あまりに身勝手な集団的自衛権

2014年03月19日 09時08分15秒 | Weblog

 

 

サマワの現実、傍観した自衛隊に「信頼できない」豪軍酷評

 

 自衛隊が派遣された国連平和維持活動(PKO)などの国際平和協力活動のうち、最も過酷だったのはイラク派遣(平成16~20年)だ。隊員は黙々と任務をこなしたが、武器使用の制約により国際社会ではあり得ない対応を余儀なくされた。

 陸上自衛隊幹部が式典に参加中、建物の外で警護にあたっていたオーストラリア軍が暴徒に襲われた

 陸自車両を警護するための打ち合わせに来た豪軍車両が、陸自拠点の入り口で暴徒から攻撃された

 これは「そのときどうする」というシミュレーションではなく、実際にイラクで起きた「事件」だ。

 陸自はどう行動したか。2事例とも施設や拠点に引きこもり、傍観せざるを得なかった。武器使用基準が国際標準より厳しく制限され、外国軍の隊員への駆け付け警護は憲法で禁じられた武力の行使にあたるとされるからだ。

 陸自はイラク南部サマワで給水や道路補修などの人道復興支援を行い、豪軍は治安維持を担っていた。陸自が拠点の外に出る際は豪軍に警護され、2つとも豪軍が陸自を守るための活動中に攻撃され、陸自は何もできなかった事例だ

  16年3月中旬、福田康夫官房長官(当時)から防衛庁に指示が下った。航空自衛隊は同月3日、イラクの隣国クウェートのアリアル・サレム飛行場を拠点にイラクでの空輸任務を開始したばかりで、福田氏の指示は空自C130輸送機で多数の米兵を運ぶのは控えろ、という趣旨だった。

 空自の空輸任務は、国連人員や救援物資を運ぶ人道復興支援向けと、米兵らを運ぶ治安維持向けの2通りあった。空自OBは「米兵の輸送が目立つと、憲法に違反する『他国軍の武力行使との一体化』と批判されることを首相官邸は懸念していた」と振り返る。

 実際は医薬品などの救援物資はわずかで、逆に米兵の輸送依頼は殺到。米側は輸送をためらう空自に不満を爆発させたため、「これではもたない」(指揮官経験者)と米軍人が乗降する姿を撮影されないよう細心の注意を払い、輸送した。

 アリアル・サレムの警備も綱渡りだった。

 日米豪韓が拠点とし、輸送機を防護するため各国5人ずつの20人編成で共同警備を行っていた。他国軍の輸送機が武装勢力に襲撃されれば、空自隊員も駆け付けるのは国際的には常識。

 だが、集団的自衛権に抵触しかねないとして具体的な対処方針は定められず、「最善の行動を取れ」という曖昧な指示で現場の指揮官に判断を丸投げせざるを得なかった。

 他国部隊は仕事を共有してくれると思っていたのに警護を求められ仕事が増え、守っている自分たちが攻撃を受けても『見ざる聞かざる』。自衛隊はアブノーマルで理解不能な組織だと扱われていた

 イラク派遣の全活動を把握する関係者はそう振り返る。そもそも自衛隊の武器使用基準の制約や武力行使との一体化という概念自体が、他国には理解できない。

 逆に、陸自の派遣隊員は他国部隊から白い目で見られ、自尊心を傷つけられた。法的な制約により士気は下がる要素しかなかった。

 国際活動での自衛隊の姿は、日本の防衛にも跳ね返ってくる。

 PKOなどの国連活動に参加している人員は日本が271人で世界49位、中国は2186人で14位。日中とも派遣している南スーダンPKOでは、陸自の活動地域は治安が比較的安定している首都ジュバだが、中国軍は政府軍と反乱軍の戦闘が起きているユニティ州などで活動している。

 防衛省幹部は  安全な場所や他国の警護を求める自衛隊は恐るるに足らぬ、という意識が中国軍に広がりつつあるのではと危惧する。そのことが、中国軍を強気にし、東シナ海での挑発をエスカレートさせ、ひいては尖閣諸島(沖縄県石垣市)侵攻へのハードルをも下げることにつながりかねない。

 

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