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日本語名前のローマ字表記記法に関するメモ

2011-01-28 20:04:30 | その他
今回は佐々木 正明氏の記事訂正依頼に関する補足的記事。
訂正依頼については以下参照(手抜き)
・佐々木 正明氏公式 blog の 2011年1月24日分記事に対する訂正希望(2011年1月28日 flagburner's blog(仮))

上の記事で指摘してなかったけど、佐々木氏が Nathan MURPHY 氏の名前を姓→名で表記したのも無理ないのよね。
なんせ、ビクトリア州議会のデータベースでは、姓の部分を全部大文字、カンマを入れた後、名前は最初の頭文字以外小文字にしてるので。
・MURPHY, Nathan(paraliament.vic.gov.au)

多分、佐々木氏は、MURPHY 氏の名前を調べてて、オーストラリアでも姓→名で表記すると思い込んだのだろうか?
あるいは、日本式で MURPHY 氏の名前を書くと考えてたかもしれんけど・・・。

ただ、こうした記法ってのは、学術論文の参考文献表示で使うことが多いんだよな。
しかも、この記法、文章の中に入ってると読みづらいという欠点が(汗)(おまけ参照)
実際、俺も一時期 blog 上で、ローマ字表記の人名を(LIBERMAN, Avigdor)と(姓、名)で表記してたけど、予想以上の読みづらさに結局断念。
妥協策として、Avigdor LIBERMAN のように姓の部分を全部大文字にして表記することにした。
ちなみに、この案は『マイノリティの名前はどのように扱われているのか』(リリアン テルミ ハタノ著(Lilian Terumi HATANO)、ひつじ書房、2009)を読んで知った(笑)
興味のある人は読んでね(宣伝)
・マイノリティの名前はどのように扱われているのか
ー日本の公立学校におけるニューカマーの場合
(ひつじ書房)

しかし、ローマ字での名前表記で、姓の部分を大文字にするのって意外と面倒なんだよな。
単に俺が shift キーを押しながらの入力に慣れてないだけの話だけど・・・。


それにしても。
日本語の名前に、ハングル文字やアラビア文字などををねじ込もうとした挑戦者(?)っているんだろうか?


おまけ:約11年前の国語審議会(文化審議会国語分科会)の第14回議事要旨。
・国語審議会第3委員会(第14回)議事要旨(2000年11月9日 文部科学省)

上の議事要旨で注目したいのは、日本語姓名のローマ字表記に関する議論。
ここでは、日本語姓名をローマ字表記する際の問題点と国語審議会の性格が端的に記録されていた。
以下、2000年11月9日文部科学省『国語審議会第3委員会(第14回)議事要旨』から、『「姓名のローマ字表記の問題」について』を(略

---- 以下引用 ----
(中略)
〔「姓名のローマ字表記の問題」について〕
○ 試案が示した姓名のローマ字表記の基本的な方針に対しては賛成意見が20件,反対は7件であった。
学校教育における指導については,慎重にすべきだという意見と積極的に行うべきだとする意見が共に出されている。
「YAMADA Haruo」のような具体的な書き方についても,姓と名の間に「,」を打つべきだなどの意見が幾つかある。

○ 「姓-名」順表記を個人に強制すべきでないとの意見もあったが,国語審議会はもともと,国語審議会としての考え方を示して官公庁や報道機関,あるいは教育においてその趣旨が生かされることを希望しているのであり,個々人のコミュニケーション場面における使用を規制しようとはしていない。

○ これまで第3委員会や総会で議論を積み重ねてきており,パブリックコメントでも全体として賛成意見が多いのだから,基本的な方針を動かす必要はないであろう。
「,」を入れるなど具体的な表記の例示について,検討しておきたい。

○ 個人のサインでも姓を大文字にして「,」を打つのか。
違和感があるように思うが……。

○ サインはつづり字の1字1字の形が見えるように書くものも,そうでないものもある。
ここではサインの問題ではなく,ブロック体の手書きや活字における表記のことを考えればいいのではないか。
また,厳密にはそのようにローマ字使用の場合分けを考える必要があるが,今回の提案はその前段階の仕事であり,そこまで含めると分かりにくくなると思う。

○ もともとの表記と順序を逆転していることを示すために「,」を打つのだから,姓名順の日本名表記に「,」を挟むのは変だという考え方もある。
パブリックコメントで「,」を入れるべきだという意見を寄せた人は,学術関係で「,」を入れて日本人名を姓名順にローマ字表記してあるものなどを念頭に置いているのであろうが,「,」は元の順序と逆であることを示すのだという意識を強く持っている人は,違和感を持つことも予想される。

○ 従来の慣習に基づく誤解を防ぐための移行措置のようなものとして掲げるのだから,本来はおかしいと言われる形でもいいという考え方もあろう。
一つ気になっているのは,教育現場で硬直的な指導が行われないかということである。
「YAMADA Haruo」という例を出せば,そのとおり書かなければバツにするようなことが起こるのではないかと懸念する。

○ 教科書にどう取り入れられるかの影響が大きいと思う。
各教科書会社の判断で導入すると,統一性がなくて教えにくいという批判が出ることが予想される。
一方で,全教科書に一律に導入させれば,上意下達だとの批判が出るであろう。
複数の例を挙げると,すべてを取り入れなければならないと受け取られる傾向がある。
現在のように,「例えば YAMADA Haruo のように姓をすべて大文字で書くなど」と「など」で幅を持たせることで十分だと思う。

○ 「YAMADA Haruo のように姓をすべて大文字で書くなど」とまで書かずに「姓名(YAMADA Haruoなど)の順とすることが望ましい」とするのが良いのではないか。

○ それはかえって拘束力が強いように感じられるのではないか。

○ 英字新聞で,中国や韓国の人名は大文字表記や「,」など特別な表示をせずに「姓-名」順で書かれている。
これは文化の違いが認識されているということである。
従来,日本人の姓名を「姓-名」順で表記している英字新聞もあり,その場合も特別な表示はしていない。
今回示す例は誤解を防ぐための移行措置であり,将来到達すべき形ではないのだから,幅を持たせて例示しておくのが良い。
誤解を防ぐための方法には,姓を大文字にすることと「,」を入れることがある。
念を入れるなら二者を重複させることもあろうが,その形(YAMADA, Haruo)までは示さなくてよいであろう。
今回は飽くまで移行措置である。
むしろ,我々日本人の意識を変えることが一番の問題である。

○ 具体的な文案として,「「姓-名」(Yamada Haruo)の順とすることが望ましい。
なお,従来の慣習に基づく誤解を防ぐために,例えば YAMADA Haruo や Yamada,Haruo と書くなどの方法で「姓-名」の構造を示すことも考えられよう。」とするのがいいのではないか。
---- 引用以上 ----

「個々人のコミュニケーション場面における使用を規制しようとしてない」とはいえ、「官公庁や報道機関,あるいは教育においてその趣旨が生かされることを希望している」という国語審議会の姿勢は、日本語の使い方に影響力のある団体を通し長い時間をかけて日本語姓名のローマ字表記記法をデファクト(「自主的」に)で『姓→名』にしたい、という意図が見え隠れする・・・。
というのはゲスの勘繰りか?


2011年4月16日追記:
この記法を実践した weblog の例。

http://ablog.tv-tokyo.co.jp/uedamoeko/
http://ablog.tv-tokyo.co.jp/konnoasami/

内容についてはノーコメントで(笑)


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