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海外における新型インフルエンザ感染拡大の最新動向と新たな研究・開発への取組み(N0.12-2)

2009-08-07 10:45:12 | 海外の医療最前線

Last Updated : March 5, 2021

4.世界の大規模感染拡大国の最新発表情報
 欧州疾病対策センター(ECDC)や 汎米保健機関(PAHO)および各国の保健機関が公表している累計確認感染者数および死者数の最新情報を紹介する。また、各国の関連サイトで特記すべき点も併せて記した。なお、今回の数値は引続き急速な感染拡大している現状を理解できるよう7月6日のWHOの公表値との比較を行った。しかし、ECDCは毎日更新データを公表しているが、PAHOは週間ベースでの更新であるなど各機関によって比較方法が異なるため、基準日の設定が難しく、今後は本ブログでは各機関の比較方法に準拠することとした。

(1)米国
 7月24日をもってCDCは各州からの報告に基づくH1N1の確認感染者数の公表を停止し、その代りに新型インフルエンザと季節性インフルエンザの感染状況を追跡する監視システムを導入した。その詳細についてはCDCサイトの“H1N1 Monitoring Question & Answers”で確認できるが、主な新型インフルエンザ監視システムは次のとおりであると説明されている。
 なお、次に述べる全米的モニタリング体制の原型はすでに1999年CDCが発行した「あらたなインフルエンザの世界的流行(パンデミック)の発生に備えて地方当局が対策を立案するための指針(Pandemic Influenza :A Planning Guide for State and Local Officials) 」で出来上っている。パンデミック時を想定し、ウイルスの検査体制の効率化といった理由だけでない米国らしい長期的かつ本格的な取組み姿勢があると判断するのは筆者だけであろうか。(筆者注8)
A.次の内容のモニタリングによるウイルスの監視
①インフルエンザの陽性について試験を行った標本の割合
②循環型インフルエンザの原型と亜型
③坑ウイルス薬への耐性
④新ウイルス種の出現
B.疑似インフルエンザに関する見張り役ボランテア医師(外来患者数当りの新型インフルエンザ様疾患患者を各年齢層別に報告)ネットワーク
C.成人と子供に分けて実験室で確認されたインフルエンザ感染者の入院者の監視
D.インフルエンザの地理的な感染拡大
E.全米122都市の死者の原因をインフルエンザと肺炎(pneumonia)とに分けてコード化し報告する(人口動態統計局が担当)
F.子供の実験室で確認された死亡者数
なお、インフルエンザの監視情報は“FlueView”サイトで専門的な分析を行うこととなった。
7月24日現在の累計確認感染者43,771人(+9,869人)、死者302人(+132人)
(2)オーストラリア
 8月5日現在の累計確認感染者24,114人(+18,816人)、死者174人(+164)
オーストリアのメディアはクイーンズランド州北部のタウンズビルの北65km沖の先住民約4000人が住んでいるパームアイランド では7月21日に36週の胎児が新型インフルエンザで死亡し、母親(19歳)は重症で集中治療室で治療中であると報じられている
 なお、オーストラリア在住の日本人向け危機管理情報サイト「青空ニュース」が新型インフルエンザA(H1N1)の感染拡大に関する最新情報を随時提供しているので、詳しくは同サイトを参照されたい。なお、同サイトでも紹介されているとおり、連邦政府(保健・高齢者担当省)は7月20日以降州別の累計感染者の公表は中止し、従来から行っている州別の入院者数、集中治療室収容者数、死亡者の公表に切り替えている。また、「青空ニュース」では累計感染者数の公表を中止していると記載されているが、これはあきらかに「誤り」であり、同サイトの“Update bulletins for Pandemic (H1N1) 2009” では毎日累計確認感染者数を公表している。
(3)メキシコ
同17,416(+7,154人)、同146人(+27人)
(4)英国
同11,912人(+4,465人)、同30人(+27人)
(5)チリ,
同11,860人(+4,484人)、同96人(+82人)
(6)カナダ
同10,449人(+2,466人)、同62人(+37人)
(7)タイ
同10,043人(+7,967人)、同81人(+74人)
(8)ドイツ
同7,963人(+7,458人)、同0人(+0人)
(9)日本(7月24日現在)
同5,022人(+3,232人)、同0人(+0人)
(10)ペルー
同4,889人(+3,973人)、同96人(+96人)
(11) 中華人民共和国香港特別行政区政府(Hong Kong SAR China)
同4,749人(+?人)、3(+?人)
(12)フィリピン
同3,207人(+1,498人)、同8人(+7人)
(13)ブラジル
同2,959人(+2,222人)、同96人(+95人)
(14)スペイン
同1,538人(+762人)、同8人(+7人)

5.新型インフルエンザの感染リスクに関する国際研究機関における新たな研究成果
“Eurosurveillance”の2009年7月30日付第14巻30号を参照されたい。


(筆者注8) CDCの立案ガイドは、実は2002年秋に公立病院機構仙台医療センター臨床研究部ウィルス・センターが完訳している。米国の1999年のサーベイランス事業の骨格は訳文17頁を是非参照されたい。なお、訳文作業に協力したCDCインフルエンザ室、疫学セクションのチーフが現WHO事務局長副代行の福田桂治博士である。


〔参照URL〕
http://www.who.int/csr/don/2009_07_27/en/index.html
http://ecdc.europa.eu/en/files/pdf/Health_topics/Situation_Report_090805_1700hrs.pdf
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