flagburner's blog(仮)

マイナーな話題を扱うことが多いかもしれません。

自由社の歴史教科書における年表を育鵬社の歴(略)における年表にしてもよさそうだが(危険)

2011-08-02 20:46:12 | 歴史教科書騒動
「新しい歴史教科書をつくる会」の片割れである自由社が編集した歴史教科書の市販本について、自由社が自主回収を行っていたらしい。
理由は、東京書籍の歴史教科書の年表を全部無断引用してたから、というのだが・・・。
・戦争美化教科書 自由社が市販本回収 他社年表を引き写し(2011年7月31日 jcp.or.jp)

自由社の歴史教科書については、以前から内容や編集のアレっぷりで有名だった。
↓はその1例。
・もはや回収しかない!「応仁の乱」も裏焼き 自由社版教科書(2010年7月28日 新しい歴史教科書をつくる会WATCH)
・そもそも扶桑社を盗用している自由社版教科書-記述検証〈13〉(2011年6月27日 正統保守の敵「つくる会」一部首脳を追撃します)

で、今回の話。
先月16日の時点で、しんぶん赤旗がこれを伝えていた。
・自由社が著作権侵害認める  年表盗用でお詫び文書(2011年7月17日 新しい歴史教科書をつくる会WATCH)

その後、自由社は文部科学省とかにこの件を報告しつつ、市販本の回収をこっそり進めていた模様。

---- 以下引用 ----
他社の教科書からの年表の引き写しが発覚した自由社中学校教科書『新しい歴史教科書』の市販本を、同社が回収していることが30日、わかりました。

 本紙の取材に対し同社は「著作権上の問題で東京書籍との約束で回収を行っている」としています。
見本本については回収は行わず、各教育委員会に対して「経緯と理由を説明した文書を配布している」といいます。

 同社の教科書は戦前の日本が起こした侵略戦争を美化するもので、歴史と公民が今年3月に検定合格しました。
同社は各教育委員会などに配布する見本本のほかに、一般書店で販売する市販本を発行していました。

 ところが歴史教科書の年表が東京書籍『新しい社会・歴史』2002年度版から盗用したものだと子どもと教科書全国ネット21などから指摘を受けました。
180項目すべてで出来事の選択が一致し、うち9項目を除いて表現も同じでした。
指摘を受けて自由社は「ほぼ引き写し」であることを認めていました。

 引き写しの経緯について同社は「年表を担当していた編集委員が会社を辞めてしまったため、連絡が取れず把握できない」としています。
しかし、同社はその元社員に電話もしていないといいます。

 同社の歴史教科書は2010年から横浜市の18区中8区で使われています。
今年から教科書採択が全市一区となった同市では、同様に侵略戦争を美化する育鵬社の教科書とともに採択しないように求める声が高まっています。
---- 引用以上 ----

元社員との連絡が取れない、ってのも色々疑惑を抱かせるが・・・。
こうなった理由としては、自由社側に「歴史教科書検定では、年表の内容までチェックしないから大丈夫だろ」なんて思いこみがあったのかもな。
あるいは、年表に関するデータを育鵬社(厳密には扶桑社)からもらうのを忘れたとか・・・。
いずれにしろ、自由社のアレッぷりを如実に示した件と言える。
丸ごと引用するならバレないようにやれよ。

そもそも、自由社の歴史教科書って、「つくる会」と扶桑社との出版許諾契約に関するトラブルがきっかけで作られたブツなのだが。
この裁判の判決については以下参照(手抜き)
・「新しい歴史教科書」出版差止事件-著作権 書籍出版等差止請求事件判決(知的財産裁判例集)-(2009年9月7日 駒沢公園行政書士事務所日記)

この裁判の判決は、「つくる会」と扶桑社が妙な関係にあったかを物語っていた。
以下、2009年9月7日分 駒沢公園行政書士事務所日記『「新しい歴史教科書」出版差止事件~』から、『本件許諾契約における発行期間についての合意内容』の解説部分を(略

---- 以下引用 ----
(中略)
2 本件許諾契約における発行期間についての合意内容

教科書の発行期間(使用期間)についての当事者間の合意内容(口頭で締結された出版許諾契約の内容)について、裁判所は、

 1 発行期間について特に話し合われたことがない
 2 当事者意思
 3 異なる取扱いの合意がない
 4 教科書発行者の一般的な取扱い
 5 原被告間の一連の経緯


などの点から、

『本件許諾契約締結当時,当事者間においては,本件教科書(本件書籍)の発行期間につき,本件教科書の改訂が行われ,改訂された新しい教科書が発行されるまで,と定められていたと認めるのが相当である』

と判断しています(54頁以下)。
結論として、平成20年に改訂された学習指導要領が平成24年度に施行されることとの関係から、本件書籍の発行期間は平成23年度(平成24年3月末日)までであるとされています(63頁)。
(以下略)
---- 引用以上 ----

発行期間について「つくる会」と扶桑社の間で話が行われなかったってのは、仕事相手という感覚がなかったことの裏返しなんだろうか?
その結果、両者が交わした(と思われる)出版に関する契約にあいまいな点を残してしまい、後日の裁判沙汰を招いたのは皮肉というかなんというか・・・。

今更言うのもなんだが、育鵬社(厳密には扶桑社)の方々は自由社の歴史教科書担当の人に「俺らの年表使わない?(有料)」と提案すれば良かったと思う。
なにせ、内容も似てる部分が多いし、年表が同じでも違和感ないしね・・・。


というか、自由社の歴史教科書における歴史年表丸ごと無断引用に気付かなかった教科用図書検定調査審議会(通称審議会)にも、「何をやってるのか」と言いたくなる。
まぁ、教科書本文をメインでチェックするから、年表まで気が回らなかったと思われるが・・・。



2011年8月8日追記:

実は、自由社の歴史教科書には、上記のこと以外にも誤りがあった模様。
・自由社教科書の「広島原爆」写真、長崎のだった(2011年8月8日 YOMIURI ONLINE)

以下、2011年8月8日分 YOMIURI ONLINE『自由社教科書の~』を全文(略

---- 以下引用 ----
中学校向けに「自由社」(東京都文京区)が編集し、文部科学省の検定に合格した2012年度版「新しい歴史教科書」に、「広島に投下された原子爆弾」として掲載された写真が、実際は長崎に投下された時のものだったことが8日、わかった。

 同社は近く文科省に訂正を申請する方針。
この教科書を巡っては、掲載された歴史年表が、東京書籍の02年度版教科書から盗用されていたことが判明したばかり。

 自由社によると、写真は1945年8月9日、原子爆弾が長崎に投下された際に撮影されたものだったが、担当者が提供された写真の説明文を転載する際に誤ったという。

 同社では「大変申し訳ない。文科省に訂正申請を行い、来年春までには完璧を期したい」と話している。
---- 引用以上 ----

自由社は、いっそ歴史教科書を作らなければいいのに・・・(毒


最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
正直 (Ursaemajpris)
2011-08-03 13:30:28
個人的には、現代史(戦中・戦後史)は、ほとんど教えてもらってないから、何でそっち(教えない事)は問題にならないのか不思議でしょうがない。

戦争を美化するのも、戦中の日本の負の側面ばかり教えようとするのも、俺にはバランスを欠いているように思えるけど、そもそも「教えてない」てのはどうなの?と。

どうなんでしょうね?
少なくとも私の周囲では「教えてもらってない人」が大多数だと思うんですが。
返信する
Ursaemajpris さんへ (flagburner)
2011-08-04 20:04:05
コメントありがとうございます。

>個人的には、現代史(戦中・戦後史)は、ほとんど教えてもらってないから、何でそっち(教えない事)は問題にならないのか不思議でしょうがない。
う~ん。
現代史(戦中・戦後史)については、どうしても触れて欲しくない人達も少なからずいるでしょうし・・・。

この辺りは、学校において日本史や世界史を教える際の順番が大きな要因かもしれません。
というのも、学校でこの2つについて教える場合、『古代→中世→近世→近代』の順番になっていますし・・・。

これは、私が通っていた高校の世界史の授業における経験なのですが、1学年の授業の後半期は受験対策に割かれて、近代史(戦中・戦後含む)については扱いが薄かったんです。
この辺りは、世界史の試験で近代史(戦中・戦後含む)の比率がそれほど高くないことに起因してるのかもしれませんが・・・(現在の状況は不明)。

変な書き方になりますが、これを解決するなら日本史にしろ世界史にしろ『近代→近世→中世→古代→・・・』という順番で教えるやりかたにするのが妥当かもしれません。
ただ、この場合、(試験における出題比率を考えると)受験対策に全くならないと思われますが・・・。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。