Blog FakeTK

某ヘタレ社会学者のブログです。本と音楽に映画の情報、日々のニュースや日常生活のできごとについてお伝えします。

ひきこもりの国

2018年11月14日 22時06分59秒 | 
マイケル・ジーレンジガー (河野純治訳),2007,『ひきこもりの国』光文社.(11.14.2018)

 文字どおりの「ひきこもり」の事例紹介にはじまり、議論は比較文化の次元に発展し、日本社会自体が世界の「ひきこもり」であることを実例をとおして明らかにする。
 分析はときに鋭く、的を得た指摘も多いが、事実誤認も散見される。とくに、韓国社会の民度が日本社会より高いかのような記述は、噴飯ものだ。2002年ワールドカップサッカー大会における、韓国人の露骨な他民族への差別、侮蔑行為について、ジーレンジガーはなにも知らないのだろうか。

目次
自分の奥深くに突き刺さった矢
絶対孤独感
長いトンネル
表の人格と裏の自己
日本の三変人
漂流する日本社会
精神の「鉄の三角形」
ブランド崇拝
子宮のストライキ
結婚できない男たち
命綱からの転落
日本を乗り越えた韓国の改革
新たな価値体系を生み出した韓国
ひきこもりの国と面倒見のいいおじさんの国
一筋の光

100万人の若者を自閉させるこの国の悲劇。衝撃の分析!日本の「風邪」が治らない本当の理由。
コメント

不登校の解法

2018年11月14日 22時06分05秒 | 
団士郎,2000,『不登校の解法──家族のシステムとは何か』文藝春秋.(11.14.2018)

 もはや、「不登校」を「問題行動」として捉えるべき時代ではないが、システム論的家族療法について、具体例にもとづきこれほどわかりやすく解説した本はほかにない。一読して、家族問題は、いったん「問題」を「家族」の外部に放り出し、家族内部の関係性に精神科医、カウンセラー、ソーシャルワーカー等が介入することで解決することが望ましいことがよくわかる。

目次
決定
反応
人と人との境界
父親さまざま
母親の不安、妻の不満
夫婦で両親
ストレス
健全と不健全
ペット
空き椅子ほか

あなたは“犯人探し”をしようとしていませんか?不登校、過食・拒食症、家庭内暴力など、子どもの問題行動を解決するのに、問題を作った犯人を突き止めてみても始まらない。家族をシステムとして捉え、そのシステムをちょっと変えてやれば…。わが国の児童相談機関における家族療法のパイオニアが、数々の事例にそって導く解決策は因果論のくびきを脱して、まさしく目からウロコの世界。
コメント

これほどまでに不登校・ひきこもりを生み出す社会とは何なのか?

2018年11月14日 22時04分33秒 | 
中原恵人・伊藤哲司,2008,『これほどまでに不登校・ひきこもりを生み出す社会とは何なのか? 』北大路書房.(11.14.2018)

 10年も前に出た本だが、ブックレットなのでさくっと読める。
 「いじめ」を耐えるより「不登校」になった方が幸せだ。「不登校」でも、社会で生き抜いていけるだけの基礎学力、コミュニケーションスキル、社会規範等を身につけることができるよう、地域社会でしっかりサポートしていけばよい。「ひきこもり」は、同居する家族が家を追い出し一人で生きていかせればよい。ひきこもりが成人になっても親の責任を云々問うほうがおかしい。

目次
不登校・ひきこもり問題の構造とそれを捉える三つの視点
「社会」から捉える不登校・ひきこもり問題
「親」から捉える不登校・ひきこもり問題
「当事者」から捉える不登校・ひきこもり問題
「支援団体・関係機関」から捉える不登校・ひきこもり問題
コメント

ネットと愛国

2018年10月26日 22時19分12秒 | 
安田浩一 ,2012,『ネットと愛国──在特会の「闇」を追いかけて』講談社.(10.26.201)

 かつてオウム真理教信者を取材した森達也のドキュメンテーションを彷彿とさせる秀作。
 在特会の過激なデモ活動においては、(全共闘運動とも通底する)祝祭的な連帯空間の高揚、参加者間での承認欲求の深い充足等があり、在日韓国・朝鮮人等を口汚く罵倒する者たちの言動に垣間見れるのは、寂寥感、焦燥感、相対的剥奪感、そして激しい被害者感情である。
 そうした在特会のメンバーに、半ば共感し、半ば冷たく突き放す、取材対象者への歩み寄りと離反とを繰り返す、絶妙な距離のとり方こそが、こうした優れたドキュメンテーションに結実する。
 怖ろしいのは、在特会に共鳴する無数のサイレントマジョリティの存在である。一見善良な普通の隣人たちが、消極的にであれ、第二次安倍政権を支持しているのも必然の理なのだろう。

目次
プロローグ
1 在特会の誕生
2 会員の素顔と本音
3 犯罪というパフォーマンス
4 「反在日」組織のルーツ
5 「在日特権」の正体
6 離反する大人たち
7 リーダーの豹変と虚実
8 広がる標的
9 在特会に加わる理由
エピローグ

「弱者のフリした在日朝鮮人が特権を享受し、日本人を苦しめている」。そんな主張をふりかざし、集団街宣やインターネットを駆使して在日コリアンへの誹謗中傷を繰り返す“自称”市民保守団体。現代日本が抱える新たなタブー集団に体当たりで切り込んだ鮮烈なノンフィクション。「ヘイトスピーチ」なる言葉を世に広め、問題を可視化させた、時代を映し、時代を変えた一冊。講談社ノンフィクション賞受賞作。
コメント

【旧作】ふれあいのネットワーク【斜め読み】

2018年10月24日 19時12分44秒 | 
大山博・須藤春夫編著,1997,『ふれあいのネットワーク──メディアと結び合う高齢者』日本放送出版協会.(10.24.2018)

 「社会福祉とメディア」を論じるには無理がある章も散見される。「ボランタリーアソシエーションと社会的ネットワーク」、「高齢者とマスメディア」、「マスメディアによる社会福祉への関心の喚起」、この三点に章を仕分けして構成していたら、もっと良い本になっていただろう。一言、三点目について、かつて社会福祉の現場を取材した優れた映像記録を多数制作していたNHKが、自らの社会的使命を投げ出し、視聴率が稼げるバラエティ番組ばかり放映するようになったのは、かえすがえすも残念である。わが国における社会福祉の後退については、NHKにも責任の一端がある。

目次
序章 高齢化社会のメディア・ネットワーク
第1章 市民大学がインタラクティブなメディアとなる
第2章 ボランティアはコミュニケーション・ケア
第3章 メディアと口コミがつくる福止ネットワーク
第4章 コミュニケーション空間に集う人々―高齢化社会とニューメディア
第5章 メディアとどう付き合うか―高齢者とメディア・リテラシー
第6章 マスメディアと福祉をどう結び付けるか―新聞・ラジオ・テレビ・雑誌
第7章 メディアの受け手が変わる―データで見る高齢者の生活
第8章 英国のメディア・プロジェクトの試み―先進的なメディア・ネットワークの果たした役割
付章 メディアの送り手はどう考えているのか―栃木県社会福祉協議会主催「報道関係懇談会」参加者からの調査を通じて

メディアは社会とつながりあう広場。ボランティア、老人大学からマスメディアまで、多様なコミュニケーションを双方向に使いこなすことで、隔絶されがちな高齢者を社会とのつながりのなかに取り込む、意欲的な試み。
コメント

ウェブ社会の思想

2018年10月19日 21時47分55秒 | 
鈴木謙介,,2007『ウェブ社会の思想 ──〈遍在する私〉をどう生きるか』日本放送出版協会.(10.19.2018)

 ウェブの閲覧履歴、ネットショッピングの履歴、スマートフォンのGPS機能による移動記録等々、わたしたちのプライバシーなど、各種ネットビジネスを展開する企業には筒抜けである。だからといって、そのことが、ネットに「遍在する私」というコンセプトにつながる、その論拠が不明である。また、ビッグデータに蓄積された「わたし」の生がなぜ「宿命」的なものになるのかも、これまた論拠不明である。
 このような論理の飛躍がありながらも、随所に読ませどころがあり、個々の議論はとてもおもしろい。「部分」を論じる力量はすばらしい。しかし、著者の鈴木さんは、「部分」と「全体」をつなげるのが、どうも苦手のようだ。

目次
ウェブ社会の「思想」と「宿命」
1 「人間」―宿命に彩られる生
ユビキタス―個人情報管理型の社会
バーチャル―越境する電子マネー
記憶と記録―データ化される「わたし」
宿命と成長(1)―島宇宙の外を生きられるか
2 「社会」―民主主義の困難を超えて
共同性とマスメディア―「偏向報道」批判の背景
民主主義―グーグルが描く未来像
宿命と成長(2)―関係へと開かれる生

「ユビキタス」「ウェブ2・0」「ネットビジネス」…華々しい流行語の陰で何が起きているのか。蓄積された個人情報をもとに、各人の選ぶべき未来が宿命的に提示される。カスタマイズされた情報が氾濫する中で、人は自らの狭い関心に篭もり、他者との連帯も潰えていく。共同性なき未来に、民主主義はどのような形で可能なのか。情報社会の生のゆくえに鋭く迫り、宿命に彩られた時代の希望を探る、著者渾身の一冊。
コメント

図説 日本のメディア

2018年10月07日 20時17分10秒 | 
藤竹暁編著,,2012『図説 日本のメディア』NHK出版.(10.7.2018)

 『図説 日本のマス・コミュニケーション』(1980)、『図説 日本のマスメディア』(2000)、そして本書、『図説 日本のメディア』へと、情報環境の変容にともない、この日本でもっとも信頼できる「情報社会白書」は、30年以上にわたって、タイトルを変えながら刊行され続けてきた。いまでも、メディア研究の基本図書としての重要性を保ち続けている。淡々とデータにもとづき事実を記述しているだけなので、おもしろみには多少欠けるが、やはり読んでおくべき一冊だろう。

目次
第1部 情報の組織的伝達と拡散
新聞
放送
出版
映像・音楽
インターネット
広告
第2部 情報の取得・利用・発信・交換・共有
情報の取得・利用
情報の発信・交換・共有

インターネットの普及でマスメディア業界は一変した。新聞記事が無料で読まれ、テレビ番組がYouTubeに上げられ、情報誌は廃刊し、マス広告はターゲットを見失う。マスメディアの“衰退”はどう進んでいるのか?あらゆる局面で従来の「送り手/受け手」構図を変えつつあるソーシャルメディアの強みと弱みは何か?データにこだわり続けてきた定番のハンドブックが内容を一新し、戦後からのメディア状況の変遷をふまえながら、変動著しい現状を冷静に分析して将来を展望する。
コメント

弱いつながり 検索ワードを探す旅

2018年09月30日 14時16分48秒 | 
東浩紀,2014,『弱いつながり 検索ワードを探す旅』幻冬舎.(9.30.2018)

 観光・旅行での実物(モノ)との出会い、そこでの発見にもとづく新たな検索ワードとそれによるさらなる探索と、弱いつながりの構築、偶然性の高い経験の積み重ねが、よりゆたかな経験世界の拡大へとつながる。抽象的な観念を、平易な言葉で具体例をまじえながら説く。奇妙なリアルさが感じられる佳作。

目次
0 はじめに―強いネツトと弱いリアル
1 旅に出る―台湾/インド
2 観光客になる―福島
3 モノに触れる―アウシュヴィッツ
4 欲望を作る―チェルノブイリ
5 憐れみを感じる―韓国
6 コピーを怖れない―バンコク
7 老いに抵抗する―東京
8 ボーナストラック―観光客の五つの心得
9 おわりに―旅とイメージ

統制されたネット時代に「かけがえのない生き方」はいかに可能か?著者初の挑発的人生論。
コメント

【旧作】モラトリアム社会のナルシスたち【斜め読み】

2018年09月30日 10時21分55秒 | 
小此木啓吾,1984,『モラトリアム社会のナルシスたち』朝日出版社.(9.30.2018)

 アイデンティティ人間と自己愛人間、モラトリアム人間、ネットワーク家族、阿闍世コンプレックス等、現代でも通用する概念を駆使した議論が展開されている。小此木啓吾さんのコンセプトを考案する力量にあらためて感心した。このような本が絶版のままなのは惜しい。文庫版での再版を望みたい。
コメント

【旧作】嗜癖する人間関係【斜め読み】

2018年09月21日 23時06分21秒 | 
アン・ウィルソン シェフ(高畠克子訳),1999,『嗜癖する人間関係──親密になるのが怖い』誠信書房.(9.21.2018)

 嗜癖は厄介な病である。
 煙草や酒などの刺激物質、ギャンブルや労働、性行為等、そして幻想や特定の人間関係へ、心身の健康をそこなうほどに依存することが嗜癖であるが、ほどほどの特定の刺激への依存は誰にでもあることだから、自傷性と他害性および生活の破綻がない限り、それを「病」として認定するのは難しい。
 本書で詳しく紹介されている、性行為、ロマンス幻想、特定の人間関係への過度の執着から逃れようとする当事者たちによるセルフヘルプグループの活動内容も興味深かった。当事者たちは、自らの無力を自覚し、神ないし人間を超越した存在に帰依して、そうした絶対的存在に見守れらながら、自らの価値観念や行為を改めようとする。宗教と自己啓発セミナー、そしてセルフヘルプグループの活動内容は類似している。
 絶対唯一の神を伝統的にはもたなかった日本人には、仏教に根ざしたセルフヘルプグループがもっとも効果的なのかもしれないが、あらためて仏教徒としての力量を、嗜癖で苦しむ当事者たちの煩悩を解き放つことで発揮しようとする僧侶が少ないことが、かえすがえすも残念である。

目次
第1章 性的嗜癖
第2章 ロマンス嗜癖
第3章 人間関係嗜癖
第4章 親密さからの逃走
第5章 嗜癖的人間関係
第6章 親密さと健全な人間関係
第7章 回復

親密になることとは、むさぼりつくす人間関係でも、吸い尽くされる人間関係でもありません。自分の感情や欲求に正直になるには、どうしたらよいでしょうか?本書は、偽りの人間関係を演じることからの回復をめざす。
コメント

【旧作】グーテンベルク銀河系の終焉【斜め読み】

2018年09月19日 23時27分14秒 | 
ノルベルト ボルツ(識名章喜・足立典子訳),1999,『グーテンベルク銀河系の終焉──新しいコミュニケーションのすがた』法政大学出版局.(9.19.2018)

 自らの主観的理念のために、恣意的なイデオロギーを社会学理論に偽装したハーバマスを批判するのは良い。良いが、議論が理路整然としておらず、読んでいてイライラする。それから、なんだ、てめえもルーマンのイデオロギーを恣意的に流用してるだけやんと思うところもちらほら。電子コミュニケーションの本格的夜明け前に書かれた制約はあるものの、そもそも、ハーバマス批判、抽象的なルーマン理論の継承を経て、マルチメディアを論じるなんて、そりゃ、みごとにアクロバティックな議論を展開できているならそれは素晴らしいと思うのだが、本作に限っては構想倒れの失敗作だな。

目次
第1章 概論
第2章 脱魔術化
第3章 インターフェース
第4章 メディア美学
第5章 知のデザイン

本書の考察は現在を代表する最も進んだコミュニケーション理論、ルーマンの理論に多面的に接近を図り、またライプニッツの単子論からアドルノの美の理論に至る概念の流れを辿りながら論点の前史を輪郭づける。そのうえで様々な理論を束ねる新たなコミュニケーション理論の根本概念を提案してみる。そこではハーバーマスの理論と対決することになるだろう。
コメント

インターネットの銀河系

2018年09月13日 20時02分27秒 | 
マニュエル・カステル( 矢澤修次郎・小山花子訳),2009,『インターネットの銀河系──ネット時代のビジネスと社会』.東信堂(9.13.2018)

 カステルといえば、その博識を大部の著作にまとめあげるタイプの社会学者だが、本書に限っていえば、問題意識が希薄で、正直、なにを言いたいのか、あまりよくわからなかった。キャス・サンスティーンやデヴィッド ハーヴェイの著作と比べると、物足りないことこのうえない。いくらマルクス主義から距離をおくようになったとはいえ、ニューエコノミーやグローバリゼーションへの批判的視点があまりに希薄であり、現状を追認するだけであれば、こんな本を書くまでもないだろう。耄碌したのか。

目次
ネットワークはメッセージである
インターネットの歴史から見えること
インターネットの文化
eビジネスとニューエコノミー
バーチャル・コミュニティとネットワーク社会
インターネットと政治1―コンピューター・ネットワーク、市民社会、国家
インターネットの政治2―サイバースペースにおけるプライバシーと自由
マルチメディアとインターネット―収斂の先にあるハイパーテキストとは
インターネットの地理―ネットワークされる場所
グローバルなデジタル・デバイド
結論 ネットワーク社会の挑戦

インターネットは、まさにグーテンベルクに始まる印刷術の普及に匹敵する、人類史上における「もう一つの銀河系」に成長しつつある。我々はその優れた柔軟性と適応力を生かし、個人と外部世界との新たな結合を発展させつつ、情報の氾濫と悪用がもたらす乱気流への失墜を避けることができるか。「技術は社会的実践によって変化する」との確信の下、その草創、現在、将来にわたり、独自の視力でITの全域を俯瞰した名著、待望の翻訳。
コメント

#リパブリック

2018年09月08日 19時18分59秒 | 
Sunstein,Cass R.,2017,#Republic: Divided Democracy in the Age of Social Media,Princeton University Press.(=2018,伊達尚美訳,『#リパブリック: インターネットは民主主義になにをもたらすのか』勁草書房.)

 ウェブサーバー上のアルゴリズムにより、つねに自らの興味・関心、価値観、政治信条等に最適な情報を提示される「デイリー・ミー」、興味・関心、価値観、政治信条等を同じくする者どうしで、同様の意見を交換し合うことで生まれる「エコー・チェンバー」現象、そして多数派となった者の過激な意見が滝のようになって少数者の意見を流してしまう「サイバーカスケード」等々、キャス・サンスティーンのユニークな構成概念は、ブレグジット(イギリスのEU離脱)、ドナルド・トランプのアメリカ大統領就任、テロリズムの横行等を、みごとに説明してくれる。
 文体が入り組んで読みにくいのを割り引いても、読むに値する本だと思う。

目次
デイリー・ミー
類推と理念
分極化
サイバーカスケード
社会の接着剤と情報の拡散
市民
規制とは何か?
言論の自由
提案
テロリズム・ドットコムほか

SNSの浸透により危機に瀕する民主主義。正しく熟議を確保する方策とは?豊富な実証研究と憲法解釈から導き出される市民の基礎教養。
コメント

【旧作】2ちゃんねる宣言【斜め読み】

2018年09月03日 22時11分55秒 | 
井上トシユキ・神宮前.org ,2001,『2ちゃんねる宣言──挑発するメディア』文藝春秋.(9.3.2018)

 2ちゃんあらため5ちゃんは、いまなお健在である。
 わたしは、ニュー速のまとめサイトで新聞やネットニュースに載らない事件や話題を確認し、災害や大事件発生時に現場にいる人のナマの書き込みを読んだり、あるいは気になる工業製品についての評価を読むこともある。ただし、これらのことは、フェイスブック、ユーチューブ、価格ドットコム等でもできることであり、世界でも稀有の巨大掲示板の利用価値はすっかり低下してしまった。
 とはいえ、現在でも膨大な利用者を擁する掲示板である。その設立の経緯と2000年代初期までの2ちゃんをめぐる動向を振り返るのは、けっこうおもしろかった。

目次
第1章 ネット上に巣食うカキコミュニティ―インターネット掲示板「2ちゃんねる」ってなんなのよ?
第2章 「2ちゃんねる」前史―彼らはどこからやってきたのか?
第3章 ひろゆき@管理人って、どうよ?―「便所の落書き」管理人、八万字インタビュー
第4章 不機嫌なコンテンツが革命を起こす―匿名は本当に無責任なのか?
第5章 事件とネット時代のメディアリテラシー―電子コミュニティ生成のプロセス
第6章 インターネットはモナーの夢を見るか?―モナー、その愛される理由
第7章 「2ちゃんねる」、閉鎖!―そのとき、何が起こっていたのか?
第8章 「2ちゃんねる」売ります!―夏休みの思い出
第9章 ひろゆきに聞いてみよう!―対談 田原総一朗・糸井重里・山形浩生・宮台真司
コメント

セックスと超高齢社会

2018年08月31日 17時21分57秒 | 
坂爪真吾,2017,『セックスと超高齢社会──「老後の性」と向き合う』NHK出版.(8.31.2018)

 筆者は、重度男性身障者への射精介助サービスを行う団体の代表。むかし、月刊誌の某特養のルポにて、入居者の女性が男性相手に売春しているケースが紹介されており、びっくりしたおぼえがあるが、性欲をもてあました利用者がケアワーカーやホームヘルパーへにセクハラをはたらく等、高齢者のセクシュアリティの問題はときには第三者をも巻き込む厄介なものである。
 「生涯現役」を謳う週刊誌の記事に煽られ、バイアグラ等を飲んでデリヘル嬢を呼ぶじじいは哀れであるが、女性はともかく、男性は死ぬまで精液の生産が続く悲しい生き物である。自分で抜くことで凌げないのであれば、カネ払って抜いてもらうしかないだろう。北欧に定着しているような、セックスボランティアによる射精介助など、不要である。老いた身体の管理くらい、自分でやれ、と思う。セクハラじじいは介護保険の適用を除外すればよい。

目次
第1章 「現在」と「過去」から考える
「死ぬまでセックス」という幻想
高齢者の性の社会史
第2章 老後の性をめぐる「理想」と「現実」
「老後における理想の性生活」とは?
データから見る高齢者の性のリアル
「ありもしない救済」からの卒業
第3章 「セーフティネット」は存在するか?
肉食系高齢者のストイックな生活
「高齢者専門風俗店」の実像に迫る
移り変わるアダルトビデオの世界
現実と虚構の狭間で輝く官能小説
女性高齢者の性から考える「第三の道」
第4章 介護現場での性的支援・最前線
希望としてのユマニチュード
QOLを守るための性的支援とは?
介護現場でのセクハラの実態
「人間らしさ」をあきらめないために
第5章 老後の性をデザインする
老後の性を満ち足りたものにする条件とは?
等身体のロールモデルをつくり出せ

単身高齢者約600万人のうち、初婚・再婚するのは0.001%。また配偶者がいたとしても、75歳になれば男性の2割、女性の6割は離別・死別を経験する。その時、私たちは残された自らの「性」とどう向き合えばいいのか。シニア婚活の実態、介護現場の問題行動、高齢者向け性産業など…、長寿大国と言われつつもほとんど光が当たってこなかった「超高齢時代の性」の問題に個人・社会の両面から挑んだ一冊。
コメント