仕掛けが大きいわけじゃないが、スリルとサスペンス(?)とハラハラ感、おまけにお約束のべたなギャグで、一気呵成にラストまで雪崩れ込んだ。そして、20年前の香港映画が幸せだった時代を懐かしく思い出させてくれた。
CGを使わず、実写によるカースタントの、逆走やジャンプ、クラッシュのシーンは、作りものの映像にはない迫力があった。よく見ればあり得ないシーンなのだが、CGでそれらしく作るよりは、かえってこちらのほうがスリル満点なのが不思議だ。そして一番凄かったのは、竹の足場をなぎ倒し、車に緑のシートを引っかけ、そのシートに絡まったxxxxがシートと一緒にxxxx(ネタばれのため自粛)のシーンで、体を張った演技に、香港の映画館でもないのに思わず大拍手をしてしまった。
スリルとサスペンス(?)だけではない、べたなギャグもてんこ盛りだ。 急いでいるのにやたら質問し、仕事そっちのけで女を口説く携帯電話店の男(王祖藍)。また、車を盗まれる情けない男たち(谷 徳昭・もう一人は?)。
だが、主人公(阿邦=古天樂)はヒーローではない。どこにでもいそうな、気の弱いダメ男だ。ことあるごとに、顔をひきつらせながらも事件に立ち向かっていく、いや巻き込まれていくその姿が、見る者の共感を呼ぶ。
なにも杜 琪峰ばかりが香港映画ではあるまい(好きだけど)。こういうべたな映画も香港映画だ。いや、これこそが香港映画の王道なのだ。
2009.8.1 新宿武蔵野館
コネクテッド 公式サイト
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