2008年6月に、「調査捕鯨」団の鯨肉横領疑惑に関して、窃盗容疑で逮捕→起訴された Greenpeace Japan のメンバー2人。
ようやく今年2月から、この2人に対する裁判の本番が始まった(長いよ)。
・逮捕から約615日目で初公判になったわけだが(2010年2月15日 flagburner's blog(仮))
・鯨肉横領疑惑ばかり注目しないで(2010年3月9日 flagburner's blog(仮))
・鯨肉横領疑惑ばかり注目しないで 2(2010年3月10日 flagburner's blog(仮))
・「調査捕鯨」団への絶妙な「不起訴相当」の議決公表(2010年4月26日 flagburner's blog(仮))
・Greenpeace Japan のメンバー2人への公判は脱線し放題(2010年5月15日 flagburner's blog(仮))
・Greenpeace Japan のメンバー2人への裁判が結審したけど(2010年6月8日 flagburner's blog(仮))
そして今日になって、この件で判決が出たのだが・・・。
・グリーンピースメンバー2人に有罪 鯨肉窃盗事件で地裁(2010年9月6日 asahi.com)
・鯨肉窃盗:グリーンピースメンバーに有罪判決 青森地裁(2010年9月6日 毎日jp)
・グリーンピース鯨肉窃盗、メンバー2人有罪判決(2010年9月6日 YOMIURI ONLINE)
・Two anti-whaling activists escape jail in Japan(2010年9月6日 smh.com.au)
この裁判が進むにつれて、Greenpeace のメンバー2人こと佐藤 潤一氏と鈴木 徹氏が有罪になるという妙な予感を抱いていた俺。
結果的には、この予感が見事に当たってしまったのだが・・・。
以下、2010年9月6日分 asahi.com『グリーンピースメンバー2人に有罪 鯨肉窃盗事件で地裁』を全文(略
---- 以下引用 ----
調査捕鯨船の船員らが土産名目で自宅あてに送った鯨肉を運送会社から持ち出したとして、窃盗と建造物侵入の罪に問われた環境NGO「グリーンピース・ジャパン」(GPJ)のメンバー2人に対し、青森地裁(小川賢司裁判長)は6日、懲役1年執行猶予3年(求刑懲役1年6カ月)の有罪判決を言い渡した。2人は控訴する方針。
判決によると、GPJメンバーの佐藤潤一(33)と鈴木徹(43)両被告は2008年4月16日、青森市の西濃運輸青森支店の配送所に侵入し、塩漬けの「ウネス」と呼ばれる鯨肉が入った段ボール箱(23.1キロ)を盗んだ。
GPJ側は「船員が鯨肉を無断で持ち帰る『横領行為』を告発するための証拠を確保した。自分たちで利用する意思はなく、箱を持ち出したのは正当な行為」として無罪を主張していた。
これに対し判決は、持ち出した事実は「段ボールを開けるなど、段ボールの所有者しかできないことをした」として、不法に自らのものにする意思があった認定。
検察側の「告発という自らの目的で利用するため盗み出した」との主張をほぼ認めた。
また、行為の正当性については「いかに公益を目的とした正当なものだとしても、刑罰に触れて他人の権利を侵害することまで法と社会は許容していない」として、正当性はないとした。
一方で、船員による鯨肉の持ち出しについて「一部不明朗な点があったのは確か」だと認めた上で、「今回の行為でその点が見直された」と執行猶予をつけた理由を説明した。
---- 引用以上 ----
う~ん。
検察側にしたら「してやったり」って所か。
なんせ、佐藤氏と鈴木氏を有罪にするだけでなく、Greenpeace Japan(と Greenpeace の本部)にも大きなダメージを与えることができたわけだし。
裁判中、「調査捕鯨」団の船員達が鯨肉持ち出しなんだか横領について滅茶苦茶な発言をしてたのも、検察側や「調査捕鯨」団の弁護士が船員達の間で下手に口裏を合わせなくても佐藤氏と鈴木氏を有罪にできるという確信を持っていたんだろうな。
意地の悪いことを書けば、検察側はこの裁判で「調査捕鯨」の正当性と Greenpeace の悪質性を同時に世界へ発信してのけたのだ。
その正当性の前では、鯨肉横領だかなんだかは些末なイベントでしかないわけで・・・。
さらに、この裁判の判決は、今後世界各国で同様の事態が起こった際に(悪い意味で)判例として参照される可能性が高いかと。
とりわけ、政府の不正とかを告発する NGO やジャーナリストの存在を嫌ってる国々にとって、この判決は(NGO やジャーナリストを弾圧するための)魔法の杖(Silver Bullet の方が適切か?)になりうるし。
こういう国々の司法当局の方々は、これほどまでの破壊力を秘めた判例をもたらした青森地検と青森地裁に足を向けて寝られないぞ(謎)
幸か不幸か、判決直後に Greenpeace Japan が行った UStream 上での生放送(質問者の声が聞こえなかったのはなんで?)を観た。
そこでは、鈴木氏だか佐藤氏だか弁護士だかによる、「日本は北朝鮮と同じような状況に云々」という発言も・・・。
誰か、この正確な発言を教えてくれい(無責任)
最後に。
今日の判決の後に、Greenpeace Japan が出した声明から、Kumi Naidoo 氏の発言を引用しとく。
・クジラ肉裁判――執行猶予付き懲役1年の不当判決
グリーンピース、「知る権利」はゆずれない(2010年9月6日 greenpeace.or.jp)
以下、2010年9月6日分 greenpeace.or.jp『クジラ肉裁判~』から、その部分を(略
---- 以下引用 ----
(中略)
判決を傍聴するために来日したグリーンピース・インターナショナル事務局長のクミ・ナイドゥは、強い懸念を示してこう語りました。
「佐藤と鈴木の行動は、税金が投じられる調査捕鯨の不正を告発し、非暴力にもとづく平和的な方法で公共の利益に貢献するものだった。このような行動は、日本も批准している国際人権(自由権)規約で保障されるべきだ。二人に厳しい処罰を与えるのは、日本ばかりか全世界の市民を萎縮させ、政府の力で黙らせることにつながる。私たちグリーンピースは判決を不服とし、環境保護と市民の権利擁護の闘いを続ける」
---- 引用以上 ----
果たして、この裁判の結末はいかに?
ようやく今年2月から、この2人に対する裁判の本番が始まった(長いよ)。
・逮捕から約615日目で初公判になったわけだが(2010年2月15日 flagburner's blog(仮))
・鯨肉横領疑惑ばかり注目しないで(2010年3月9日 flagburner's blog(仮))
・鯨肉横領疑惑ばかり注目しないで 2(2010年3月10日 flagburner's blog(仮))
・「調査捕鯨」団への絶妙な「不起訴相当」の議決公表(2010年4月26日 flagburner's blog(仮))
・Greenpeace Japan のメンバー2人への公判は脱線し放題(2010年5月15日 flagburner's blog(仮))
・Greenpeace Japan のメンバー2人への裁判が結審したけど(2010年6月8日 flagburner's blog(仮))
そして今日になって、この件で判決が出たのだが・・・。
・グリーンピースメンバー2人に有罪 鯨肉窃盗事件で地裁(2010年9月6日 asahi.com)
・鯨肉窃盗:グリーンピースメンバーに有罪判決 青森地裁(2010年9月6日 毎日jp)
・グリーンピース鯨肉窃盗、メンバー2人有罪判決(2010年9月6日 YOMIURI ONLINE)
・Two anti-whaling activists escape jail in Japan(2010年9月6日 smh.com.au)
この裁判が進むにつれて、Greenpeace のメンバー2人こと佐藤 潤一氏と鈴木 徹氏が有罪になるという妙な予感を抱いていた俺。
結果的には、この予感が見事に当たってしまったのだが・・・。
以下、2010年9月6日分 asahi.com『グリーンピースメンバー2人に有罪 鯨肉窃盗事件で地裁』を全文(略
---- 以下引用 ----
調査捕鯨船の船員らが土産名目で自宅あてに送った鯨肉を運送会社から持ち出したとして、窃盗と建造物侵入の罪に問われた環境NGO「グリーンピース・ジャパン」(GPJ)のメンバー2人に対し、青森地裁(小川賢司裁判長)は6日、懲役1年執行猶予3年(求刑懲役1年6カ月)の有罪判決を言い渡した。2人は控訴する方針。
判決によると、GPJメンバーの佐藤潤一(33)と鈴木徹(43)両被告は2008年4月16日、青森市の西濃運輸青森支店の配送所に侵入し、塩漬けの「ウネス」と呼ばれる鯨肉が入った段ボール箱(23.1キロ)を盗んだ。
GPJ側は「船員が鯨肉を無断で持ち帰る『横領行為』を告発するための証拠を確保した。自分たちで利用する意思はなく、箱を持ち出したのは正当な行為」として無罪を主張していた。
これに対し判決は、持ち出した事実は「段ボールを開けるなど、段ボールの所有者しかできないことをした」として、不法に自らのものにする意思があった認定。
検察側の「告発という自らの目的で利用するため盗み出した」との主張をほぼ認めた。
また、行為の正当性については「いかに公益を目的とした正当なものだとしても、刑罰に触れて他人の権利を侵害することまで法と社会は許容していない」として、正当性はないとした。
一方で、船員による鯨肉の持ち出しについて「一部不明朗な点があったのは確か」だと認めた上で、「今回の行為でその点が見直された」と執行猶予をつけた理由を説明した。
---- 引用以上 ----
う~ん。
検察側にしたら「してやったり」って所か。
なんせ、佐藤氏と鈴木氏を有罪にするだけでなく、Greenpeace Japan(と Greenpeace の本部)にも大きなダメージを与えることができたわけだし。
裁判中、「調査捕鯨」団の船員達が鯨肉持ち出しなんだか横領について滅茶苦茶な発言をしてたのも、検察側や「調査捕鯨」団の弁護士が船員達の間で下手に口裏を合わせなくても佐藤氏と鈴木氏を有罪にできるという確信を持っていたんだろうな。
意地の悪いことを書けば、検察側はこの裁判で「調査捕鯨」の正当性と Greenpeace の悪質性を同時に世界へ発信してのけたのだ。
その正当性の前では、鯨肉横領だかなんだかは些末なイベントでしかないわけで・・・。
さらに、この裁判の判決は、今後世界各国で同様の事態が起こった際に(悪い意味で)判例として参照される可能性が高いかと。
とりわけ、政府の不正とかを告発する NGO やジャーナリストの存在を嫌ってる国々にとって、この判決は(NGO やジャーナリストを弾圧するための)魔法の杖(Silver Bullet の方が適切か?)になりうるし。
こういう国々の司法当局の方々は、これほどまでの破壊力を秘めた判例をもたらした青森地検と青森地裁に足を向けて寝られないぞ(謎)
幸か不幸か、判決直後に Greenpeace Japan が行った UStream 上での生放送(質問者の声が聞こえなかったのはなんで?)を観た。
そこでは、鈴木氏だか佐藤氏だか弁護士だかによる、「日本は北朝鮮と同じような状況に云々」という発言も・・・。
誰か、この正確な発言を教えてくれい(無責任)
最後に。
今日の判決の後に、Greenpeace Japan が出した声明から、Kumi Naidoo 氏の発言を引用しとく。
・クジラ肉裁判――執行猶予付き懲役1年の不当判決
グリーンピース、「知る権利」はゆずれない(2010年9月6日 greenpeace.or.jp)
以下、2010年9月6日分 greenpeace.or.jp『クジラ肉裁判~』から、その部分を(略
---- 以下引用 ----
(中略)
判決を傍聴するために来日したグリーンピース・インターナショナル事務局長のクミ・ナイドゥは、強い懸念を示してこう語りました。
「佐藤と鈴木の行動は、税金が投じられる調査捕鯨の不正を告発し、非暴力にもとづく平和的な方法で公共の利益に貢献するものだった。このような行動は、日本も批准している国際人権(自由権)規約で保障されるべきだ。二人に厳しい処罰を与えるのは、日本ばかりか全世界の市民を萎縮させ、政府の力で黙らせることにつながる。私たちグリーンピースは判決を不服とし、環境保護と市民の権利擁護の闘いを続ける」
---- 引用以上 ----
果たして、この裁判の結末はいかに?
いくらグリーンピース側が「不正を摘発する為」と言っても、団体としての目的が「(調査)捕鯨反対」なのは明らかなのですから。
行動そのものに団体としての利益がある、とみなされるかもしれませんし。
そもそもグリーンピースが告発しようとしたのは「横領(した特定の個人)」なのか?調査捕鯨に関係する構造なのか?
何より運送経路で「抜く」必要があったのか?
今回の件は西濃から被害届けが出ていたはずですが、アレはイカンですよ。
しかも貨物のトレース情報を追跡して、中継店で「抜いた」わけでしょ?
こんな事をされたら運送会社はたまったもんじゃありませんよ。
ただでさえ西濃は評判が悪いのにw
>~告発(行動)そのものを別のNGO団体に任せるべきだったんじゃないかと私は思いますね。
当初、Greenpeace Japan にはそういうことも選択肢としてあったと思うんです。
ただ、日本国内で例の一件について告発するとなると、その辺に慣れてる NGO が見つからなかったのではないでししょうか。
そのため、日本国外でやってきたような手法をとったのですが・・・結果は言うまでもなく(苦笑)。
今更ながらになるのですが、Greenpeace Japan はこの告発を日本国外の(それも影響力のある)メディアで行うべきだったのかもしれません。
ただ、その際に、情報持ち込み先を厳選する必要はあったと思いますが・・・(CNN に持ち込んでも「反日云々」で片づけられるのがオチなので)。
>何より運送経路で「抜く」必要があったのか?
「抜かざるを得なかった」、というのが実態じゃないでしょうか。
仮に、「調査捕鯨」団の船員が件の鯨肉を受け取った後で Greenpeace Japan がそれを「横領の証拠」として提供して~と言っても、「処分」されてる可能性は十分ありますし。
おそらく、Greenpeace Japan は「調査捕鯨」団の証言だけでなく物的証拠も確保したかった(せざるを得なかった)と思います。
そのため、運送経路で鯨肉入りの荷物を「抜く(抜かざるを得なかった)」のではないでしょうか。
ちなみに、西濃運輸の評判を少し調べたのですが・・・。
確かにあまり良くないみたいですね(苦笑)。
ま、運送業を営む企業はそんなものかもしれませんが。
当初からグリーンピース側は日本の刑法上、刑事(横領)事件として処理される可能性は低いと考えていたんじゃないかと私は思うんですよねぇ。
当事者のインタビュー記事ですが、
http://www.greenpeace.or.jp/campaign/oceans/whale/t2/t2_sato01_html
『 2008年の1月ぐらいに捕鯨船、クジラを捕っている船ですけど、の船員さんから、乗っている船の上ですごい量のクジラの肉を捨てているということと、かなりの量の肉を船員さんが個人的に盗んでいるという内部告発情報があったんですね。で、クジラの肉を盗んでいるというほうは私たちが東京で調査をしようと思って、捕鯨船が日本に帰ってきたときに調査をしたんです。』
当初の情報提供の段階で船上で廃棄される鯨肉が相当量ある事をグリーンピース側は知っていたわけで。
廃棄分を持ち帰ったのと不正取得の違いをどう証明するつもりだったのか。
調査捕鯨側の鯨肉処理に問題があるのは確かでしょうが、不正(横領)として刑法上処罰する事が可能かどうか、私は疑問に思います。
不適切だとは思いますけどね。
不法行為としての立件が非常に困難ではないかと。
形としては行政訴訟か何かの方が良かったのかな?
市民オンブズマンにでも持っていけば喜んでやってくれたような気が。
>おそらく、Greenpeace Japan は「調査捕鯨」団の証言だけでなく物的証拠も確保したかった(せざるを得なかった)と思います。
>そのため、運送経路で鯨肉入りの荷物を「抜く(抜かざるを得なかった)」のではないでしょうか。
確かに上述の記事の中で「現物を(今)確保しないと不正がウヤムヤになると思った」と言ってますね。
またグリーンピースは税金を投入しているのだからと本件の不法性を主張しますが、本質的な問題は「調査捕鯨という枠組み」が日本の捕鯨のスタンスからはあってはいけないはずの「鯨肉の廃棄」を生んでいる、という事ではないかと私は思います。
>形としては行政訴訟か何かの方が良かったのかな?
>市民オンブズマンにでも持っていけば喜んでやってくれたような気が。
それも結構厳しいと思います。
というのも、「調査捕鯨」団の片割れである共同船舶は(形式的には)民間企業なので、(公権力の行使について問う)行政訴訟の対象外になる可能性が高いんですよね。
市民オンブズマンに持ち込むにしても、先程述べた理由から監視する範囲に限界がある(共同船舶は除外)と思うんです。
その意味では、「調査捕鯨」が色んな意味でグレーな事業になってることを示してるのですが・・・。
>~本質的な問題は「調査捕鯨という枠組み」が日本の捕鯨のスタンスからはあってはいけないはずの「鯨肉の廃棄」を生んでいる、という事ではないかと私は思います。
確かに。
そもそも、「調査捕鯨」自体がすでに無理を重ねてる状態なんですよね。
にもかかわらず、懲りずに(?)調査を続ける「調査捕鯨」団の方々は、ある意味心臓に毛が生えてるとしか思えません。