福井7人の工芸サムライ

福井県にある国指定7つの伝統的工芸品の職人やモノづくりや産地、福井にまつわる事がらをご紹介します。

百貨店の催事販売とは

2019-08-25 16:00:04 | ブログ

販路開拓にデパートの催事販売は有効?

デパート 催事 販売

今回は、販路開拓に有効な百貨店の催事販売について紹介します。

百貨店の催事販売とは?

百貨店の販売スペースを間借りして、1週間〜期間限定で商品販売をすることです。

百貨店の催事販売の特徴

【良い点】

  • 店舗を持たずに商品販売ができる
  • 商品の試験販売ができる
  • 直接ターゲット(お客様)の意見を聞ける

 

【悪い(必要)な点】

  • 常に売り場に人員を配備しないといけない

百貨店の催事販売に参加しました

百貨店 催事販売 店員


実際に、百貨店の催事販売に2日
参加しました。
私は立ちっぱなしで、じっっとできなくて、接客が苦手です。
しかし、お客さまと話せてリアルな意見聞けるし、
地方のものづくり仕事を応援されたりするときもある。

あと、想像しない仕事の話しも頂くことがありました。
次は〇〇百貨店の販売会に参加してほしい。
〇〇百貨店のノベルティに使いたい。など

百貨店の催事販売の目的は利益追求するだけでない

百貨店 催事販売 考える


私が思うに利益追求するのは当然企業活動として必然です。
しかし、実際に商品を買う、使用するのはお客様ですよね。
お客様の意見も聞くことが
次の戦略を組み立てる上で重要です。

【お客様に聞くポイント】

  • 商品デザインはどうか
  • 商品機能はどうか
  • 商品見た目はどうか
  • 商品をいくらなら買うか
  • 商品をいつ買うのか
  • 類似商品を百貨店、ネットでも買うのか


買って頂けるのはお客様だし率直な意見も、もらえる。
どこにお店を出して欲しいとか、こんな商品を作って欲しいとか。
中には厳しい意見もあります。
一番は価格が多いですね「高すぎる」と。
百貨店に来るお客様もアジア商品を使う機会も増えています。
当然、日本製は高いと感じられます。 

百貨店の催事販売を続けていると  

百貨店 催事 リピーター


 
催事販売を続けていくとファンになってもらえることがあります。
「また買いに来たよ」と催事販売に合わせて会いに来てくれます。
「新作出た?」「商品気に入ったからまた来たよ」「げんきだった?」など。
商品を気に入ってもらう事もありますし、販売員である私(人)に会いに来てくれます。ものづくりの人間としては励みになるし、やる気も出ます。
ものづくりは、いかにリピーター(ファン)になってもらうかが今の時代は重要です。

百貨店の催事販売だけでないお客様との交流場面

百貨店 催事販売 SNS

 
最近ではお客様から交流場面はもっぱらSNSですよね。
 Facebook,instagram,twitterなど
SNSやホームページの問い合わせでエンドユーザーと交流するのが
当たり前の時代になって嬉しい。お客様とより身近になるからね

SNSを使ったリピーター(ファン)作りも重要です。

 

気になる百貨店への手数料は?
売上額の〇〇%を百貨店手数料として計上することが多いです。

しかし百貨店も厳しい時代

百貨店 催事販売 閉店 

特に地方百貨店は厳しい時代です。
・アジア製の安くても、おしゃれで十分機能を果たしてくれます。
・便利で安いネットショップの隆盛は止まらない。特に地方は恩恵が大きい。

 

最後に。。
市場を作っているのはお客様エンドユーザーであって僕たちではないということ。

独りよがりの工芸品だけは作らないようにしないとね!



鯖江メガネの加工先の特徴

2019-08-23 21:40:41 | ブログ

ものづくり仕事には職人さんが必要

ものづくり仕事 職人

今回は、ものづくりの会社や職人にはそれぞれ特徴があるという紹介です。
ものづくりを初めるには加工先さんのクセ、特徴に分けて仕事を振り分けると効率がいいです。

ものづくり仕事のスピードを求めるなら

ものづくり 早い



スピードを求めるなら少数精鋭で経営されている

社長兼職人と直接話しするのが良い。
ものづくりというのは最初に試作を必ず作るのですが
金型代や時間を頂戴しないといけません。
すぐに決裁ができて時間の融通を効かせてくれるので非常に助かります。

ものづくり仕事に大規模の製造会社はどうでしょう

ものづくり 機械

逆に大きい規模でやられている会社様は専門技術や特殊設備をもっていることが多く
より専門性に特化しています。
ただし、それだけの技術や設備をお借りするのでそれだけの高価な対価が必要です。
それと人件費や機械の償却などの運用コストがかかっています。
ようはコストが高く、試作にも時間がかかります。

眼鏡のテンプル職人と、ものづくり仕事



テンプル

メガネのテンプルと言われる部分。
このテンプルを作るという職人の仕事は
他業界にはない技術を使っているということが分かりました。
プラスチックのテンプルに骨代わりとなる金属の芯を挿し込むのですが、
このプラスチックや木の真ん中に長い穴を空ける技術は類をみません。

その技術を使った耳かき

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鯖江の眼鏡業界でしか使われない技術ということなら
それだけで差別化ができているということですね。
コピーされない唯一無二の商品ができるということです。 

鯖江独自のものづくり仕事


鯖江で仕事をしていた人間としては業界では当たり前の技術でも、
よそ者から見たら実は唯一無二の技術を使っていた、ということが何点かありました。

こちらのテンプルに穴を開ける以外には乾式のバレル研磨は珍しいです。
他の業界、アクリル製造では水を入れて研磨することが多いです。通称水ガラ

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鯖江眼鏡業界のバレル研磨(乾式)


最後に。。
僕たちは加工していただける方々がいないと何もできません。
自分たちだけ金儲けができたらいい、
加工先にはとことんコストカットしてもらう、、ではなく
一緒に良いものを作っていこうという共存の姿勢が大事です。


伝統工芸【福井7人の工芸サムライ】福井・匠百景


ものづくり仕事の新しい仕事(発見)の見つけ方

2019-08-20 15:21:32 | ブログ

ものづくり仕事において新しいビジネスを作ることは大変

ものづくり仕事 ビジネス 発見

今回は、ものづくり仕事のビジネスの種になるような話を紹介します。
何気ない日常に新たなビジネスが眠っていることが多々あります。
意識を変えるだけでビジネスが生まれるかも?

ゴミもお金になる?

 

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こちらの写真は眼鏡のチタン材料をマシンで削った後の削りカスです。
チタンという金属は錆びない、人体に無害、軽いという特徴があります。

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眼鏡業界ではどこの工場でも普通に扱っているチタンも
素材自体は一般家庭では手に入らないですよね?
ホームセンターなどで手に入らないから、欲しい人もいるのでは?

チタンの砂鉄で何かできるのでは?

浄化作用もあるというチタンは使い道はあります。
考えればいろんなアイデアが生まれました。

私は鯖江のメガネ業界で眼鏡の材料、技術を使いメガネから
カタチを変えた商品作りをしているがここ最近思う事がある。

僕たちには不要なものでもカタチや店頭におくディプレイなどにして意味をもたせれたら新しい価値を創造できるのではないかと

鯖江眼鏡の材料・セルロースアセテートでも新しい価値を生み出せる?


私の会社で扱っているアセテートシートはタタミ1枚くらいの大きさだが 
メガネの必要な幅で切断していくと数センチの残材料(ゴミ)が出る。

 

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鯖江のメガネ業界には不要な物として簡単に捨てているが
ここに新たな価値が眠っているのではないかと・・・

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また、指輪をくり抜いた材料も今は簡単に捨てているが、
こうした残りカスも当社でしか作れないのでは?と

実際SNSに投稿。眼鏡業界で出たゴミを使いませんか? 

ものづくり仕事 ビジネス 新しい発見



と投稿しました。
数名から連絡があり「実際に〇〇に使った」「商品価値はあるよ」と連絡いただきました。

まずは気づく練習をしよう。

第一線におられる方々の共通するところは’’気づく’’ということが長けている。

’’気づく’’アンテナを張るを意識します。

 

その後、破棄する眼鏡の材料で進展がありました。

 

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繰り返しになるが
僕たちでは不要なものでも価値があるのでは。
ということ。

実例を紹介します。僕たちが捨てる端材(ゴミ)を小売店さんではオブジェとして飾ってありました。
小売店さん曰く、「製品になる前の状態や削りカスにも価値がある」と。
百聞は一見に如かずで製造工程を実物をもって説明すればイメージが湧きやすいとのこと。なるほど!

他社でも僕らが捨てているアセテートの端材やメガネをくり抜いた後の端材を飾ってありエンドユーザーは「これなに?」と興味をもってくださるとのこと。

 

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最後に。。

ものが溢れている世の中で興味を持ってもらえる事ってすごく大事です。
なじみのあるメガネから、こんなもの意外なものが!?
と新しい発見や親近感も涌くのはないでしょうか?


Video . Mazzucchelli 1849 メガネの材料:セルロースアセテートの作り方


ものづくり関係者必見。ものづくり仕事は素晴らしい。

2019-08-18 16:04:01 | ブログ

製造業など、ものづくりの仕事は素晴らしい事

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今回は、物を作れる仕事はすごい!ということを紹介します。

 

ものづくりの仕事の現状は厳しい

 私は鯖江の眼鏡の材料、技術を使ったモノづくりの仕事をしています。
モノづくりの仕事に従事しているのですが改めて感じた事がありました。

リーマンショックからの不景気により6次産業(自分で作って自分で売る)の動きが急速に広がっている。


なぜなら下請けで待っていても、ものづくりの仕事が来ない厳しい状況が続いているから。

 

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「よし!当社も新しい商品を作ろう」・・・

製造社の社長は自分の持っている技術を駆使した商品作りをする。
当社でしかできない技術だぞ!】っといった商品作りをしてしまう。

一息ついて考えてみて それはエンドユーザーにとってどうなの?
自分がはじき出した見積もりを見て、それ欲しい?と自問自答したらどうだろう。。。。


一番いいのは身近な女性に意見を聞いてみるのがいいです。
物を購入するのは一般女性が多いからです。


新商品開発のポイント
  • 身近な一般女性の意見をもらう
  • 他社には真似できない技術、素材を探す
  • 本業の延長となるように意識する
  • 既存販路を使えるか

 

ものづくり仕事の外部協力者には工場見学を

ものづくり 工場見学
外部の協力者を使うなら、なるべくなら製造、加工しているところ、空気感や背景を見てもらって情報共有するのがいい。

生産者は製造工程や現場を見せる事を””汚い””と錯覚しがちではあるが、外部のよそ者視点から見ると宝が見つかることも多いです。

私の実体験では、眼鏡のプラスチックのテンプルを作る際に、骨の役割をする芯をテンプルに埋め込む(シューティング)技術は眼鏡業界しかない。
ということも実際ありました。 

消費者は、ものづくり仕事の背景を知りたい

ものづくり 職人



間違えてはいけないのは、製造背景、製造ストーリー、職人の汗、誰が作っているかなどを消費者は知りたいのである。

どういう行程でできたの?
どういう人がどういう思いで作ったの?と知りたいのだ。

その背景を共感してもらうことで、購買してもらうきっかけとなるのである。
特にお金と時間に余裕がある購買層にはその傾向があります。

100円ショップの茶碗と1000円でも目の前で職人が想いを込めて作ってくれた茶碗。どちらが欲しいですか?

綺麗なものだけを店頭に並べる時代ではありません。

僕たちの商品はどれだけ綺麗に着飾ってもシャネルやヴィトンと肩を並べれる訳がない。 

ものづくり仕事の最大特徴は何?

 製造者の最大の特徴は何か。
それは工場をもっていて、世の中に物を作り出せるということである。
「私だけのコップが欲しいな〜」職人はそれを作り出せる事が出来るのです。

私個人でも普段使っているiphoneがどうやって出来たか製造工程を見てみたい。

MACの特徴である背面のリンゴはどういう意図で作ったの??すごく知りたい。
僕たち製造者が出来る事はどんどん製造工程を見せて共感を得ることが課題。
だってそれが製造者の最大の特徴だから。

さあ、自社の工場を公開しよう!


かばんの街があります。それは兵庫県豊岡市

2019-08-17 20:46:54 | ブログ

カバンの産地・兵庫県豊岡市 

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兵庫県というと神戸というイメージが強いですが、
日本海側にはコウノトリで有名な豊岡市という市があります。

豊岡は鯖江と同じで、地方でありながらカバンの産地となった鯖江と同じ雰囲気を漂わす街でした。
カバンの素材となるキリュウ、藤などの植物材料が自生していたことから広がっていった。

やはり材料がすぐ手に入る地域から産業は発展しますね。
越前漆器も良質な漆が地元で採れたのでその産地の一つです。

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日本では輸入に頼っていた高級な皮に比べ柳行李(やなぎごおり)という
植物を編みこんだ丈夫で軽いカバンが重宝された。

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その流れからカバンの一大産地となった。 

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豊岡のカバンの歴史は奈良時代から


豊岡カバンの歴史

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神話の時代まで遡るのですが、豊岡の鞄のルーツは、その柳細工で作られたカゴだと言われています。

奈良時代には豊岡でつくられた「柳筥」は正倉院上納されています。
1473年の「応仁記」には、柳こおりが商品として盛んに売買されていた記述があり、
おそらくこの時期から、地場産業として家内手工業的な杞柳産業が発展したことが予想されます。


軽くて強靭であることなど、これまでの欠陥を補っていたので他商品を圧倒しました。
そして岩戸景気を背景に、豊岡には300越える鞄関連企業が生まれました。
全国生産の80%のシェアを占めるまでに発展しました。

豊岡にはカバンストリートがある

いきなりですがカバンの街豊岡のカバンストリートに行ってまいりました。


ここからは鯖江と似ておりOEM(下請け)を中心としたモノづくりをしてきており、
昨今の中国製品にシェアを奪われてきている。

そこで市内の商店街をカバンストリートとした都市計画プロジェクトが発足した。

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ここには ユニークなカバンの取っ手のあるポストや

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カバンの自動販売機もある ¥1,500円~

そしてOEM性質から脱却を図るべくブランド発信している会社もある。

OEMとは・・・他社ブランドの製品を製造することです。

なぜOEM性質を脱却しないといけないのか。
他社ブランドが明日から生産工場をアジアにするとなった場合、
今まで注文をもらっていた工場は仕事が急になくなります

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実際に福井・鯖江の眼鏡も約20年前に大手有名ブランドのOEM(下請け)をして売上を成長させてました。しかし、ある日鯖江を潤わせていたブランドが買収され海外で生産することになります。鯖江でそのブランドの仕事を生活の柱にしていた企業は倒産しました。そして関連して倒産する企業が一気に増えました。
なのでOEMも大事ですが、OEMだけではリスクが高いのです。

豊岡出身の世界的カバンデザイナー


豊岡には世界工業デザイン界のオスカーといわれる「IFデザインアワード」で大賞。
イタリア・ミラノで世界最大の鞄見本市「ミペルバッグショー」で最高栄誉賞を受賞された
カバン侍こと由利佳一郎様がいらっしゃいます。

似たような境遇な産地同士色々これから協力していき
鯖江の技術を使った商品を作るべくお手本にさせて頂きたいなとおもいます。

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カバンデザイナーとの余談話

僕の飲み仲間であり尊敬する「由利 佳一郎」がまたまたニクい事を!

安倍首相の婦人 昭恵さんのカバンをよく見ると、、、、

ん??どこかで見たような、、
そうです!由利さんがデザインしたカバンじゃないですか!

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著名な方々も直接カバンを買いに来る産地となった兵庫県豊岡市。
めがねのまち鯖江も同じ地方産地として発信し続けていくことが必要ですね。

さあ、今すぐSNSなどで発信しよう!