Civilian Watchdog in Japan-IT security and privacy law-

情報セキュリティ、消費者保護、電子政府の課題等社会施策を国際的視野に基づき提言。米国等海外在住日本人に好評。

欧州委員会「情報社会・メデイア担当委員」ヴィヴィアン・レディングのデジタル時代の近未来課題(その2完)

2009-10-20 16:42:21 | 電子政府(eGovernment)

Last Updated: March 4,2021

3.欧州委員会の近未来デジタル課題とは(Future Commission’s Digital Agenda)
 バローゾ欧州委員会委員長と私は、すでに立法措置の目標となる「真のデジタル単一市場(genuine digital single market)」の主たる障害と取組むことを目的とした明確な「EUのデジタル課題」を定義する次期任務(next Commission)への取組みを発表した。消費者は完全な汎ヨーロッパ・サービスの利益を得られなければならず、また企業は新しい市場へのアクセス権を得なければならない。今日、単一市場の重要な問題は「オンライン」に関する問題で起こる。もし我々が電気通信規則の近代化やブロードバンドの立ち上り(take-up)の推進、超高速で競争的かつ安全な次世代ネットワークに関する仕事に関しネットに基づくサービスを巻き取らないとすると、単一市場はひそかに弱体化することになろう。しかし、目的地に進むに価値がないとすれば最善の高速道路が十分でないがゆえに、デジタル・サービスやデジタル・コンテンツにより簡単にアクセスできることが必要となる。

 今日、デジタル・サービスの自由化の動きは、加盟国の国内レベルでの細分化された規則により著しい障害に出会っており、この問題が解決されない限り企業や消費者は知識経済(knowledge economy)の最大の可能性に達し得ないであろう。消費者側における信頼性の欠如の問題の解決を支援するため、メグルナ・クネワ消費者保護担当委員(Meglena Kuneva)と私は2009年5月に消費者のオンラインに関する諸権利について説明する多言語オンライン情報ツール“eYou Guide”を立ち上げた。

Meglena Kuneva氏(ブルガリア)

 私は“e-Commerce”がネットの生命力であり、すべての関係者が残されたままの障害に協力して取組むべきとするICOMP(Initiative for a Competitive Online Marketplace) (筆者注14)に賛同する。e-Commerce市場で活動する経営者たちを支援するためe-Commerce指令(the eCommerce Directive) (筆者注15)に追加されるべく審議が行われている「消費者の権利に関する指令案(the Draft Consumer Rights Directive)(筆者注16)を優先すべきであり私は欧州議会に支援を再確認した。消費者および単一市場が問題となる時、SMSやデータローミング規制の採択の時と同様、欧州議会は我々にすべてのヨーロッパの消費者の利益のため何をなすべきかまた欧州議会が迅速な採択を行うべきか示してくれた。しかし、デジタル・サービスの単一市場化に関し我々がデジタル・コンテンツの越境利用規定についてみる時、そのギャップはさらに明確になる。デジタル技術は創造的仕事のコミニケーションをより容易にさせ、免許権に関する伝統的実践内容はその限界に到達すると思われる。デジタル技術は価値連鎖(value chain)  (筆者注17)において新たな役者と役割をもたらすとともに創造的コンテンツの手続や流通に関する条件を変えてきている。コンテンツ部門は著者、プロデューサー、出版社、著作権管理団体(collecting societies)および配給会社(distributing companies)等「伝統的なプレイヤー」に限定されない。消費者は、自らがコンテンツを作り出すいわゆる「生産消費者(prosumers)」となってオンライン・メデイアにおいて次第に重要な役割を演じるとともに一般的に「メデイア多元論(media pluralism)」と民主主義の利益に対するサービスを供給する。

 しかし、ビジネス・モデルと技術供与はこれらの新しいコンテンツに十分適合できないため、このことが法的オンライン・コンテンツの有用性を制限するだけでなくニューメデイア・サービスの開発・供給そのものを停止させてしまう。

 我々の未来は新しいタイプのメディアで満たされるであろうが、今日ニューメデイア・サービスはコンテンツ権の明確化のため極めて複雑で割高でかつコストがかかる手続に直面している。その結果、プロバイダーは特定のEU加盟国の大国のユーザーのみ(小国のユーザーにとって不利益なかたちで)サービスを提供することを決定する。正直に言おう。デジタル・コンテンツの供給に関し、EUは世界最大の市場であること主張できない、27の別々の市場なのである。このことはこれらの問題に取組む際に米国を目標とする法的手段における競争的有利性に貢献するのである。

4.本のデジタル化への挑戦(The challenge of books digitisation)
(1)本のデジタル化と“Orphan Works”
 私が第一におく優先課題は、①大量の本のデジタル化、②著作権の保護期間が存続しているが著作権者の識別・連絡先の特定ができない著作物すなわち“Orphan Works” (筆者注18)問題である。我々の文化遺産がEU市民にとって近づきがたいままであることは容認できない。文化遺産は1クリックで読めてかつそうあるべきである。欧州の出版社や著者の権利が尊重されかつ公正に報酬が保障されることが可能となる欧州著作登録(European Rights Registry)(筆者注19)または欧州著作権登録システム(European System of Rights Registries)を含む「本のデジタル化」を奨励する一連の欧州規則を新たに設けるべきである。そのためには既存の“ARROW(the Accessible Registeries of Rights Information and Orphan Works)”や“Europeana”  (筆者注20)のような革新的プロジェクトの役割を強く認識することが求められよう。

(2)コンテンツ・オンラインでの主導権
 第二に、我々はユーザーが自由に買えまたどこでも楽しめ、いかなるオンライン・プラットフォーム上支払対象となるコンテンツに関するルールと調和した市場が必要である。
 コンテンツ・プラットフォームに関する今回の委員会の「付託・要請文(mandate)」の最後の前でコンテンツ・オンライン・プラットフォーム(Content Online Platform) (筆者注21)の議論の結果を考慮し、チャーリー・マクグリービー委員(Commissioner Charlie McGreevy)と私はコンテンツの権利者、インターネット・サービスプロバイダーおよび消費者の利益に関し、デジタル単一市場への道を敷き詰めるにあたり一連の可能な政策や立法上の選択肢に関する「考え方をまとめた文書(reflection paper)」(筆者注22)と合せ公の議論を刺激したい。
 我々は、デジタル・コンテンツの消費者ニーズと権利者の間のバランスについて再評価するため働くつもりである。その主要目的は、欧州のどこで制作されたものでもデジタル・コンテンツに簡単かつ楽しくアクセスできることとなろう。
 我々はEUの他の委員会と協同してコンテンツ・クリエーターが消費者の高い期待に合致させる一方でそれらのクリエイターの権利を保証するつもりである。サービス・プロバイダー、消費者および権利の保有者にとって共に仕事を行い、バランスの取れたアプローチを実現することが最善の方法であり、また私はICOMPにこのような過程に参加するとともに前向きに取組むよう要請したい。

5.情報社会におけるプライバシー問題(Privacy in the Information Society)
 しかし、欧州のデジタル課題はコンテンツ問題に限るべきでない。すなわち、次期委員会が目指すべき取組み課題として次のような切迫した課題がある。私が極めて注意を払っている1つの問題は「オンライン環境におけるプライバシーと個人情報保護問題」である。私はプライバシーに関し特定の意味を持つ3つ-①ソーシャル・ネットワーキング、②行動ターゲティング広告 (筆者注23)、③RFID(ICチップ)-技術・商業面の開発に関する問題を引用したい。
 第一に、ソーシャル・ネットワーキングは参加者がどこにいたとしても新しいコミュニケーションの利用形態面および人々を集めるという特性において強力な潜在能力を持つ。しかし、ネットワーカーは自分のネットワーク上に掲載されたあらゆるウェブ上のプロフィールについて誰がアクセスしてどのように使用しているかに認識しているであろうかを知りえない。私の意見では「プライバシー」保護はソーシャルネットワーキング・プロバイダーとそのユーザーにとって最優先の問題であるべきである。私は少なくとも未成年のプロフィールについてはネット検索エンジンは不履行かつ利用不能でなければならないと固く信じる。欧州委員会は、すでにプロバイダーの自主規制によりソーシャル・ネットワーキングサイトへの未成年に関し注意して扱うよう呼びかけている。私はすでに対処しなければならない時のため「新規則」を準備している。しかし、それは他に手段がない場合のためである。
 第二に、欧州委員会に対し繰り返し指摘されているプライバシー問題が「行動ターゲティング広告」の問題である。それは、広告目標でより明確なかたちでネットユーザーの閲覧状況をモニタリングするシステムであり、当該個人の事前の同意がある場合のみ使用が可能である。
 「透明性」と「選択」がこの今回の討議のキーワードである。本委員会は我々のプライバシー権に対する尊重を保証するため「行動ターゲティング広告」について緊密にモニタリングしている。私はEU加盟国がこの義務を怠ったときとるべき行動に躊躇するつもりはない。その初めての例が、本委員会が「Phorm事件」(筆者注24)で英国に対して取った行動である。
 第三に、プライバシーに影響する最新の技術傾向は有名なICチップ(RFID)である。RFIDはビジネスをより効率的またよりよく組織化するものであるが、私はもしそれが 消費者に対して使われる(on the consumers)のではなく、消費者によって使われる(by the consumers)のであれば欧州において歓迎されると信じる。いかなる欧州人もどのような目的で使うのか予め説明を受け、またその除去やスイッチを切るという選択肢なしにその所持物にICチップ1つを登載すべきでない。人々によって受け入れられたときのみ「モノのインターネット」は機能するであろう。
 我々は現在EUの電気通信規則の改正と合せEUのプライバシー法の強化しており、それらにおいて個人情報のコントロール権に確実化が必要なとき新しい主導とともに戻るつもりである。とりわけ、これらの個人情報が影響するであろう第三国 (筆者注25)と提携しつつ実行することになろう。

6.欧州のウェブサイトに対するより多くの信頼
 デジタル欧州戦略(Digital Europe Strategy) (筆者注26)は、ヨーロッパのウェブサイトが消費者の信頼を組み込むため自己規制システムの開発に新しい機動力を与えることになろう。消費者の信頼は欧州のデジタル・サービスの信頼性と品質を保証する信頼性付与機関(European trusted authorities)または「トラスト・マーク(trustmarks)」を通じ構築される。欧州のトップ・ドメイン名である“dot.eu”は、EU内の「eu.ドメイン」に登録する各企業が欧州の法律に従わねばならないためこの成功が重要な点である。
 “.eu”を探すと何らかの形式で基本的な保護が与えられ高度な規格に合致する企業は“.eu”を採用することで差別化できる。「トラスト・マーク」問題は非常に長い期間検討されてきたが欧州システムとしてはほとんど進歩していない。それは産業界の団体や消費者団体―特に私は欧州消費者連盟(the European Consumers’ Organisation: Bureau européen des unions de consommateurs:BEUC)を想定している-は私が信じるところの持続可能性のある欧州トラスト・マーク(海外でインターネット・サーフを行う我々のユーザーに信頼や巨大なオンライン市場の利益を与える)の確立のためともに集合すべきである。その必要があれば、本委員会は行動を起こす準備が出来ている。

7.ブロードバンド・インターネット(Broadband Internet)
 デジタル課題は新しい委員によってさらに発展されるであろうし、私は彼らの決定すべきことを先取りしないよう慎重であるべきである。しかし、私が取るであろう1つのリスクはブロードバンドが近未来の課題の重要な役割を果たすと確信して予測することである。私は5年間の欧州委員会の情報社会とメディア担当委員として、部分的ではあるが欧州経済回復計画においてブロードバンドを極めて高い優先的に位置づけていることの背景である。
 我々は本日ロードバンド戦略について時間をかけた議論の時間はないが、3つの質問すなわち「なぜ」「何を」「いつ」について答えることで我々の考えを紹介するとともに欧州経済回復においてブロードバンドが重要な役割を果たすことについて説明したい。
(1)なぜブロードバンド・インターネットなのか
 我々はICT投資と経済の業績が直接リンクすることを知っている。それはあらゆる産業部門を水平的にかたちで改革能力や生産性を改善させ、自然資源の最適化を支援してくれる。それは、また公共部門の効率性と効果向上の重要な操縦者であり、また我々市民の生活の質を向上させるのに不可欠である。ICTは、我々により多くのエネルギー効率や正確な環境モニタリングさらにより良い公共医療サービスや高齢化社会の状態の改善に関しユニークな解決策を与えてくれる。
 ICT革新を配備、使用する点でリーダー的であるEU加盟国は、高い経済成長と市民に提供するサービスにおける世界標準(world benchmarks)を確立し、またより低炭素経済(lower carbon economies)に向けた動きを牽引している。
 なぜブロードバンドなのか:答えは簡単である。ICTの最善の使用における基本的な慣らし状態(pre-condition)は高速ブロードバンドの配備である。
 欧州委員会が提案するものは何か:経済回復パッケージの一部として我々は農村村落における高速インターネットを拡大、アップグレードするための資金的保証を行った。この資金支援はブロードバンドへのアクセスを持たない農村地域の23%を目標にしたものである。
 この提案(Rural Development Plans)の目的は次の2つである。すなわち、①すべての欧州人は、どこ住む人もブロードバンド・インターネットの利益を享受出来ることを保証すること、②可能な限り迅速に資金供与を行い、即効性の刺激を経済に与えることである。後者に関し、その成果は期待したよりやや遅いといえる。その最新の成果は「農村部開発計画(Rural Development Plans)」 中、ブロードバンドに割り当てられた50億200万ユーロ(約6,677億円 )のうちわずか315万ユーロ(約4億1,900万円)であった。私は加盟国の数か国が本委員会が承認した農村部開発計画の資金利用に配慮する決定に消極的なことに失望している。しかし、私は当該国を引続き納得させるつもりであり、さらに極めて高速のブロードバンドを支援する一連の規則手当てとガイドライン策定を進めている。
 ブロードバンドを推進しかつ始めるためには、また、先進的越境ウェブベース・サービスにとって好ましい条件の要求も促されなければならない。言い換えれば、「デジタル単一市場」とは私が先ほど話した「デジタル課題」の主目的なのである。
(3)最後の質問、結果はいつでるのか
 最初に悩むのは経済を刺激するため資金の緊急注入問題である。しかし、また一方で我々はデジタル社会の水平線に向けて短期的な先を見る必要がある。ICTは景気循環によって引き起こされる必然的変動にもかかわらず、近代化が確実なペースで続く部門である。私は景気回復の「若芽(green shoots)」について話してはいない。私は、継続的に我々に生産性利益を獲得を獲ることを許し、経済を成長させ、またより高い生活水準を成し遂げる長期の技術発展について話している。すなわち、このことは欧州の経済回復の重要性はもとより、より生産的なビジネスや一方ではその組織また他方では革新的生産物およびより消費者の選択の重要性を提案したい理由である。

8.結論
 私は欧州を見通すことについて自信がある。それは我々の莫大な強さだけではない。すなわち、安定した民主主義、単一市場、そして成功した単一通貨等過去5年間欧州委員会が成し遂げてきたもの、とりわけ歴史において最大の拡大に成功し、遠大で法的に拘束力を持つエネルギーと気候変化目的を持つ初めの地域となった点である。そして、あなた方の携帯電話から安い電話がかけられるようになったことを忘れないでほしい。
 しかし一方で、私は奇妙な方法で我々が危機によってかえって強くなったと考える。その危機が我々に欧州および地球規模での経済の相互依存性について教えてくれたからである。
 今、我々は自らの繁栄を守るため将来に向け政策の協調や早期化を行うべきであることを知っている。我々は目的の新たな意味を認識している。私は、今ますます強力になりまた解決と創意において欧州が21世紀の経済の主役になると信じている。

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(筆者注14)  “ICOMP” はオンライン出版社、広告主、インターネットやネットワークサービス・プロバイダーおよびオンライン広告代理店などインターネット・ビジネスに関する業界団体の業界主導のための団体である。ヨーロッパ、北米、中東の14カ国40社以上の企業、業界団体、消費者団体、個人がICOMPプリンシプルを支持している。 ,

(筆者注15) 2000年6月8日に、欧州議会・閣僚理事会は、欧州域内市場における消費者と事業者に情報社会サービスの一定の法的確実性の提供に関する指令いわゆる「電子商取引指令(2000/31/EC)」を採択した。本指令は、加盟国間のオンライン・サービスの自由な流通を確保することによって域内市場を適切に機能させることを目的としており、具体的には、サービス・プロバイダーの設立、商用の電気通信、電子契約、オンライン媒介サービス事業者(intermediary service providers)の透明性・情報要件および責任制限、裁判外紛争処理等に関する国内法令を調和させることを意図している。本指令の重要な特徴のひとつが、いわゆる「域内市場条項(Internal Market clause)または「本国の原則(‘country of origin’principle)」を採用していることである。この原則は、情報社会サービスは原則としてサービス・プロバイダーが設立された加盟国の法律に支配されるというもので域内電子商取引について生じる適用法の問題を一定の範囲で解決したものといわれている。

 加盟国は2002年1月17日より前にその内容を国内法に編入しなければならないとされていた(第22条第1項)。しかし、実際における各国の立法は遅れている一方で現在の立法状況について一覧形式のEU公式資料はない。このため筆者は“epractice.eu”サイトの電子政府(eGovernment)の資料(factsheets)および当該国のポータル等を基に調べ、参考までに27カ国中4カ国の立法化状況(関係法律名および成立・施行年月日など)を以下のとおりまとめた(調査時間の関係で残りの23カ国については省略する)。
 なお、EU加盟国法等外国法に精通されている読者であれば理解されると思うが、EUの公式資料だけでは正確な法律名は説明されていないため筆者なりに補足するとともに法律の原文にリンクさせたので、関心のある方は法律の原文(英訳化もかなり進んでいる)を直接当たられたい。

①オーストリア: ”eCommerce Gesetz; ECG”2002年1月1日施行。
②ベルギー:2003年3月11日に次の2つの法律が採択された「ベルギー憲法第77条が目的とする情報社会サービスの特定の側面に関する法律p. 12960(Loi sur certains aspects juridiques des services de la société de l’information visés à l’article 77 de la Constitution)」「情報社会サービスの特定の側面に関する法律p. 12963(Loi sur certains aspects juridiques des services de la société de l’information)」
③ブルガリア:「電子商取引法(ЗАКОН ЗА ЕЛЕКТРОННАТА ТЪРГОВИЯ В сила от 24.12.2006 г. Обн. ДВ. бр.51, изм. доп. ДВ бр. 105/2006 г., ДВ бр. 41/2007 г. )」2006年6月23日成立(法律第51号)、2006年12月24日施行」。(英訳条文
④キプロス:「電子商取引法」2004法律第156号(I)。2004年4月30日成立。キプロス官報 (112(Ι)/2000, Νόμος που προνοεί για την αναγραφή της τιμής πώλησης και της τιμής ανά μονάδα μέτρησης των προϊόντων τα οποία προσφέρονται από τους εμπόρους στους καταναλωτές προκειμένου να βελτιωθεί η ενημέρωση των καταναλωτών και να διευκολυνθεί η σύγκριση των τιμών) 

(筆者注16) 「いわゆる消費者の権利に関する指令案(the Draft Consumer Rights Directive)」は欧州委員会が2008年10月8日に採択のうえ欧州議会およびEU理事会に提出し、2009年9月28日に議会において討議方針説明(position paper)が行われている。
 その内容の詳細や審議経過については欧州委員会保健消費者保護総局(the Directorate General for 'Health and Consumers:DG-SANCO)消費者対策課(Consumer Affaires)のサイト,、欧州委員会サイト”Cnsumer rights drective”で詳しく解説されている。なお、DG-SANCOの守備範囲は、①食物・食品の安全性、②消費者保護、③公衆衛生をその柱としており、EUの“2009 H1N1”といった緊急問題も扱っている。

(筆者注17)「バリュー・チェーン」とは、1985年Michael Porterがベストセラー「競争優位の戦略(Competitive Advantage: Creating and Sustaining Superior Performance)」で提唱したもの。 競争優位を生み出すためには製品の付加価値(販売価格―原料コスト)だけに着目せず、生産活動を主活動と支援活動に分け、それぞれの活動が価値(value)を生み出すという構造でありことを認識し、各活動を分析、最適化を行うことで競争優位につなげるという考え方。これまでは、個々の企業間での連鎖過程を主に意味していたが、企業群、業界のネットワーク間での連鎖までも含めて、バリュー・ネットワークという新しい企業の定義も出てきている。(経済産業省商務情報政策局情報セキュリティ制政策室資料等より抜粋)

(筆者注18) 英国図書館(BL)の試算では,著作権の保護期間が存続している同館蔵書のうち40%がOrphan Worksである,とされているほどであり,欧州デジタル図書館高次専門家グループ(HLEG)ではこれらをデジタル化し,インターネットで公衆送信するための環境整備の必要性を提起していた。この提起を受けて,HLEGの著作権サブグループは2007年9月から,利害関係者を集め,Orphan Worksの利用に先立つ「著作権者の真摯な調査」のガイドラインを策定してきた。この利害関係者会議には,国立図書館・文書館などの文化機関,出版社・著作者・実演家等の権利者団体の双方から代表が参加し,著作物の形態に基づく4つのセクター(文書資料(text),視聴覚資料(audiovisual),視覚・写真資料(visual/photography),音楽・音声資料(music/sound))ごとのワーキンググループでの協議および全体での協議を行ってきた。こうした協議の結果,2008年6月4日,欧州委員会のレディング(Viviane Reding)情報社会・メディア担当委員長臨席のもと,BL,フランス国立図書館(BnF),英国公文書館(NA),欧州国立図書館長会議(CENL)や各権利者団体が,『Orphan Worksのための真摯な調査ガイドライン』に合意し,覚書に署名を行った。(国立国会図書館カレントアウェアネス・ポータルNo.132 2008年7月23日号より抜粋。

(筆者注19) Reding 氏の主張は“Book Rights Registry”をさしていると思う。そうであるとすると最近わが国でも話題となっているGoogle社が進めている書籍のデジタル化の話とつながる。国立国会図書館の9月8日付けカレントアウェアネス・ポータルで次のような記事がでており、参考までに紹介する。「Google社は、書籍のデジタル化について、欧州で販売中の書籍に限り権利者に事前に許諾を得る方式に変更すると発表しています。同社は、米国で絶版であっても欧州で販売中である書籍については権利者の事前許諾を個別に得るまではGoogleブックスに加えないとしています。また、同社は欧州の出版社と欧州の著者をBooks Rights Registryの委員会に追加する提案も行っているようです(GoogleがEUに大幅譲歩、書籍スキャンをopt-in方式に変更し、Book Rights Registryで2議席も約束)」。

(筆者注20) 欧州デジタル図書館 “Europeana”は2008年11月20日に公開された。これは,欧州連合に加盟する27か国の,合計1,000を超える国立図書館・文化機関等が提供している,合計200万点以上の各種デジタルコンテンツ(書籍,地図,録音資料,写真,文書,絵画,映画など)へのアクセスを提供するポータルサイトの機能を果たすものであり,登録ユーザがデータを保存できる個人用ページ“MyEuropeana”やタグ付与機能など,Web 2.0機能も有している。公開時点で提供されている200万点のコンテンツの過半数(52%)はフランスの機関によるものであり,オランダ,英国がともに10%と続いている。有名なコンテンツとしては,ベートーベンの交響曲第9番を筆頭に,マグナ・カルタ(大憲章),フランス人権宣言,ダンテの『神曲』,フェルメールの絵画『真珠の耳飾りの少女』,モーツァルトの自筆書簡・楽譜,シベリウスの作品の演奏,ベルリンの壁崩壊時の映像などが含まれている。(国立国会図書館カレントアウェアネス・ポータル2008年12月10日号より抜粋)

(筆者注21) 同委員会が取組む “Creative Content Online”については“Audiovisual and Media policies”サイトで詳しく説明されている。

(筆者注22) Reding氏に直接確認していないが、文脈からみて「考え方をまとめた文書」とは2009年5月に委員会が発表した“Content Online Platform”であろう。

(筆者注23) 行動ターゲティング広告(Behavioral Targeting Advertising: BTA)とは、インターネット広告の一種で、各ユーザーをWebサイト上での行動履歴に基づいて分類し、ユーザーごとに最適な広告を配信できるようにした方法のことである。行動ターゲティング広告においては、クッキー情報を元にしてWebブラウザ単位でユーザーの行動が追跡されており、そのWeb上での行動履歴が専用サーバーに蓄積されている。この行動履歴を数百の行動パターンに分析し、次回の広告配信の機会に反映させることによって、ユーザーにとって最も適した広告内容が配信可能になっているとされる。
 従来のバナー広告やリスティング広告などのような広告配信の仕組みでは、広告の内容は広告媒体であるWebサイトのコンテンツに合わせて選択されていた。これに対して行動ターゲティング広告では、広告媒体サイトのコンテンツに関係なく個々のユーザーに合わせた広告を配信させることができるという利点がある。(「IT用語辞典バイナリー」から引用)

(筆者注24)「Phorm事件」については、欧州委員会のプレス発表等に基づき作成されたわが国の解説記事の問題点につき、ブログ(Foreign Media Analyst in Japan)が2009年4月27日付け記事「NRIの英国政府の“phorm”に対する取組みと欧州委員会の強硬姿勢の紹介記事の具体的問題点」で指摘している。しかしNRIの記事はいまだに修正されていない。この無責任さが問題である。(「平野龍冶」は筆者の第二ペンネームである)

(筆者注25) Reding氏に確認したわけではないが、ここでいう「第三国」は主に米国を指すものと思う。その根拠はEUと米国政府間の「セーフ・ハーバー協定」の存在である。2009年10月6日に米国連邦取引委員会(FTC) は、連邦商務省(U.S.Department of Commerce)の強力な支援のもとで欧州連合(EU)・米国連邦政府間の「プライバシー保護に関するセーフ・ハーバー合意(筆者注1)」に基づく米国企業6社に対する遵守指針違反に基づく個別告訴につき和解に達した旨発表した。
 セーフ・ハーバー合意のもととなったのは1998年10月に発効した個人情報保護に関するEU指令(「個人データ処理に係わる個人の保護及び当該データの自由な移動に関する1995年10月24日の欧州議会および理事会の95/46/EC指令」)である。同指令は、十分なレベルの個人情報保護を行っていないEU域外の第三国に対して、EU域内の個人情報の移転を禁ずることを定めたもので、これにより域外の事業者がEU市場から締め出される懸念が生まれた。
 これに対して米国は、法規制の導入による個人情報保護を提案するEUとは異なり、民間による自主規制を尊重する立場をとっており、法規制のあり方についても個別法によるセグメント方式を採用している。このため、米国政府はEUに働きかけ、1999年4月に個人情報の取り扱いについての保護基準を導入することで合意し、その具体的指針となるセーフ・ハーバー協定を結んだ。セーフ・ハーバー協定は、1)本人への通告(notice)、2)消費者の選択、3)第三者への情報の移転、4)本人のアクセス権、5)セキュリティ対策、6)データの一体性、7)法執行の7つの保護遵守指針(privacy principles)からなり、ここに示される条件を遵守する企業はEU指令のいう「適切な」個人情報保護を行っているものとみなされる。

(筆者注26)「 デジタル欧州戦略(digital Europe strategy)」についてReding 氏が2009年7月9日に“Lisbon Council”(ベルギーに設立された非営利団体(NPO))でスピーチしている。Reding 氏のスピーチはYoutubeでも確認できる。彼女なりのキャラクターがにじみ出たスピーチである。


〔参照URL〕
http://europa.eu/rapid/pressReleasesAction.do?reference=SPEECH/09/446&format=HTML&aged=0&language=EN&guiLanguage=en
http://ec.europa.eu/research/fp7/index_en.cfm
http://ec.europa.eu/news/science/071113_1_en.htm

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Copyright © 2006-2010 芦田勝(Masaru Ashida).All Rights Reserved.No reduction or republication without permission.

 

 




〔参照URL〕
http://europa.eu/rapid/pressReleasesAction.do?reference=SPEECH/09/446&format=HTML&aged=0&language=EN&guiLanguage=en
http://ec.europa.eu/research/fp7/index_en.cfm
http://ec.europa.eu/news/science/071113_1_en.htm

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