goo blog サービス終了のお知らせ 

Entrance for Studies in Finance

blog for business studies
http://blog.goo.ne.jp/fu12345

資源安 その原因と影響について

2017-12-30 16:10:40 | Area Studies

 

 2016年 サウジの姿勢転換により始まった減産は、ようやくアメリカのシェール生産の抑制、相場の安定をもたらすようになり、2017年11月末 OPEC総会(OPECそしてロシアなど非加盟国)は協調減産の再延長で合意した(2018年3月末を9ケ月延長 2018年12月末まで)。ただ減産による原油価格上昇はまたシェールの増産をもたらす矛盾がある。 中国インドなど新興国の需要の増加が相場を押し上げるとの楽観的な見方、景気拡大で原油需要が上振れするとされる。このほか過剰在庫の解消が進んでいるとの観測(米国の寒波で在庫減少)、地政学リスクの懸念(イランの政治情勢)も、押し上げに働く。原油価格の上昇により在庫の評価益が出る石油元売り会社、油田の権益を保有する企業の資源事業、などの利益が押し上げられている(非鉄金属も上昇 いわゆる石油・商社・非鉄など資源株やプラント株が上昇)。

 しかし長期的にはEVへのシフト、自動運転の普及やシェア経済の進展が石油需要の頭を抑えるとの議論がある。実は先進国の石油需要は2005年頃すでにピークに達し減少過程にはいっている。新興国の需要もいずれピークアウトするとされる。専門家の間では2020-2030年の間にこのピーくアウトが訪れるとされている。他面、トラックのEV化はむつかしく 航空機はなおジェット燃料が必要。

シェールの増産続き減産効果相殺(2017年2-3月現在)

  2016年11月末にOPEC総会で減産合意が成立。2017年1月に入り加盟国は減産の履行に努めているが(減産はイラクなどが減産割り当ての一部しか履行しないためサウジなど湾岸協力会議に負担・・・サウジが減産割り当て超えて減産することで達成されている側面・・・原油価格下落による設備投資減少の側面もある)、シェールオイルの増産が続いているため(背景にはシェールオイル生産コストが技術革新により大幅にダウンしている問題がある そのため原油価格があがるとあるいは今回の減産合意があるとシェールが増産され、上値が抑えられる トランプ政権の下で国内原油パウプラインの建設が進むとも また 加盟しているもののリビア ナイジェリア イランは増産 合意に参加していない 米国 カナダ ブラジルは増産)、この減産の効果が削減されている(2017年2月現在)原油相場はバレル45ドルから55ドル前後のまで急上昇した(2016年11月末から12月上旬 北海ブレンド原油)あと一服している。NYのWTI先物は50ドルを割るようになっている(2017年3月上旬)。産油国では原油価格の低迷を受けて、より付加価値の高い石油製品にシフトするうごきがある。

  トランプ政権のもとで米国は原油輸出に積極的(2015年12月に解禁。2017年10月ー12月の米原油輸出量は日量150万バレルベースで前年同期の3倍の水準)。この動きはOPEC主導の減産による価格安定効果を削ぐ側面がある。

中長期的には新興国需要のサイクルがある。先進国需要は減少してゆくとされる(省エネ 脱炭素化 高齢化)。たとえばEVの増加は石油消費の削減につながる。(インド 中国など)新興国の成長回復(新興国では依然としてガソリン車 軽油車の普及が進む)は資源化価格回復にもつながる。それは資源に依存する新興国の景気回復にもつながる。反面 資源価格の下落は資源に依存する新興国(ブラジル ロシア 南アフリカなど)の成長を抑える。

極めて似た状況にあるのが天然ガス。シェールガスにより天然ガスの生産が増えた。他方で価格の安い石炭との競合がある。需要が追い付かないため、供給がだぶつき気味とされる。中国の景気減速(中国やインドでも環境負荷が石炭より小さいガス火力が好まれる傾向がある)、米国が2016年から輸出国に転じつつあることもあり(オーストラリア産は転売禁止がついていて、転売がきかないが米国産は転売できる 日本にとって米国産はアジア産に比べ、パナマ運河を通すなど輸送費が高いデメリットあり)、LNGへの投資が停滞しているとされる(2016年はかなり縮小)。

原油価格再び急落 40ドル割れ(2016年8月末)

生産量を落とさないことでシェア維持を図っているとされるサウジ。しかし欧州ではロシア、イラクにおされている。インドではイラン、イラク。中国ではロシアに。つまり地理的に輸送コストがひくいとこと。またロシア産原油は中東産に比べて軽質でガソリンや軽油を生成しやすいとのこと。

原油価格ン変動はヘッジファンドの影響とも(2008年原油高+ドル安 201415年原油急落+ドル高) シェールオイルの採算分岐点が下がり べ米国の原油生産がなあk中減らなかった 2009-2013年 2014年以降 OPECはシェア優先に転じ 原油価格も下がり続けた。2016年7月 3ケ月ぶりに40ドル割れ(世界的余剰感) 原油価格は16年1月(30ドル割れ)ら6月上旬(49㌦)まで上昇後再び下がり始める(8月末 40ドル割れ)

ピークオイル論(枯渇→高価格)は破たんしている。大きなサイクル 自動車の燃料としての需要 新興国での増加 先進国での技術開発による減少

これまでの商品相場peakは2008年9月のリーマンショック直前である。2000年代前半と比較して約3倍の水準まで急騰した。そしてリーマンショックで暴落し2009年初め底値をみている。
その後、ドル安、欧州債務不安、新興国需要などを背景に再び2011年初めにむけて急騰した。この急騰は、長期的な傾向とも見られたが、実際は新興国需要の変調により「資源安」とよばれる状況が生じている。素材安については中国景気減速の影響が指摘されている。銅、鋼材、ニッケル、亜鉛などもともと中国需要比率が高いところが大きな影響を受けている。中国では2008年以降 設備増強で生産能力が高まったあと。インフラ投資が一巡して設備過剰(鉄鋼、アルミ、圧延コイルなど)が深刻化している面もある。中国で株式市場に比べて規制の弱い商品市場に投機資金が集まり、売りを仕掛けている面もある(銅、アルミなど)。

2015年 資源安 産出国から消費国(貿易収支改善)に所得移転。商社:資源ビジネスで損失。資源メジャーも業績悪化。

7月20日 NY原油先物 一時50ドル割れ 3ケ月半ぶりの安値 金も続落 19日夜時間外で5年5ケ月ぶりの安値
7月24日 CRB指数が6年4ケ月ぶりの安値、
8月13日 NY市場で原油先物市場が大幅に反落(2011-2014前半まで100-110ドルで安定が2014年後半に急落) WTI が一時1バレル41ドル台 6年5ケ月ぶりの安値 シェールガスオイルの高生産(2000年代末から 2015年6月ころから減産にはいるとも)+OPECの減産見送り(2014年11月・・・サウジが減産せず シェア維持 生産能力と価格競争力強いサウジ 高コスト石油の退出を促す戦略)+中国景気の減速  銅の価格は6年ぶりの安値圏 金も5年5ケ月ぶりの安値水準 

米国で原油輸出解禁の方向が決まった(2015年12月15日 米議会与野党が輸出禁止措置撤廃法案提出で合意した。禁止措置は1975年第一次石油危機のあと エネルギ―不足対策としてとられrたもので 規制緩和は40年ぶり)→世界に米原油があふれるおそれ(シェールの減産が予想されたようにおきない 優良鉱区への投資が拡大 50ドルでも利益でるとのこと 損益分岐点は下がり一部では40ドルでも利益出るように変化 ヘッジ売り)。日量200万バレル。中東産よりコスト高い。平均コストハ1バレル40-80ドル。中東は10ドル切る場合も。直近原油価格は30ドル台まで低下(2015年11月 一時40ドル割り込む 2015年12月7日NYで37ドル台 8日には36ドル台 7年ぶりの安値 2014年半ばは100ドル前後から急落)。イラン 米欧との核疑惑による経済制裁で原油輸出制限されていたイランが復帰する可能性。日量100万バレル。

2016年1月に入ると原油価格は1月12日米国WTIが一時30ドル割れ 12年ぶりの安値 その後20ドル台)。国内 石油元売りには再編圧力。出光興産+昭和シェル石油 首位のJXHD(2016・3予最終赤字2000億円 前期も2772億円赤字 2期連続の大幅赤字)と東燃ゼネラル石油(3位)。→5月13日46ドル前後は6ケ月ぶりの高値 底入れか? サウジは依然としてシェア重視 5月26日には一時50ドル回復 背景:シェールの減産 中国の景気刺激策50ドルになれば米国シェールの多くも採算とれる(技術開発と優良鉱区の開発進む)

産油国財政の悪化。サウジも2015年にGDP比22%の財政赤字に陥り、5年内で準備資産喪失とも。ロシア、メキシコ、マレーシアなど産油国は軒並み通貨が下げ。産油国通貨に売り圧力。

今後核協議の合意により2016年にもシーア派のイランの石油が復帰すると(イランとサウジが争う構え)。このほかカナダ、ロシア、イラン、ブラジルが増産基調。

 シェールガス(生産コスト40-50ドル シェールオイル:硫黄が少ない軽質油 米国内製油所は重質油処理施設が多く在庫がたまりやすい)に対抗してサウジが減産に踏み切らなかった(スイングプロデューサー 供給調整者の役割を果たさなかった 逆にこれを演じると市場シェアを失うリスクがある 減産しても減産効果は限定的で市場シェアを失うだけ)。高コストの油田の操業停止―供給過剰の抑制をねらった。しかしサウジの意図に反して、掘削技術の改善もありシェールの増産基調が変わらなかった(稼働するリグ数は2014年後半から2015年半ばで半減。中小の不採算油田は稼働停止に追い込まれたが、技術革新により生産は減らず増産基調は変わらなかった 急速なコスト削減が生じているとのこと 超深海油田やオイルサンドより低コスト)。
 OPEC加盟国はシェアを優先して高水準の生産を継続。増産に歯止めかからない。商品安:米利上げをにらんで投資資金の引き上げも背景。

世界の石油需要2019年に日量9700万バレルが上限(日本のガソリン消費のピークは2004年 人口減少と省資源化で需要減は避けられない)? 先進国でエネルギー効率改善進む。電気自動車、代替燃料の普及。

なお石油の生成には有機物が長い年月をかけて変化したとする有機起源説と、無機物から作られたとする無機起源説があり、前者の考えでは有限。他方、後者の考えでは地球の深部にできて無限に存在することになる。他方、前者の考え方は石油が枯渇するピークオイル説につながるとのこと。ピークオイル説は産油国の思惑がかさなっているとの指摘がある。採掘技術の変化により非在来型の石油が現在は急増。ピークオイル論、無機起源説への関心も低下しているとのこと(日経2016/06/12)。

 鉄鉱石の国際相場は1トン40ドル台(2015年3月末)まで下落したが、これは2011年につけた最高値の3分の1以下である。原料安は、資源生産にかかわるメーカーの採算悪化、資源を使用するメーカーの採算改善を招いている。背景には相場が下がってもなんらかの理由で生産コストがさがり、供給が減少しないということがある。たとえば、ドル高が進行して資源生産国の通貨が安くなると、ドルベースの生産コストは減少する。供給が減らなければ、相場は下がり続けることになる。鉱山の生産・輸送では機材の大型化・自動化が進み人件費抑制が進んでいる。こうした状況では生産量を増やすことで、生産コストを下げることも大手は可能である。つまり相場が下落しても、シェアを維持拡大して、採算を維持することができる。そこで、資源安が続くことになる。


鉄の生産では、オーストラリアやブラジルで大手が生産量を増やして生産コストを下げる戦略をとり、それが価格の下げにつながっているとされる。2015年時点で世界全体の鉄鋼の生産能力(23億トン)のうち7億トン超(3割まあまり)が過剰(過剰の6割 4億3000万トンが中国 生産量は2015年までの10年で4億トンから8億トンに倍増 海外に安値で販売 4000万トンが1億トン超まで 生産能力削減の一方で設備新設 4大メーカーは2015/7-9軒並み赤字 宝山 馬鞍山 河北 全体で1億トン増える  韓国のポスコも大赤字 タイでは鉄鋼大手SSIが破たん インドのタタも苦境 日本の粗鋼生産量は1億トン強)。インドなど新興国は高関税で対抗。鉄鉱石価格などが2016年に入り反発。

アメリカでは新車の販売が刺激されている。

こうした資源安は、日本については国内物価の安定につながっている。2015年2月27日発表の1月のCPI(消費者物価指数)、消費増税分と生鮮食料品除いたその数値は前年同月比0.2%上昇であった。㋄1日発表の3月のCPI 生鮮食料品除いたものは前年同月比2.2%上昇だが、2014年4月の消費増税の影響を除いたものは0.2%上昇であった。さらに4月のCPI消費者物価上昇率 生鮮食料品除いたものは前年同月比0.3%増まで下がり、消費増税の影響除くと横ばいになった。原油安の物価押し下げ圧力が働いているとされるが、政府が期待する物価上昇はこの時点では起きていない。他方で今後の物価上昇を予測するものが増えていた。4月2日発表された、3月の生活意識に関するアンケート調査によれば1年後の物価見通しは、家計の平均は4.8%上昇 企業の平均は1.4%の上昇である。

しかしその後の変調は中国経済の減速がよりはっきりしてきたことが大きいように見える。資源価格が一段と下落する。中国では2014年後半からの株価の急騰が2015年6月下旬をpeakに変調、暴落する。一説には株価が下がると、投資家は商品相場にも手を出しているので、商品を売り商品相場が下がったともされる。しかし商品相場下落はこの中国の株価下落に先立って先行して生じ、株価下落で強められた。日本では㋆7日 物価上昇連動国債利回りからはじいた市場の予想物価上昇率 今後10年間の平均で0.99% 前日から0.07ポイント下がり 1%を割り込んだ 中国では自動車保有台数の増加(2013年で1億台超)からガソリン需要はなお旺盛。しかしガソリンとともに生産される軽油が景気減速によりあまりこれを輸出に回している。事情は日本の石油会社も同じで軽油の余剰感が内外で高まり、軽油価格が6月から10月にかけ急落したとのこと。5月のLNGの平均輸入価格は2009年12月以来5年半ぶりに100万BTUあたり10ドルを下回る(8.9ドル 過去peakは2012年㋆の18.2ドル)。金も5年半ぶりの安値。中国の公共投資の遅れ、住宅市況低迷を反映して中国株より先に商品が崩れたとのこと。 原油安からシェールガス減産の見込み(6月以降)。6月 レアメタルが11年ぶり(モリブデン ルテニウム) 6年ぶり(インジウム) 5年ぶり(タングステン)などのや安値

原油安・資源安は原発事故に伴うエネルギー輸入の増加、円安による貿易赤字の縮小に役立ち国内物価を抑えている 消費者企業ともにに恩恵大きい 原油は2014年6月から15年1月までで6割下がる。その後㋄にかけて上昇後 再び下落した 相場には投機マネーが入り変動幅大きくなっている。この状況に2014年夏以降 エネルギー価格の値下がりによってエネルギーを含んだ物価は、物価の基調を示さなくなった・・・と日銀は主張しているらしい。2016年度前半ごろまでに2%物価上昇率達成が黒田日銀の公約。円安による輸入物価上昇。株高による企業業績押し上げ、株高による資産効果、賃上げによる消費拡大…が物価の押し上げに寄与する。そのためには原油相場のゆるやかな上昇を期待。・・・・ところがギリシャ問題の再燃や、中国の景気悪化の進行で、この筋書きが崩れそうだ。原油安(日量200-250万バレルの余剰)はここまでは景気の押し上げに役立っていた。しかし物価目標達成にはマイナスとなっている。もう一つの懸念は中国株の暴落に示される、中国経済の減速の影響。

期近が期先に比べ安い。コンタンゴ(順さや)。高いときはバックワーデーション(逆さや)。需給がゆるむとコンタンゴ。引き締まると逆さや(バックーワーデーション)、になりやすい。

コンタンゴcontango 先物で期先を売り 期近では買い この値段の違いは保管コストcost of carry, 金利などで説明されます

内需縮小(人口減 エコカーの普及)と原油安。石油元売り業界は一挙に集約へ。1)出光興産(2位)と昭和シェル石油(5位)が合併で基本合意。7兆6276億円。2)JXH(1位)と東燃ゼネ(3位)が経営統合で合意(2015年12月 メドは2017年4月)。売上高で14兆3345億円 トヨタ27兆3334億円に次ぐ売上高(2014年度実績)。背景:製油所・給油所など設備過剰の解消。生産・物流の合理化で収益力改善。

2017/12/30(2017/3/10)

 

 


ドイツ、メルケル首相 連立協議が難航 2017年12月

2017-12-28 13:39:42 | Area Studies

2017年9月に連邦議会選挙でメルケル首相の与党キリスト教民主・社会同盟CDU/CSU そしドイツ社会民主党SPDは大きく議席をへらし,極右政党が第三党に躍進した(総議席709 CDU/CSU246  SPD153  ドイツの為の選択肢AfD92  FDP80 左派党69  緑の党67 無所属2)。これを受けて両者は大連立を解消。CDU/CSUは、緑の党(2030年までにデイーゼル車・ガソリン車の販売禁止を主張)、自由民主党FDP(財政規律重視)と連立協議をすすめたがこれが11月19日決裂。その後SPDと連立協議を続けている(首相選出要件は連邦議会下院の過半数の支持→連立協議不成立の場合再選挙の可能性→ドイツ・EUの政治的空白が心配されている)。しかし両党の政策の違いから難航が指摘されている。

難民政策をめぐって緑の党やSPDは受入に寛容、CDU/CSUは年20万の上限(上限をつけた受入)を主張している。欧州の統合では、FDPは慎重(マクロン仏大統領は共通予算や財務相の創設を提言 南欧の失敗のつけをドイツが負担するユーロ圏共通予算に頑強に抵抗 小さな政府を志向)、緑の党やSPDは積極的。AfDは反ユーロ。AfDは経済成長の遅れが目立ち、移民受け入れ政策への反発の強い旧東ドイツで支持をふやしている。

経常収支黒字世界1 財政収支黒字 失業率は東西ドイツ統一後最低水準(2017年8月3.6%はユーロ19ケ国中最低 2017年の実質経済成長率は1.9%程度 2017年10月時点見通し)。しかし国民はメルケル(南欧に財政規律押し付け 移民は上限をつけて受入)を支持しなかった。

2017-12-28


Note:トヨタ FCVからEVへの戦略転換に遅れをとる

2017-12-25 08:31:39 | Management

トヨタはHVやPHVにこだわって電気自動車EV(動力源の効率の高さ 温暖化ガスの排出の少なさなどが評価)に熱心でないとこれまでもいわれてきた。背景にはHVのプリウスで世界に先行した成功体験があるとされ、さらにFCVの開発で先行しているとの思いもあるようだ。今トヨタは次世代自動車として燃料電池車FCVにこだわったためにEVの開発が後手になったという批判が強まっている。

英仏政府は2017年7月 将来の(2040年までの)ガソリン車の販売禁止をうちだした。続けて中国もガソリン車ディーゼル車の販売禁止の検討に入っていることがわかった(2017年9月 2018年あるいは2019年にも自動車メーカーに一定比率以上の生産を義務付けるとのこと)。これで欧州と中国のEVへの転換が事実上きまった。つまりHVもPHVも終わった(背景には日本車がHVで得意であるので、欧州や中国がEVシフトを進める側面もあるようだ。他方で、HV車は電力事情の厳しい新興国でまだ売れるとの指摘があり、トヨタは日米欧中ですでにHVの一貫生産体制を構築している)。トヨタはHVやFCVにこだわってEVで立ち遅れたのではないかとの評判が広がっている。すでにベースの問題としてFCVはEVの倍の販売価格になっており、価格競争力の勝負はついている。

トヨタがEVの課題として挙げるのはまず航続距離がまだ短いこと(EV400km HV1500km ガソリン車1000km) 充電時間が長いこと 電池の寿命が短いこと(その結果 短期間で中古車の値段が下がると予測されている)。またEVになると部品点数が4割減り部品メーカーへの影響が大きい、FCVの方が現在のサプライチェーンをいかせるなど。しかし後段の理由付けは従来型の部品メーカーの存続にこだわって、産業構造の変化にまさに立ち遅れることを意味しているのではないか?

燃料電池車FCV:fuel cell vehicle。 2014年12月15日 世界に先駆け トヨタが燃料電池車MIRAIミライの市場発売を開始した(価格は723万 航続距離650km 年400台生産の想定 国が200万程度の補助を予定なので負担は523万 受注2015年1月で1400台 納期に3年と説明 潜在的にはさらに大きな需要が存在 生産規模拡大へ) 。水素5kgで700km走行可能(3分程度でフル充填 ガソリン車並み) 現在は末端で1キロ1000円 廃棄は水だけの究極のクリーンカーとされる。しかしこれらを総合したとき、計画に無理があることは明らかではないか?

トヨタは普及にむけて特許技術5680件の無償提供を表明した(2015年1月)・・・オープンアンドクローズド戦略 自社の技術を業界標準とすることで市場で主導権確立 (米インテル:PCのマザーボードの技術を台湾企業に提供 米アップル:端末の製造情報などを中国企業に開放)

⇒ サムソンとアップル 特許戦略の違い サムソン:標準化 アップル:オープン&クローズ 日本企業:自前主義

FCVが普及する上での壁(2016年度FCVの国内販売台数約1000台 )は、水素ステーションの整備が遅れていることと、水素価格がなお高いこと(2016年度FCVの国内販売台数約1000台 )など極めて多く厚い。水素ステーションの普及はその後もめどが全くたたない(国が設置経費の半額を補助)。ステーションの建設費も高額、現在4-5億を1億円台(ガソリンスタンド並み)に引き下げる事が課題。水素の製造流通コストの大幅な引き下げが必要とされる。これらに関連する膨大な投資のめどもたっていない。問題なのは、日本だけでステーションを整備してもFCVは世界レベルで普及しないということ。・・・結論から言えばFCVの構想は将来図として根本的に実現の見通しに欠陥がある。このように欠陥のある計画を現在も進めているトヨタのこのこだわりや経済産業省の支援はよく理解できない。はっきりいえばFCVの課題よりはEVの課題克服に全力を挙げるべきではないだろうか? 中途半端に水素ステーションを整備することは膨大なムダを作り出す可能性は高いのではないか。FCVでは水素ステーションの整備が必要。他方、EVは逆に自宅充電が可能で、ガソリンスタンドを不要化することも可能。こうなるとどちらを普及させるべきがすでに結論はでているのではないか?一説にはFCVはEVの次の技術だという。そうだろうか?EVで負けてしまってからFCVで巻き返しは可能だろうか?

Case Studies

2017-12-25(2015-05-05)


Case Study on Renovo and IBM

2017-12-17 13:12:35 | Management

レノボ(聯想集団) 2005年に米IBMパソコン事業買収 売上の8割がパソコン 売上の4割が中国 2013年現在パソコンの世界最大手パソコン、スマホ、タブレットを合わせたシェアは2013年韓国サムソン電子、米アップルに次いで3 パソコン タブレ スマホを合算すると1位はさまざまな地場メーカーで2位にサムソン 3位にアップルとなりレノボの存在感は薄くなるとも指摘されている 楊元慶CEO(2014年1月)

200412月 レノボが米IBMのパソコン事業を買収  IBMからThinkPadに代表されるパソコン事業を買収

2005年IBMのPC部門 ThinkPad製品ライン買収 から統合戦略(NECとのPCでの合弁 ドイツMedion(パソコン製造)買収 ブラジルCCE(パソコン スマホ製造)買収 米EMCと提携 中国Compalと合弁)IBMはいち早くパソコン事業を売却しITサービスにシフト

 2009年PC世界シェア HP19.7% デル12.6% エイサー12.6% レノボ8.2% 東芝5.2% アスース5.2% アップル4.1% アップル3.7% 参考 NEC0.9%
 2009年PC国内シェア NEC18.3% 富士通17.9% 米デル12.1% 東芝11.2%   
 2009年サーバー世界シェア   IBM32.9% HP29.9% デル12.1% サンマイシステムズ8.8% 富士通5.1%
 2009年ITサービス世界売上  IBM550億ドル HP345億ドル 富士通233億ドル アクセンチュア209億ドル 

2009年 NEC  海外市場から完全撤退 

2010年4月 NEC 赤字の元凶の半導体について子会社のNECエレクトロニクスを同業のレネサンステクノロジと統合
2010年6月 NEC 携帯電話事業をカシオ計算機、日立製作所と統合

20111月 レノボとNECがパソコンで合弁事業で合意
20117月 レノボとNECが日本で合弁会社設立

2011127日発表(NECとレノボの提携) NECを事業統合 生産・保守の効率化 品揃えや営業戦略で現地拠点への権限移譲 NECの量販店での販売網を生かして成長
 中国のレノボグループ(聯想集団 PC出荷量はNECの10倍 中国ではシェア27%)とNEC(NECパーソナルプロダクツ)がパソコン事業で合弁(51%-49%)
 2011年6月にレノボNECホールディングスを設立(傘下にレノボジャパンとNECパーソナルプロダクツ)へ
 2011年7月合弁会社を日本で設立(レノボが51% NECが49%)
 (2012年9月4日 NECがこの合弁で取得したレノボの株2億8000万株の売却(レノボ全株の2.7%)をすることが注目された。
 2年間のロックアップ期間前の売却で異例)売却額2億3000万ドル180億円
 これはNECの保有資産売却による財務基盤強化の一環(同時期にホンハイに対して液晶DPに関する特許の一部を100億円で売却)。ただ合弁を維持して持合いを続けなかったことは注目できる。
 合弁の内容:NECパーソナルプロダクツの雇用維持 NECブランドの継続 NECは経営の主導権はこだわらない 両社は規模の利益を追及
このほかレノボ本体についてNECが2%出資
 まず日本に合弁会社設立 互いの販売網使い相互に連携・拡販を行う。 
 NEC 売上高3兆5800億円のうちパソコンは2500億円程度(2010年3月期 国内ではトップ)総従業員14万2300人 純利益114億円
 レノボ 売上高166億ドル 総従業員数2万人 純利益1億2900万ドル

提携の背景
 パソコン:汎用品commodities化 利益を生まない商品に
 しかし 
 NECは成長路線への転換を決断 提携によりグローバルな競争力を確保
 NEC本体はスマートフォンにシフト
 今後の戦略
 クラウド事業を考慮してパソコン事業を維持
 タブレット端末を共同開発

2012年2月6日 ハンセン指数の構成銘柄に選ばれる
2012年3月期 売上高295億米ドル2兆3000億円 前期比37%増
       純利益4億7200万ドル 73%増
2012年4-6月期 前年同期比 30%の増益 世界シェア15%でHPに迫る
2012年10-12月期 純利益2億487万米ドル190億円 前年同期比34%増 四半期ベースで過去最高

2013年1月 カナダのブラックベリ買収観測流れる
2013年4-6月期 レノボ(売上の8割がパソコン パソコンより採算のいいスマホとタブレットの比重を14%から
2016年には5割程度目指してパソコン依存からの脱却目指す 2012年10-12月期に中国でのスマホ事業が黒字化)は米HPを追撃 

PC販売で世界最大手になったのは2013年4-6月期 レノボ16.7% HP16.4% デル12.2% エイサー8.4% エイスース5.9% アップル5.0% 米IDC調べ。IDCの調査とガートナーの調査のいずれでも世界topになったが、はからずも消費者はタブレット等に移りつつあるとも。世界的には低価格のスマホやタブレットで新興国を攻めている。投入機種の数で年間50機種と群を抜く。新興国では現地メーカーとの価格競争で苦戦する可能性も指摘され、ブランド力をつける必要があるとされる。

2013年10-12月 純利益前年同期比30%増2億6531万ドルで過去最高 パソコン1530万台9%増(世界首位) スマホ1930万台47%増 タブレ340万台4.3倍(各世界5位) パソコンで成功体験をスマホ タブレットで再現ねらう(NECとの携帯電話事業統合交渉は決裂) 新興国に食い込むが現地の低価格メーカー(地場メーカー)との争いで利幅は薄い 
201312月 ハンセン銘柄の構成銘柄への採用決まる

携帯電話 2013年中国市場 サムソン>レノボ>華為>中興

2014123日 米IBMからPCサーバー(低価格サーバーx86サーバー)事業を23億ドルで買収(2400億円 全従業員7500人ごとひきつぐ)へ(交渉は2013年から続いていた。サーバー事業の不振から株主からは売却のプレッシャーがIBMにかけられていた)。RenovoにとりPC+とは異なる新たな領域 世界第3位のサーバープレイヤーに サーバー市場はすでにコモデティ化(DellやHPはサーバー事業でソリューション提案と連動させて収益性を高めている 之に対してx86の3割ハクラウドサービス3社のデータセンター向け)

 今後低価格化進む レノボのサプライチェーンにより低価格のメモリ購入できるなどの規模の経済効果が働き 移管により価格競争力高まる したがって売却ではなく「戦略的提携」であるとされる
 企業向けサーバー事業(IBMのシェアは8.5%世界で3位 レノボの現在ノシェア6%6位は11.1%3位へ上昇 トップはHP 2位はデル)に本格進出 個人向け主体事業から転換
 他方IBMは高採算のクラウドに注力 ハードウェアは高性能機(メーンフレーム大型汎用機)に絞り込むことで収益率を高める戦略

 2013年のPCサーバー市場シェア 世界 HP31.4% デル21.9% IBM(レノボ)12.9% シスコシステムズ5.9% 富士通3.0% 日本ではNEC31.4%  富士通19.2%  HP14.8% IBM(レノボ) デル8.7% 日立8.6%

 他方でフェイスブック、グーグル、アマゾン等大手クラウド事業者はサーバーを自ら設計して受託製造大手(台湾のクワンタなど)に数万台単位で発注しコストを削減している。こうした「無印サーバー」の登場は、サーバー事業の生き残りをさらに困難にしている(台数として全体の15%を占めるにいたっているとのこと)。フェイスブックは開発手法でオープンソース方式を応用、設計図の公開でコスト低減に努めているとのこと。

2014129日 グーグルからモトローラ端末Motorola Mobility事業(現在は赤字)を買収(PC+戦略を加速する狙い 第3位のスマホメーカーに浮上) 29億ドル 合わせて52億ドルは レノボの時価総額の半分に相当 保有現預金は38億ドル (北米・南米に強い)の携帯端末事業の事業買収 1年から1年半で黒字転換する スマホとタブレットを合わせた携帯端末で年1億台の販売目指す(アップルやサムソン電子に追いつけるか)。大型のM&Aの連続(積極策)に市場には警戒感広がる

20144月 組織替えで4事業部制として売上げで5%に過ぎないエンタープライズ事業、クラウド事業の2事業を今後の成長の柱に位置つけた。

2014年第3四半期では売上げ108億ドル前年同期比15%増 税引き後利益は26500万ドル同30%増 PC市場シェアは18.5%前年比2.5ポイント増 ノート型で18.8% デスクトップで18.0%

2014年10月2日 レノボ日本法人 法人向けサービス拡充 サーバーとPCの一体販売(事業の連携で1割程度のコスト削減余地) 懸念はIBMのPCサーバーの売れ行きが事業売却発表以降激減。製品サポート力の低下について顧客が不安を感じたことが原因。

2014年10月7日 NECとの合弁契約(2011年開始2016年6月まで 法人向けで首位を守る 13年度日本国内法人向けでNECーレノボは27.5% 富士通が22.3% 米デルは14.9% HPは14.9%)を2026年まで10年間延長 米沢工場でレノボ製品もつくることで稼働率向上 カスタマイズを中国生産から国内生産切り替えで納期短縮(国内生産している富士通 HPにあわせる  国内は人件費は割高だが生産性は高い 修理も国内で顧客満足度もあがる)

2015-2016 国内外でスマホのシェア低下 中国への新型スマホ投入にこだわり(しかしブランド力が中国で低く) 結果として海外では投入遅れる

レノボ 2017  脱パソコンを狙って拡大した、モバイルのほかデータセンター事業も不振(赤字に落ち込む) 脱パソコンがうまくいってない 

2017年11月2日 富士通(17.5%)とパソコン事業(24.6%)で合弁会社設立を発表(レノボの国内シェアは国内4割へ デル12.3% HP12.2% すでに外資系が圧倒的)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

IBM ハード事業を売却 ソフトウェア システム開発やコンサル(高性能コンピューターは残している)などに転換 また中小のソフト会社を買収して、事業構造の転換を進めた。2000年から2009年の間で220億ドルを投資。108社を買収している。自社の営業基盤に乗せれば収入が急増するような小規模企業に投資するとのこと。ソフト、サービスを重視するのはハードに比べてソフト、サービスは需要が堅調で利益率が高いことに着目した戦略。サービス事業(例 経理業務の委託)は顧客との長期契約によるので収入が安定するとのこと。2009-2010年はこの戦略が奏功。増収増益を続けた。 

2011年3月 IBMは保有していたレノボ株すべてを売却した。2005年にレノボにパソコン事業を12億5000万ドルで売却したときにレノボ株15%を保有。しかし次第に売却。この時点で残り(出資比率で4.3%分 2億6500万ドル)をすべて売却したもの。

2011年11月にはウオーレン・バフェット氏がIBM株大量取得5.5%107億ドルがわかり、そこでもIBMの事業戦略が肯定された形だった。

2012-2013年ハードウェア事業の不振から減収続く 2013年10-12月 売上高277億ドル弱(前年同期比5%減) 純利益62億ドル弱(6%増) ハードウェアの不振 新興国事業の減速 売上高(ハード事業の売上が2割を超す減収:とくに中国で)は7四半期連続で前年実績下回る ロメッテイは経営責任をとり経営幹部が2013年の賞与を辞退すると表明(ロメッテイは2012年12月 米IBM初めての女性CEOとして就任 前任はサミュエル・パルミサーノ) 

2014123日 Renovoに対して低価格サーバーx86サーバー事業を23億ドルで売却と発表

12億ドルかけて2014年内に世界15ケ所にデータセンターを建設する構想を表明(2014年1月) クラウドコンピューテイングで攻勢をかけている(これによりIBMのデータセンターは世界で40ケ所になる) IBMはクラウドに2007年に乗り出した 全世界の顧客は3万社。これまでのビジネスモデルはプライベート(専用型)クラウド。2013年の売上は40億ドル(推定)

IBMの相手は2006年にクラウドを始めたアマゾン。こちらはパブリック(共用型)クラウド。コストが安く使い勝手がよいとされ中小企業を中心に大手にも利用者増える。2013年の売上は30億ドルを超えたとされる(推定)。2013年夏 IBMはパブリッククラウドに強い米ソフトレイヤーテクノロジーを20億ドルで買収 パブリック型サービスの強化を急いでいる

2014年1-3月 ハードの不振 新興国の販売低迷 サーバーなどハード事業で大幅減収

2014年4-6月の売上は243億ドル(前年同期比2.2%減 9四半期連続の減収)  ハードの落ち込みニブレーキ 主力のサービスヤソフトが伸び悩む 純利益は41億ドル弱(同28%増 コスト削減やリストラ効果) バージニア・ロメッテイCEO

2014年7月-9月 売上げ233億ドル(前年同期比4%減 10四半期連続の減収)

2014年10月1日 ニューヨークに人工知能型コンピューター ワトソンの世界本部設置(グーグルでは量子コンピューターを独自開発 人工知能の飛躍的向上につながる同様の人工知能AIの開発と応用は マイクロソフト アマゾン ヤフーなどでも進められている)

20141020 不採算の半導体製造部門を米半導体受託製造会社(半導体製造で台湾のTSMCに次ぎ第二位)グローバルファウンドリーズGFに譲渡。 今後3年間で計15億ドルをIBMがGFに支払うとのこと(GFはIBMの設備技術を獲得して生産効率化を急ぐ GFは今後10年間サーバー用半導体を供給する) 業績変動の激しい部門の切り離し 付加価値の高い事業に経営資源を集中

米マイクロソフトとクラウド分野で提携(2014年10月)

米ツイッターとビッグデータ解析で提携(2014年10月)

2017年5月 長く(約6年間)IBM株を保有してきたバフェット氏が保有株の30%を売却したことが明らかになる

IBM 2012年からロメッテイ体制 クラウド 人工知能AI(ワトソン  これを使った業務改善で収入を得る)などの成長分野への移行を掲げるがうまくいっていない。減益続いている 2017年11月ワトソンの無料提供うちだす(情報を集めることでAIを鍛える狙い→グーグルの情報解析力は大量の情報がベースになっている) アマゾン、グーグル(量子コンピューターに注力)によるクラウドを通じた低価格サービスに押され高性能コンピューター(メインフレーム)売り込めない クラウドでも攻勢 しかしクラウドを強化すると従来業務を共喰い(カニ張りゼーション)する側面 ITを軸にした顧客のコンサルを強化

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
日本IBM 1970年代から80年代 IBMの大型汎用機は技術的に圧倒的に優位。日本ノメーカーはIBM大型汎用機向けソフトが使える互換機を開発していた 1983年にIBMと日立富士通は秘密協定で和解。やがて日立はIBMと密接な関係に。他方、コンピューター専業の富士通(大型汎用機Mシリーズを生産)は強気の姿勢続ける。85年 IBMと富士通はAAA(米仲裁協会)に紛争を持ち込み 88年10月 AAAが最終裁定(和解金額3億3700万ドル)。2001年の1兆6268億円をpeakに売上高減少 2011年には8681億円に。日本の売上は全体の1割。売上高利益率で米IBMは15%。日本IBMは3% ThinkPadの開発は藤沢研究所の成果(1991年に原型を開発 丸山力氏)

1977年アップルⅡ発売 ヒット 1979 NECがPC-8001(MS-BASIC採用) 1981年IBMがパソコン参入(MS-DOS採用) NECはいちはやくBasicを採用。NECの9800シリーズは80年代後半に国内で5割強のシェア 90年代IBM互換機

2011年7月報道 セールスフォースドットコムと組んでクラウド型サービスをはじめる(営業支援や顧客管理のシステムをクラウド型に移行する)と発表

2012年5月 日本IBM 56年ぶりの外国人社長マーティン・イェッター氏就任

2014年8月報道 日本IBMではクラウドサービスとしてはサーバーやストレージをネットを通じて貸し出すサービスを手がけていた(サーバーの販売を優先)。2013年内にも顧客情報管理サービスに参入する方針(報道 先行しているのはセールスフォースドットコム)。

2014年10月報道 日本IBMでは2014年内にも金融機関向けクラウドサービスを始める(例 顧客個人の取引内容に応じたお勧め情報送信など営業支援 小売業にも応用可能 先行はセールスフォースドット込むやアマゾン)

日本IBM 2014年内に東京にクラウドセンターを設置すると発表(2014年11月10日)

2017-12-17更新( 2014-11-10)


悪化する韓国の対中関係

2017-12-16 21:07:41 | Area Studies

中国による韓国いじめが続いている。これはやはり力の弱い属国とみているからか。しかし韓国は中国とけんかしても勝ち目はない。この場合、韓国は中国に服従するべきではないだろうか。

中国から韓国への旅行商品の販売が全面的に中断を指示したとのニュースが流れた(2017年3月2日)。ロッテがTHHADの配備先として自社のゴルフ場を提供する契約を韓国国防省と結んだあと、ロッテのウェッブサイトはサイバー攻撃をかけられた(3月1日夜)。2月16日夜韓国の海洋警察が違法操業していた中国漁船をとりましまっていたところ、中国漁船が集結して抵抗したため900発以上の機関銃を発射してこれらを散開させる事件が起きている。1月末には中国軍機2機が最初は韓国の続いて日本の防空識別圏に侵入した。このとき日本では自衛隊がスクランブル発進したが、韓国は発進できなかったとされている。この軍機の行動は、日韓の防空能力を確かめる目的だったとの指摘がある(1月31日)。なおAIIBアジアインフラ銀行の副総裁ポストを失ったのも関係があるとされる(公式には副総裁洪起沢氏は就任4ケ月で自己都合で6ケ月の休職を申し出て、その後連絡をとらず銀行から解任され、その結果、ポストはフランスに回ったとのこと。しかし中国が韓国を嫌った結果との噂は絶えない)。2016年12月前後には韓流ドラマなど韓国系コンテンツから中国メディアから姿をほとんど消したとつたえられた(2016年7月8日の米韓合意後すぐに韓国系芸能人の中国メデアから追放の噂が流れた。その動きが現実化したことになる)。これはちょうどの日本製アニメ「君の名は」の中国での上映開始と重なっている。また同じ12月には吉林省で、宗教活動をしていた韓国人30人ほどに帰国命令が出されている。中国が韓国をいじめるのはTHAAD(地上配備型ミサイル迎撃システム)配備受入にたいするもの(しかし韓国は9月3日の核実験を受けてTHAADの追加配備を決めた)。しかし北朝鮮の脅威を感じる韓国に、中国は決して暖かくない。おそらく中国から見ておもしろくないのは、中国を仮想敵国とする米軍に守られながら、中国にも媚びを売る韓国の姿勢ではないだろうか。一体、韓国は中国の味方なのか敵なのか?

たとえば後述する中韓通貨交換協定(2009年)で、中国は日本に代わって韓国の後ろ盾になってやったのでなかったか?さらに中韓FTAの締結(2015年)は中国として韓国に与えたアドバンテージなのに韓国は、韓国は中国に恩を仇(あだ)で返したのではないか?韓国は信用できないのではないか?

中国は文大統領の訪中に合わせ、2017年11月から一部地域について韓国行き団体旅行販売再開。しかしその後、再び順次禁止。最終的に韓国への団体旅行を2018年1月以降、全面的に禁止したとされる。THAADの用地を提供したロッテは許されざる存在になったまま。中国で展開していたロッテマートはその多くが消防法を理由に営業中止に追い込まれたままとされる。

 嫌韓活動について 国民の間に根強い嫌韓

 関係修復に納得しない中国国内世論

北朝鮮問題による緊張激化や、中国人旅行客が激減や、対中国ビジネスの押し下げ(現代自動車など韓国系自動車の中国での販売は低迷 17年8月には部品メーカーへの代金支払いが中国政府の意向でストップされ、中国5工場のうち4つが一時操業停止に陥っている。)は韓国にとって打撃のはず。米国からはFTAの再交渉を迫られている。国内では労組が賃上げを求めて毎年ストを打つ問題が構造化している。大変奇妙だが、半導体需要など(スマホ、データセンタ―向け半導体メモリー好調のサムソン電子、SKハイニックス 白物家電が好調のLG電子)を背景に韓国株(ポスコは中国政府の供給抑制政策の結果 世界の鉄鋼価格上昇の恩恵受ける このほか抗がん剤で製薬大手セルトリオンが浮上)は上昇基調を続けた。

韓国としては北朝鮮によるミサイル攻撃に備えての措置だが、中国は反対してきたことを無視されたという思いがある。指摘されている問題はレーダーシステム(AN/TPY-2)が導入されることで、中国からのミサイルの発射も筒抜けになる。それを中国は嫌っているとされる。他方で中国はレーダーシステムを無力化させるため、複数弾頭ミサイルMTRVや極超高速ミサイルHGVなど技術開発を急いでいるとされる。2017年10月 中韓通貨交換協定(2009年開始 3年更新)が延長されたが、中国国内の世論に配慮して、延長の事実の公表が控えらえたとされる。韓国メーカーは中国向けの減少を補うべく インド 東南アジアなどに輸出を伸ばした模様でそのことが株価にも表れた。

韓国の文在寅(ムン・ジェイン)政権は、よくわからないのは北朝鮮に弱腰で融和的であることだ。北のミサイルがソウルにも向けられているのに、備えはTHAADだけで、まるで朝鮮半島の危機は自分のことではないかのようだ。背景には2018年2月に予定される平昌冬季五輪・パラリンピック(2018年2月9日から25日)を平穏にスタートさせたいとの思いがあるようだ。しかしどう考えても、このオリンピックは危険含み。隣国は北朝鮮で指導者はミサイルを打つのが大好き。そもそも中止せずに実施して大丈夫と言い切れるだろうか?

THAAD問題。問題は韓国が米国の傘のもとにあること。中国にすればそこがまず気にいらない。私の乱暴な解決策は、韓国がいっそのこと、米国との同盟関係を解消し、中国に頭を下げ、中国に服従し中国の傘の下に入ってはどうかということ。たとえば中国人民軍に御願いして韓国に駐留してもらえれば、北朝鮮も韓国に攻め込めることもなくなり朝鮮半島は平和になり、韓国には中国人旅行客が再びあふれるのではないだろうか。

2017-12-16(2017-03-05)