戦後に植えて育てられた木が本格的に利用される林齢になってきました。
利用のため木を伐採した跡の森林再生は必須です。
スギ、ヒノキなどの人工林伐採跡地の再生(再造林)には苗木が必要となりますが、苗木の確保と、育苗技術の継承などが課題となっています。
このため、林業普及員を対象に、育苗技術の指導に必要な、播種作業や挿し付け作業の基本的な知識・技術の習得を目的に、4月15日に松江市宍道町の県緑化センターで研修会を開催しました。
研修の様子等を写真で紹介します。
開会 (講師は緑化センタースタッフ)
午前中は播種作業です。これは準備したヒノキの種。
約1昼夜冷水に浸し、シーツの上に広げ、播き付けに支障の無い程度に陰干しします。
消毒薬をまぶします。(少し白っぽくなります)
土壌消毒した播種床を丁寧にならします。
均したあとはローラーで適度に締め固めます(歩いて沈まない程度)。
砂でくぼみを補修し、播種床の完成です。
明け方の風のない時に、まんべんなく播きます。
覆砂した後は半切りのワラ(消毒済)で覆います。元口を手前に並べ、後で抜きやすくします。
しっかり散水します。散水頻度は畑の状況に応じて行います。
最後に日覆いをかけて播種作業の終了です。
5月には芽が出そろいますが、その後も手は抜けません。
散水、除草、日覆いの再設置、覆ワラ除去、病害虫防除、追肥、間引き、根切り、床替えと作業は続きます。
優良山行苗の生産には、優良な幼苗生産にかかっているといっても過言ではありません。
床替え後に挽回すればよいというものではありません(講師談)。
午後からは挿し木作業です。
穂木は少花粉スギの品種から採取しました。
ますは荒穂を採取します。徒長枝は不適です。樹幹の中ほどの良く充実しているものを選びます。
良さそうな荒穂を選びます(これがなかなか難しい)。
採取した荒穂はこもで運びます。
持ちかえった荒穂から、根切りばさみを使って穂木づくりです。
芯を見極め、通常サイズは芯から22~23cmの長さで、元は楕円形切り返しでカットし、下から3分の1の葉を除去し、併せて全体の葉のバランスを整えます。
ミニ穂は17cm(2年で山行きさせるための最低限の長さ)、マイクロ穂になると8cmとなります。
マイクロにするとたくさん穂木が作れますが、その分山行きまでの期間が長くなります。
発根促進剤を塗布します。
挿し床に、下2分の1程度を挿します。あまり寝かせないように。
今回は15本を20cm間隔で行いました。
しっかり土を押さえて穂木と密着させます。
最後にスプリンクラーを設置します。
散水して作業終了です。
最後に各種農薬の解説もありました。
「育苗」は、育苗ごよみやテキストどおりにはいきません。
畑や苗の状況を常に観察して、その状況に応じた対応が大切です。(講師談)
育苗研修は今後2回、3回目を予定しています。
今注目のコンテナ苗の研修も予定しています。
スギのコンテナ苗