットを変えてみるのは有効です。
今までのターゲットがファミリー向けだったなら、
一人暮らしの女性、子供向けにターゲットを変えてみる。

1人暮らしの女性なら食パンサイズは大きすぎる、余ってしまう。
子供なら食パンサイズ1枚は大きすぎる。
結果、サイズを小さくしたら良いです。

試作を作ってコストを算出

新商品開発


ターゲットが決まったら実際にかかるコストを計算し、
ビジネスとして商売ベースになるか調べます。
小さい食パンが作れる型が安価で手に入ることがわかった。
サイズが小さくなる分、手間が少し増えるが、大きくコストアップしないことがわかった。

新商品はコンセプトが大事です

新商品開発 コンセプト

コストも採算ベースに乗ることがわかった。
ターゲットも明確になり、生産も問題ない。
次に考えるのは、お客様に商品をわかりやすく説明する
キャッチコピーや商品コンセプト作りです。

商品コンセプト
おやつに、お酒のお供にも
かわいくなったあん食パン。
サイズが小さくなって登場です。


もう一度おさらい

 ・一口サイズにしてお子様に

・斬新さ

・持ちやすい・食べやすい

・女性でも気軽に食べれる

 

  商品開発は作って終わりでない

〈福井の職人を応援したいプロジェクト〉と称し
開発から販売まで応援させて頂きました。
責任を持って消費者に販売をするまでが私の仕事です。

たけふ菊人形祭りで実際に店舗を出し
私が販売しました。 

ものづくりで一番難しいのは「モノを売ること

モノを実際に売り、エンドユーザーの生の声を聞いて改善し、
売り上げを伸ばすまでが「モノづくり」です。

買うのはエンドユーザーなので、なぜ買ったのか、なぜ買わなかったのか、
どうしたら買ってくれたのか、買うのを迷っている原因は何か。
ヒントはたくさんあります。

売り場の装飾も「ものを売ること」には大事な要素ですが、
今回は急遽販売が決まったので売場作りはお金と時間は掛けれませんでした。反省。。
しかし、他のパンと合わせた200個は完売。
買いやすい単価、食べるタイミングなど勉強になりました。


大体のターゲット価格と見せ方のヒントが分かりました。
より改善してクライアントさんの売上アップに繋げます。

 


伝統工芸は流通も伝統工芸

2019-09-04 21:32:13 | ブログ

伝統工芸品が私たちの手元に届くまで

伝統工芸 職人

今回は、ネットでモノを買うのが当たり前になって便利になりました。昔のネットがない時代はどうやってモノを買ってたの?というお話です。 

伝統工芸品の市場は古い流通体質が根付いている

伝統工芸 着物

30年前、今のようにアジア製の安い商品がない時代。
伝統工芸(手作り)が世の中を流通していました。
今でさえ【伝統工芸=高い、古い】というイメージですが、
一昔前は我々の日常用品として使われていました。

流れをみてみましょう。
【メーカー → 問屋 → 百貨店】
が基本の流通でした。


順番に追ってみていきましょう。

まず0からモノが作られます。
【作り手・メーカー】
・職人
・工場


問屋がモノを買い、百貨店に売ります。
【問屋】
・産地問屋
・大手問屋

 

【百貨店】
・伊勢丹
・阪急阪神
・そごう西武
・高島屋
・大丸松坂屋 など

【消費者】
・一般家庭

 

モノはそれぞれ 作り手ー買い手ー売り手ー使い手 と流れていきます。

その中で唖然とした業界がありました。
それは着物などの呉服業界でした。
なぜ着物があんなに高いのか、カラクリが分かりました。

問屋か何社も重なっているのです。
一次問屋 → 二次問屋と 当然関わる問屋が多いとコストも上がりますよね。
そのシワ寄せは一番下にいる職人、工場です。
時給に換算すると現代の全国平均金額より低いのが普通だと聞きました。
誰も幸せになれない負のスパイラルです。

【負のスパイラル】
・職人は食えない
・問屋も食えない
・消費者は高いから買わない
競争力がないから売れないし、誰も得しません。

古い業界は古い流通から抜け出せれない

伝統工芸 古い


古い業界は昔からの流通の流れから脱却することが難しいです。
新しいチャレンジをしたいという若い職人も当然います。
しかし古い体質から脱却できないのです。

理由は既存の問屋流通を飛ばして一般顧客や百貨店に商売をすると、
既存の問屋はもちろん、暗黙のルールを破ったと各問屋から取引中止になるのです。
なので今まであった注文を捨てて、新しい販路開拓するには、かなりのリスクが生じる。

職人や作り手は成功するか分からない販路に賭けるよりも、厳しいながらも確実に生活する道を選ぶのです。
私も同じ立場なら賭けには出ないです。

伝統工芸の問屋も変わることができない

伝統工芸 問屋

しかし問屋も問題を抱えています。
百貨店の売り上げが上がらない今、モノを売らないと利益を生み出すことができない問屋は厳しい状況です。

そして、問屋の弱点はモノを作ることはできないということです。
逆にモノがなければ商売ができない。つまり職人、作り手次第ということです。
新しく工場を作るにも職人、材料、ノウハウが必要。
新しくモノづくりを始めるにもお金と時間がかかり、とても得策とは思えない。
※一般的な問屋の場合です。

問屋のメリットってなんだろう。。。
職人から良い時代の話を聞いた。良い時代は役割分担が明確だったという。

昔のいい時代
  • 職人は作ることだけに専念できた
  • 職人は問屋の注文数を作るだけでよく、在庫がいらない
  • 職人は問屋から商品のアドバイスをもらえた

それぞれ余計な事を考えなくていいので効率はいいですね。
しかし、今では百貨店の受注数も減ってしまったのに昔の価格だけ生き残っている
問屋も同様にモノが売れないから職人の要求を吸収できない。

問屋から職人に対する厳しい3つの苦悩
【小ロット、低価格、即納】
職人には非常に厳しい状況である。

伝統工芸問屋が機能が発揮できていないなら

営業 伝統工芸



問屋が商品を買ってくれないと、職人やメーカーが自分たちで販路開拓する動きが活発になる。
今の時代、展示会、SNSやネットを介してB to B に訴求できることが容易にできる。
最近ではB to Cと百貨店の催事などで直接エンドユーザーと接点を持つ機会も増えている。
商品を買うのはエンドユーザーであり問屋が買うのではない。という動きも出てくるのは当然だ。
そして、問屋が担ってきた商品開発の部分もエンドユーザーの意見を聞いた商品作りをすれば間違い無い。
ますます問屋の存在が薄くなる。

伝統工芸の問屋の個性ってなんだろう?

伝統工芸 百貨店

販路があるという事ですね。
販路があるのが一番強い。なぜなら、お金を頂けるのはお客様だけだ。
よくあるパターンは日本の伝統工芸では儲からないから中国から安く商品を仕入れて流通に流す。利益は大きくなり、儲かりますね。
そして、このビジネスモデルはすぐ真似できるので各問屋がアジアから安い商品を仕入れ価格競争に陥って悪循環。また、誰も儲からないパターンだ。
それが今の問屋業界である。

 

最後に・・
新商品の値段も決められ、在庫も持たされて本当にそれでいいの?
古い体質から脱却するには 何かを捨てないといけないわけで
踏み込む勇気が必要ですね!


ものづくり仕事におけるマーケティングとは

2019-09-01 23:53:03 | ブログ

ものづくり仕事において一番難しいのは売る事

ものづくり仕事 販売

今回は15年ものづくり仕事に携わった私の経験談を紹介します。

ものづくりの目的は売上を作り、継続していく事です。

ビジネスをする上でよくマーケティングが必要だ。
という言葉を聞くと思います。
今回はマーケティングについて書きます。

ものづくり仕事におけるマーケティングとは

マーケティングとは平たく言えば
「売れる仕組み」 である。

 

マーケティングの一例
  • 顧客が欲しいものを作る
  • 世の中に貴重なものを作り出す
  • 大量に作って安く売る

 
色々なマーケティングがあります。

SWAT分析   有名ですね。

ものづくり仕事 分析


まず自社の強み、弱み、機会、脅威などを洗い出して自社が一番良い方法を導かせる事。
市場は生き物で何を求めているか日々変わります。情報アンテナを張りそれを基に行動に移す。


ものづくり仕事における強みの見つけ方

自分しか持っていない技術、会社が持っている貴重な設備、人材などいろいろありますが、一番わかりやすい強みは「人から頼まれる仕事」です。

強みの例
  • あの人はデザインが上手い
  • あの人は納期が早い
  • あの人はなんでも知っている
  • あの会社はコストが安い
  • あの会社でしか作れないものがある

 私の場合は「メガネ関連の商材を作りたいから、とりあえず相談しました」といった相談が多いです。
あなたも何か人から頼まれる仕事があると思います。それがあなたの強みです。

ものづくり仕事は強みを伸ばす

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最近のマーケティングにおいては弱みより強みをより尖らせようという傾向です。
強み=差別化 なのでより他社を引き離せる可能性があるからです。
短距離の選手は短距離の練習しますよね?
プロ野球選手は子供の頃から野球の練習をしていますよね?
企業にも同じことが言えます。

強みがわかった、強みを伸ばしている、その後は?

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それは知ってもらうことです。
どんなに素晴らしい強みがあったとしても、知ってもらわないと、市場には、強いては欲しい人には届きません
昔は口コミしかない時代もありましたが、今ではSNSで全国に瞬時に発信できるツールがあります。是非活用しましょう。
最初はやり方も分からないと思いますが見よう見まねでいいので始めることが大事です。

ものづくり仕事は行政に相談することも大事

今は行政と連携することは必須です。
ものづくりをする上で必要な試作、設備投資、広告宣伝などコストがかかりますよね。
行政の補助金でまかなえるケースが多いからです。資金調達以外にもデザイナーの紹介、ビジネスマッチングなど企業も支援する企画がかなり増えています。
1人で悩まずに行政にも相談してみましょう。

最後に。。
ものづくり仕事のマーケティングに効果的なのは成功している企業を真似ること。
成功している=市場にマッチしていてマーケティングができている。
日本のものづくりが元気になって、次世代に継承できることを心から願っています。