これぞ窮鼠猫を噛むか。党内基盤が弱いため、自民党裏金議員を次期衆院選で原則公認せざるを得ない方向とも報じられていた石破茂総理が、世論の猛反発を受けてか一転。党内処分を受けた議員について比例代表との重複立候補を認めず、一部を小選挙区で非公認とすることを表明した。ただ、これで党内が大混乱に陥っていることは言うまでもない。
石破シンパ議員が今回の経緯をこう明かす。
「石破氏は本来、“一部非公認”をいち早く宣言したかった。それでも党内では、麻生(太郎)氏や派閥を解消しても大きな力を持つ旧安倍派がその方針を許さない空気が圧倒していたことから、森山(裕)幹事長が原則公認の方向で調整していたんです。ただ、党内の一部で極秘で選挙戦の行方を調査したところ、自民が過半数割れの可能性も出て石破氏は真っ青。結局、その主要因は裏金議員の原則公認と分析したわけです」
「幹事長は最後まで慎重だった。だが、それに反対したのは全国で有権者の裏金議員批判を聞いていた小泉氏だという」(同)
これにより、萩生田光一元政調会長や高木毅氏など、最終的には旧安倍派を中心に10人近くの大物議員が非公認、加えてやはり安倍派を中心に40人近くが「重複禁止議員」になる見込みという。
自民党旧岸田派議員はこうも指摘する。
「ただし、最終的な線引きは総理の決断になる。例えば平沢(勝栄)氏も非公認の方向だが、平沢氏は総裁選前から石破支援を明確にしていただけに、バッサリ切るというのも人としてどうなのかとも思う」
ネット上では石破氏の決断に大方肯定的な意見が多く見られ、そうした声は選挙にもある程度反映されると思われるが、一方で当然ながら処分を突きつけられる議員やその周辺からは、怨嗟の声が吹き上がる。元安倍派議員もこう憤る。
「旧安倍派潰しの何ものでもない。すでに重複禁止で立候補を断念した仲間もいる。恨み節があちこちから聞こえてくるだけに、選挙が終われば倒閣を叫ぶ声も噴出するだろう」
そんな中、石破政権の短命の可能性を読む麻生氏が、高市早苗・元経済安全保障担当相に「高市、用意しとけ」と檄を飛ばしたとの報道も出た。
「高市氏は総裁選での推薦人に裏金議員が13人もいたうえ、高市氏に投票したベースも旧安倍派が中心と見られている。それだけに今回の石破総理の一部非公認措置には、『次の政権を掛けた高市潰しか!』との見方もある。ただ、高市氏がこのまま沈黙し続けるとは思えません」(政治担当記者)
これで総選挙後の自民分裂は必至か。