2022年に神奈川県警が薬物事件で検挙(逮捕・書類送検)した916人のうち、大麻の所持や譲渡などの占める割合が51・4%と2年連続で過去最高を更新した。このうち30歳未満が全体の72・6%を占め、若年層への広がりが懸念されている。全国的に同様の傾向があり、県警は供給源の取り締まり強化のほか、教育現場での薬物乱用防止教室に力を入れている。【柿崎誠】 県警薬物銃器対策課によると、大麻事件で検挙した年代別の割合は、20歳未満20・2%(95人)▽20代52・4%(247人)▽30代14・9%(70人)――など。20歳未満のうち、高校生が23人、中学生も1人いた。また初犯は386人と全体の81・9%を占め、大麻が薬物犯罪の入り口になっているという。 県警によると、乾燥大麻の末端価格は1グラム5000円。SNS(ネット交流サービス)を通じて入手しやすく、注射器を使わずタバコのように吸える「手軽さ」も若年層の広がりにつながっているとみる。 「眠気が取れて勉強できるよ」「ダイエットに最高」――。県警少年育成課では小中高校などを回る薬物乱用防止教室で、友達や先輩からの誘いの「断り方」と題して「自分はしたくないとはっきり断る」「話を別の話題に変える」「その場を離れる」というテクニックを実演している。 23年は4月までに前年同期比1・5倍の133回の教室を開催。夏休みのアルバイトとして中身を知らずに大麻の「運び屋」をしていたケースも県外では報告されているという。旧友や新しい友達との接触が増える夏休みを前に、少年育成課は昨年を上回るペースで教育現場での啓発に力を入れていく。 大麻は依存性があり、脳に萎縮がみられる。県警の直江利克本部長は「大麻は危険性が低いという誤解がある。若者へのまん延を喫緊の課題として密輸対策など取り締まりと啓発に力を入れていく」としている。
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