日々の感想文

何かしら見たものに対する、私の主観に基づく意見が書いてあります。

短期化と人間の限界

2005-07-02 00:39:42 | 社会全般
松下電器 技術をデータベース化 開発期間短縮目指す (産経新聞) - goo ニュース

ナレッジマネジメントについては、どこの企業も取り組みの規模の大小はあれど取り組んでいる。
有名企業であれ中小企業であれ。
だが、このようのニュースになるということは、相当な規模ということなのだろう。

ところで、ナレッジマネジメント。
これが浸透する理由は、私は以下の3点に見出している。

・転職の活発化による、属人ノウハウの棚卸。
・2007年問題。
そして、これが一番大きいと思うのが、
・超短期開発による、ドキュメント化の不十分。

昔の商品開発は、今よりも時間が有ったから、ドキュメント化に十分な時間を確保できた。
それに、積極的にドキュメントを残していたと感じる。手書きが主流だからだった、なのだろうか。

昨今は、数々のデジタル開発ツールが普及してきた。
そして、それらを活用して開発時間の短縮が図られてきた。

開発時間の短縮は、線形的に減るものではない。指数対数関数的に減る。
ある段階までくると、限界に来る。

だが、時短目標は、あくまで線形的だ。
それも、最初の頃の効果刈り取りが大きかった頃で一次関数を作ってしまっている。

どこかで限界がくる。
その限界を超えるツールがあればよいが、多くの場合そうではない。
そうすると、今まで行っていた行為を省略することで時短を行う。

ドキュメント化は、狙われる最たるものだ。
書式化の代わりに動画で残したりする。
記録は残るが、再利用性は乏しい。いくら記録しても、再利用されなければ意味がない。

結局、擬似形式知が残るのみ。暗黙知と大差が無い。
そこで、吸い上げの為に、形式知化のサイクル、ナレッジマネジメントを取り入れるわけだ。

時短には際限がない。だが、それではナレッジは蓄えられない一方である。
そのうち、開発業務とは別の、ナレッジ蓄積部隊が出てくるかもしれない。
だが、そこまで短期化するのは、人間の限界に抵触し始めると思われる。

アウディのデザインに転職した日本人の言葉、1つの商品を大切にする、という言葉を思い出してしまう。