10/20(土)21(日)、「オセロー」さいたま公演前楽&千秋楽を観てきました。
帰ってきてから、なんだかずっと仕事が忙しくて、ずいぶんと時間が経ってしまったけれど・・・ やっぱり思いを書きとめておきたいと思います。
さいたま千秋楽は、なんだかまるで私にとっての大千秋楽。
地方公演はまだまだ続くのに・・・。
現に、私も2週間後にはまた洋さんイアゴーに会いに行くはずなのに・・・
もう自分でもびっくり・・・なくらいに、いろんな思いが去来して涙が止まらなかった。
オセローが、命絶えてしまったデズデモーナを抱きしめながら、「ああ、デズデモーナ! 死んでしまった・・・! 死んでしまった!・・・」と嘆き悲しむ姿。 最愛の、本当に天使のように清らかで、心から自分を愛してくれていた妻を、例え巧妙に騙されたとは言え、信じ切ることができず、自分の手で殺めてしまったオセロー。 あの鋼太郎さんの姿は、深く深く胸にせまってきて、涙が止まらなかった。
オセローの、これまでの苦難に満ち、壮絶だったであろう人生に思いを馳せたとき・・・ 哀しくて、やりきれなかった。 だって、肌の色が違うこと、人種が違うこと・・・ それを差別し、攻撃することは、その人そのものを、その存在を否定すること。 絶対にあってはいけないこと。
そんな、自分にはどうすることもできない現実や惨めな思いと、幼い頃から日々闘ってきたオセロー。それに屈することなく実力で今の地位と信頼を勝ち取ったオセロー。 その彼の、この最後・・・。 それが、彼が必死で闘ってきた理不尽なことの為に、彼の中に生まれてしまった「心の闇」につけ込まれた結果だなんて・・・。 オセローを責める気持ちにはなぜだか決してなれなかった。
鋼太郎さんのオセローは、本当に素敵でした!!
捕らえられた後のイアゴー。
彼は決して抗おうとはしなかったんだよね・・・
オセローが刺そうとしたときも、よけることはできたはず。でも、彼はよけることさえせず、そのまままっすぐにオセローを睨みつけながら、ただ刺されるままにした。 2度目にオセローが彼に襲いかかったときも、彼は決して逃げなかった。抵抗せず、でも、目はまっすぐにオセローを睨みつけ、彼に向かっていた。
それが不思議だったんだ・・・ なぜなんだろう・・・?
なぜ、イアゴーは全く抵抗することさえしなかったんだろう・・・?って。
最後、自ら死を選んだオセロー。
それに対して、この後の自分の人生には拷問による死しか待っていないことを知っていたのに、イアゴーは何の抵抗もしなかった。 もし、自分がイアゴーだったら・・・と考えたら、私は、拷問され苦しみ抜いた末に死ぬよりは、絶対にどんなことをしてでも自ら命を絶つと思うから・・・ だから、何の抵抗もせず、自ら命を絶つための一切の行動も起こさなかったイアゴーの心の内を知りたい・・・ と切に思うんだ。
イアゴーが最後に流した涙。
その意味が、今の私には少しわかるようで、でも、いざ言葉にしようと思うとまったくならなくて、つまり、まだまったくわからない・・・のだと思う。 オセローが自殺したとき、そこにいるすべての人の目がオセローとデズデモーナに注がれる中、彼だけは、決してそちらを見ようともしなかった。 ただ空(くう)を見つめたまま、目にいっぱいにためた涙を一筋・・・流していた。
彼の心の中にあったものはなんだったのか・・・
まだまだ自分の中で答えが出なくて、心がさまよっている。
子供のように身体を丸めるイアゴー。
自分に言って聞かせるように、自分のたくらみを声に出すイアゴー。
自らを奮い立たせ、心の底から憎しみを振り絞るように叫ぶイアゴー。
狂気に取り憑かれたように、でも、時に、まるで小さな子供のように心もとなげに、寂しげに、身体を歪ませて歩くイアゴー。
もしかしたら、イアゴーの心は、実は誰よりも繊細で傷つきやすく、まるで小さな子供のように、誰よりもただ愛されることを欲していたのかも知れない。 本当は、多くの人から深く愛されていたのに、それに気づくことができなかったのかも知れない。 なんだかそんなことも思った。
こんなにもイアゴーの心が知りたいと思い、いろいろ思いを巡らさずにはいられないのは、もちろん、大好きな高橋洋さんが演じているから、というのも大きな理由のひとつ。
洋さんが解釈したイアゴーが知りたい。
洋さんがどんな思いでイアゴーを生きているのかを知りたい。
ほんとは、できることなら洋さんの口からそれが聞きたいよ・・・。
もうひとつの理由は、目の前にいるイアゴーが、悪人であり、怪物であると同時に、あまりにも人間的だから。 極悪非道の悪人、心のない怪物・・・と思えば、その心を知りたい、なんて思わないと思う。 でも、目の前にいる洋さんイアゴーがあまりにも人間くさいから、知りたいと思うのだと思う。
カーテンコールでの洋さんの笑顔が、ものすごーーーく嬉しかった!!
涙、涙で、ちょっとどうしていいか分からなげな優ちゃん(その姿がまた儚げで、本当にかわいくて! いつもはほとんど洋さんしか見えていないカーテンコールで、彼女の姿は自然と目で追っていました。 蒼井優ちゃん、やっぱり大好きです!)に、優しく言って聞かせるように、蜷川さんを呼んでくるように言って、優しく背中を押す姿。 ずっと年下で、舞台経験も少ない優ちゃんを、あったかく包み込むような姿に、洋さんの優しさをいっぱい感じて、本当に嬉しかった。 そして、鋼太郎さんに肩をつかまれたときの、ちょっとくしゃっとした感じの笑顔。もう~ 胸がいっぱいになりました もう~ この人だから、こんなに好きなんだよ~ と思って、嬉しくてまた涙が・・・
今夜、洋さんイアゴーは富山に。
私も富山に思いを馳せつつ・・・ 来週末に迫った洋さんイアゴーとの再会?が嬉しくてたまりません 大千秋楽まで・・・ 洋さんイアゴーと共に駆け抜けます!