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群発自殺を招いてないか! 「いじめ・自殺」の報道自粛を!  再掲

2006年11月10日 | 児童精神医学
群発地震という言葉は聞いたことがあるでしょう。また群発頭痛という症状もあります。群発自殺と言う言葉はきいたことがない人が多いでしょう。
日本ではアイドルの岡田有希子さんが自殺した際に「後追い」自殺をしたことが,その「群発自殺」の現象です。

福岡でいじめを苦に自殺した中学生の事件・事故が報道された。それから週にひとり以上の割合で中学生高校生が自殺している。方法も報道と同じく首つり自殺のようだ。
いじめられても苦しくても登校し,限界だったこどもたちが,テレビの報道で苦しいときは教師に相談し親に相談し・・・そちらの選択をせずに,自殺する側の選択肢を選んでいる危険性はないのだろうか?

諸外国では自殺報道については,群発自殺を招く危険性から詳細については報道自粛するなどルールがあるように聞く。
メディアとは言葉通りなにものかを媒介し伝達するものだ。
今メディアは何を伝達しているのだろう。
いじめは良くない。いじめを苦に自殺する者さえいるのだ!
だからいじめを止めなさい!と報道しているつもりなのだろう。
しかし,そんな論調ではない。
自殺を予防できなかった校長や担任,教育委員会を責めている。
苦悩にうちひしがれている両親へ,インタビューを連日報道している。

いじめられても何とか踏ん張って生きていた子どもたちに,「もうだめだ…自殺…」という選択もあるのだと,そんな情報が伝達されている危険性はないのだろうか。

恐らくテレビの報道と自殺者の因果関係は分からない。マスコミはそう釈明するだろう。
逆にいじめの真相を究明するのが報道の責任だというのだろう。
日本の倫理もくそもない放送局がいじめ・自殺の「真相究明」をするほど自殺者が増えている現実があるのも事実だ。

これだけ自殺する生徒が増えているのは,教育のせいだと操作されて報道するのも困る。しかし今のマスコミは群発自殺による自殺者を増やすことが仕事ではないだろう。

森田実氏がいつも指摘するようにマスコミは腐っているかもしれない。
しかし,子どもが自殺し,それが続いている一因に自分たちの報道スタンスに問題はないのかと局内から意見が出ないのだろうか?

アメリカ流のメディア操作だけを学んでいるのだろうか?
アメリカでさえ,この様な自殺報道は自粛しているはずだ。
CDCの勧告があるからだ。

群発自殺はCDC(アメリカの感染症や疫学の研究機関)で研究されている。
心理的な感染症で,伝染するというのがその理屈だ。
何故伝染するかそれはメディアが運ぶからだ。
先の繰り返しだが,メディアとは何ものかを伝達する媒体物という意味だ。
今メディアが運んでいるもの自体が,自殺する手段の情報であり,それが引き金となり群発自殺を引き起こしている危険性がある。

亡くなった方やその家族の無念さ,残念さ,やり場のなさは,想像を絶するものだろう。しかし,マスコミは報道により群発自殺の新たな被害者を産んでいる危険性を反省すべきだ。

教育基本法をなしくずしに改正したい現内閣の思惑はこの際置いて,官邸は緊急に群発自殺の危険性があるからマスコミの報道を自粛するよう,マスコミと会議を持つべきだろう。
これは報道規制ではない。自殺者をこれ以上増やさないための緊急的な措置だ。勘違いしないで欲しい。我々,自殺した児童と無関係な人間がワイドショー的なのぞき見主義で,群発自殺の危険性を増大させてはならない。

視聴率が取れるからとワイドショー的な報道が露出するだけ自殺者が増える危険性が増す。
マスコミは生徒の自殺が飛び火する危険性を考慮し,いじめ自殺報道を自粛すべきだ。

追記)
文部科学大臣宛に、自殺予告の手紙が送られてきたことを報道した。
その時点自分のblogで警告したかったことの、派生的な事柄が起きていると思った。だから言ったじゃないの…とボクが言っても仕方ない。
自殺予告手紙は実際には判断が難しい。
匿名の自殺予告など相次ぐ=いじめと無関係の手紙も-文部科学省

 いじめ自殺を予告する手紙が文部科学省に相次いで届いた問題で、同省は10日、触発されたとみられる手紙がさらに5通届いたと発表した。うち1通は、いじめが原因とは考えにくい悩みを打ち明ける手紙だったという。
 これに関連し、伊吹文明文部科学相は同日の衆院教育基本法特別委員会で「本当に困っている人は相談してほしいが、混乱させるような手紙は慎んでほしい」と述べた。 
(時事通信) - 11月10日17時1分更新


結局マスコミが面白おかしく報道する結果こんなことが起きているのだ。
次に狙われるのはマスコミ本体だろう。テレビ局新聞社宛に届くのも時間の問題だろう。
まあ政府やテレビ局がヤラセで手紙を送ることは、いくらなんでもないだろうけど。

追記の追記
「17日に死ぬ」学校に予告手紙 自殺の17歳少女か
2006年11月10日22時21分
 校内で9日夜に卒業生の少女(17)が倒れて亡くなっているのが見つかった北九州市小倉北区の南小倉中学校で10日、いじめを苦に校内で自殺すると予告する手紙が届いた。小倉北署は少女が飛び降り自殺したと断定。市教委は少女が書いた手紙の可能性もあるとみているが、自殺の日付が「17日」と記されていることなどから、同校の全生徒を対象にいじめに関する緊急アンケートを実施。「命を絶たないで」と呼びかけた。

 市教委によると、手紙は10日午前に届いた。赤や青などのしま模様の封筒に「私は今イジメにあっています。つらくて苦しくてたまりません。いつ死のうか考えたけっか11月17日に死のうと思います。学校で自殺します。気づいてくれない先生がにくい」などと書かれた便箋(びんせん)1枚が入っていた。消印は北九州中央郵便局の9日付だった。

 自殺した少女は05年3月に同校を卒業し、現在は無職。自宅から同じ種類の封筒や便箋、切手が見つかっており、家族は「筆跡が似ている」と話しているという。同校が市教委に報告した校内でのいじめは、03年の1件が最後だが、いじめられたのは少女ではないという。


これはまさしく手紙予告も含め、群発自殺といわれても仕方のないこと。
マスコミの責任を指揮者も追及しないのだろうか?
この国のマスコミはどうなっているのだろう。
これ以上何人犠牲者を出せば目が覚めるのだろう!

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20 Comments

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いじめの具体的な内容 (kaetzchen)
2006-11-02 10:16:24
を報道する一部週刊誌がありますけど,これなんかは白ポスト行きですね。かえって陰湿ないじめを助長させる。

大人が率先して,倫理的に問題がある文書を子供に見せない晒さない,という態度を見せない限り,いじめや自殺の連鎖は続いていくのではないかと思います。

先日,静岡駅の若い職員が通過中ののぞみに飛び込んで自殺しましたけど,連結器が吹っ飛んだ写真を掲載したのはやりすぎだ。あれでは自殺した職員が人間の形をしてないことがすぐに分かる。

そもそも,NHKを中心とした報道のほとんどがダイヤの乱れと正常化ばかりに集中していて,なぜ若い職員が自殺に追い込まれたかという話は一切出ず,駅長が謝っておしまいになった。「自殺の内容」よりも「自殺に到るまでの過程」が大切だと思うのですけど,JR東海もやはりJR西日本同様,効率性しか頭にないのでしょう。これが「民営化」のもたらした悲劇です。
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Unknown (SORA36)
2006-11-02 11:55:38
テレビを観れません。娘がフラッシュバックを起こしそうで不安です。今、ぎりぎりの所にいる子も心配ですが、自殺できず不登校になった子供は、自分が学校へいけず苦しんでいる間も、いじめた子供達は、楽しそうに生活している・という現実の中にいます。自殺の道ばかり伝える事はやめてほしい。
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Unknown (美爾依)
2006-11-02 12:35:24
そういえば、カナダでは実際にはあるのかもしれませんが、児童の自殺の報道はほとんどありません。日本のマスコミの報道は、本当に自殺を助長していると言われてもしょうがないですね。
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コメントどうも (なかまた)
2006-11-02 12:47:50
現在の一見教育の荒廃をアピールするかの報道は,どうも本当に子どもたちのことを考えてくれているようではありません。
テレビ局の政策サイドの子どもが,見るに堪えうる番組でしょうか?
カナダでもきっと報道のルールがあり,群発自殺を広めないようなメディア対策があるのでしょう。

いじめられたら学校に行かなくても良いと,テレビでは簡単に言うけど,子どもたちは学校に行きたいのです。行けるような手だてを考えるべきでしょう。
日本はどうも被害者への手当が後手後手になっているように思われます。
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(美爾依)さんの過去logです (なかまた)
2006-11-02 16:58:09
皆にコピペで広めてくださいというblogです。
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本当の意味の「被害者救済」とは (kaetzchen)
2006-11-02 17:18:38
なかまたさんの「日本はどうも被害者への手当が後手後手になっているように思われます。」という言葉は,学生時代に相談に乗ってもらった臨床心理士の先生(来年私大を定年退職だそうです)からのメールにもありました。

毎日,学校へ行けない子供たちと遊んでいて,こんなに純真で可愛い子供たちが学校へ行けない,行くとまたいじめられて大学へ戻ってくる。そしてビョーキではないかと親にまでレッテルを貼られてしまい,病院へ連れて行かれたりする。皆んな目先のことばかり考えて,子供たちが無言で訴えていることに耳をすますべきじゃないか,と先生は語っていました。
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お借りしました (ましま)
2006-11-02 17:22:33
 わが委員会から遠いかも、と思ってこれまでとりあげませんでしたが、「群発」に「触発」され一部を引用させていただき記事にしました。TBします。あしからずご了承下さい。
 なんの足しにもなりませんが、書いた後でやはりこれは「反弱肉強食」だな、と思いました。
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TB不成功 (ましま)
2006-11-02 17:37:19

すみません。TBが言うことをききません。ごめんなさい。

http://masima-ik.mo-blog.jp/rhi/2006/11/post_61cf.html
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「被害者救済」 (なかまた)
2006-11-02 17:46:53
これは虐待でも同じ構造ですね。親が虐待をしているにもかかわらず、子どもは親元から離され、所属する学校へ通うことも出来なくなるのです。何か変な話ですが。

大人の犯罪と少し異なるところがあり、いじめる側の生徒が自尊心が低いことや、一緒に傍観者となっている周囲の生徒への指導など、報道が・教育者が・コメンテーターが発言すべきことは本来もっとあるはずです。
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ましま様どうも (なかまた)
2006-11-02 17:53:23
こちらからはTBが送ることは出来ているようですね。
gooとの相性が悪くTBが遅れない場合があるようです。

拙blogからわざわざ引用してくださりありがとうございました。
教育基本法を改正するのなら、ちゃんとした論議をして欲しいモノです。これだけの死者を出して議論するモノだろうかといたたまれない気持ちになります。
時代にそぐわないとかそんな曖昧な言葉で、基本法をいくつも変えていくというのは論理の破綻だと思います。

今回のいじめ自殺問題についてマスコミは群発自殺という観点から報道自粛を検討すべきですね。
教育基本法と絡めて報道するにしては結末が悲劇的すぎて耐えられません。
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