ファミリー メンタル クリニック

児童精神医学,サッカー,時にテレビや映画、Macのネタ。
要するにひとりごと・・・

ADHDとASDを同一カテゴリーにすると良い面もあるが・・・

2015年11月28日 | 児童精神医学
DSM IVでのルールを日本の精神科医は案外律儀に守ってきたようだ。

ADHDとASDの診断を併記することは、アメリカ精神医学会DSM IVでは禁止された。
だからかどうかは分からないが,PDD:広汎性発達障害(この診断名も何だかな~と思うが)の診断が増えた。
しかも、主診断でなく PDD NOS という本来は一番少ないだろうと思われるグループだ。
それは、強いて言えば 性別の分類で 男 女 その他 と選択する際 その他 が一番多くなると言う事だ。(ちょっと違うかもね)

要は,その他が一番多くなる 分類法は その方法論が問題だと思う。
が、そんなことを考えずに、統計上 当院での診断では・・・とPDD NOS が一番多いグラフを平気で出して来る人たちがいる。
どうも、矛盾を感じないようだ。

ADHDの症状も目立つが,コミュニケーションの問題もある場合 DSM IVではPDDと診断しないといけないというお約束なのだ.
併存はないというルールのため、PDDという診断名が増える.
自閉症は増えているのか,という議論の裏側で,こんな意味のないことが起きている。

しかし、小児科医はDSMは関係ないので,症例報告で 単純に ADHD PDD と二つの診断を併記する。

実際に臨床をしていると ADHDとASD症状が重なって出てくる児童が、案外多い。
(PDDという診断名は好きじゃないのでASDを使う、この場合アスペルガー症候群、自閉症スペクトラム障害 どちらで読んでも問題ない)
さらには LDの特徴も併せ持つため 診断は ADHD + ASD +LD となる。
しかし、診断名が3つもつくと 何も知らない素人の親御さんは とんでもない事態になったとビックリするかも知れない。

で、北欧にあるらしい概念のDMMP症候群を、保護者,教師、講義対象者に説明することになる。
10年ほどそんなことを続けていた。

が、DSM5になり、ADHDとASDの併存を認める立場になった。
と言うか、ASD ADHDは神経発達症候群という概念で、IVでは異なるカテゴリーだった、この2疾患を同一カテゴリーにした。

特別支援教育的には、この分類が分かりやすい。
これは5になったメリットだ。

しかし、話をDSM IVに戻すと また混乱する。
その診断分類では ADHD ODD CD はDisruptive Behavior Disorders が上位カテゴリーだった。
確かに ADHD児童がCD:「素行」障害に至る一群がいる。

小学校高学年で 受診を勧められた頃は,ADHDでなく ODD状態の子も少なくない。

と言うことは,ADHDとASDを同一カテゴリーにした場合、
ADHD→OD→CD になっていく一群のADHD児童について、どのような位置づけにするのだろうか?
ADHDとCDとは、もともと次元の違う症状群と見ていくような、知見が積み重なっているのだろうか?

ADHDに関して,このカテゴリーの変更は,これから 臨床や研究に大きな変化を及ぼすのではないだろうか、と嫌な予感がするのである。

相変わらず,言葉、考察足らず失礼。


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