琉球古典音楽の野村流では、工工四に声楽譜が付いている。
つまり、三線の手の押さえる位置と、歌の音程が、並行して同時に別々に書かれている。
ここまでは何の不思議もないが、ある特定の記号については、歌と三線の両方の意味を持っているものがある。
それは「振り上げ」(読み=フイアギ)なのだ。
これは三線の押させる位置を表すわけではないが、「バチを振り上げる」という意味と、それと同じタイミングで「歌を強調する」というような意味がある。
つまり、歌と三線の両方に係っている。
バチをぐるっと振り回しながら発声を強めるような感じ。
こんな珍しい記号は、おそらく世界中探しても他には無いのでは?