平成30年度診療報酬改定について(パートⅡ)

2018年04月16日 | Weblog

春の日差しも心地よく、日増しに暖かくなっている昨今、皆さんいかがお過ごしでしょうか。

さて、ちょうど6か月前の2017年10月16日のブログで、平成30年度診療報酬改定について取り上げ、「地域包括ケアシステムの構築と医療機能の分化・強化、連携の推進」を重点課題として議論されていると申し上げました。

今回は平成30年度診療報酬改定も施行されたことから、続編として、診療報酬改定の概要について、個人的な感想も交え、述べていきたいと思います。

 厚生労働省ホームページ「平成30年度診療報酬改定の概要」(平成30年3月5日版)によると、大きな改定内容は以下の4つですが、やはり内容の大部分は「Ⅰ」が占めております。

Ⅰ. 地域包括ケアシステムの構築と医療機能の分化・強化、連携の推進

Ⅱ.新しいニーズにも対応でき、安心・安全で納得できる質の高い医療の実現・充実

Ⅲ.医療従事者の負担軽減、働き方改革の推進

Ⅳ.効率化・適正化を通じた制度の安定性・持続可能性の強化

 

紙面の制約から上記のⅠとⅡから、個人的に気になったトピックを取り上げます。

Ⅰ. 地域包括ケアシステムの構築と医療機能の分化・強化、連携の推進

・一般病棟入院基本料の再編・統合[医科]

一般病棟入院基本料のうち、従前の7対1および10対1は「急性期一般入院料」に再編・統合されました。

従前の7対1(1段階1591点/日)と10対1(4段階1332~1387点/日)には点数に格差があるため、急性期中心の病院等では、7対1確保を至上命題として、その要件充足に奔走する状況もあったかと思います。

しかし、今回の改定でこの2つは急性期一般入院料1~7に再編・統合され、従前の7対1が実質3段階(入院料2・1561点/日、入院料3・1491点/日を追加)となったことで、看護師の確保や看護の必要量の維持に苦慮してきた病院は、従前の7対1の要件が緩和されたことでより柔軟な対応が可能になるとともに、医療費削減にもつながると考えられます。

・かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所(か強診)の施設基準の見直し[歯科]

か強診の施設基準が見直しにより、厳しくなりました。

特に「過去1年間に歯科訪問診療1若しくは歯科訪問診療2の算定回数又は連携する在宅療養支援歯科診療所1若しくは在宅療養支援歯科診療所2に依頼した歯科訪問診療の回数があわせて5回以上」の要件について、来院型歯科医院では5回の要件充足がネックになることが考えられます。

Ⅱ.新しいニーズにも対応でき、安心・安全で納得できる質の高い医療の実現・充実

・手術等医療技術の適切な評価[医科]

手術支援ロボット「ダヴィンチ」を用いたロボット支援下内視鏡手術について、従前は前立腺がんと腎臓がんだけだったものが、今回の改定で、肺がんや食道がん、胃がんなど新たに12件が保険適用できることとなりました。

これにより地方の患者がロボット遠隔操作で都市部の専門医師による手術を比較的低廉な費用(保険診療)で受けられる可能性が広がりました。今後もその傾向は強くなることが予想され、高額な「ダヴィンチ」を保有している病院に優秀な医師も患者も集まる一方で、それ以外の病院は医師や患者の確保に苦慮する状況も考えられます。

・歯科外来診療における院内感染防止対策の推進[歯科]

歯科医院における院内感染防止対策の徹底が求められることとなりました。

「歯科外来診療における院内感染防止対策につき別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関」については初診料・再診料が増点、それ以外は減点されることとなりました。

日常的に唾液・血液等に触れることで院内感染の原因となるおそれもあるとして、使用したハンドピースは患者ごとに交換し、オートクレーブ等での滅菌・消毒が推奨されている昨今ですので、滅菌・消毒機器等の購入や届出等の対応が必要になると思われます。

 

弊所では、増収・増患対策に取り組まれている医院様や歯科医院様のお手伝いができるように頑張って参りますので、よろしくお願いいたします。 

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監査部 波多江誠一