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日本人として日々の暮らしの中で思うこと、知りたかったこと

復活する米国、没落する中国①

2019-03-10 14:11:52 | China
2018/7/13(金) 午後 3:24

米国は第二次大戦後の世界において古い慣習にとらわれない世界のルール作りや自由主義国家の価値観などを世界で牽引してきた唯一の国家(スーパーパワー)でした。


米国の力の源泉は技術発展や資本の発展における柔軟性で、技術発展によって資本や労働を変え、「人々の生活水準の向上に結び付く仕組み」を主導してつくってきたといわれています。


それに対抗して「一帯一路」「海のシルクロード」「AIIB」など様々な「中華主義的」グルーバル戦略や機関をつくり、米国に対抗して取って代わる新しい軸を作ろうと台頭してきたのが中国。(どれも看板倒れのようですが)



今年に入り、3月23日に米国がWTOに中国の知的財産権侵害を提訴したことなど、米中の貿易戦争が火蓋を切りました。


中国企業は他国の企業買収によって相手企業の技術を一気に獲得するという手法を用い、しかも中国企業や中国に在籍する企業は外資も含めて、中国共産党組織を企業内に設置することなどが義務づけられています。


そのため、私企業であっても技術情報などは中国共産党に握られてしまうのみならず、中国へ進出する外国企業のうち、自動車や船舶、送電網建設など一部の製造業では中国側との合弁企業がづけられ、その際パートナー企業から、合弁企業をつくらないと運営できないという弱みに付け込んで技術開示を強いられることが多く、米国はこれまで14年間連続で知財保護の「優先監視国」に中国を指定してきました。


今年の4月に米国政府は中国の通信機器大手中興訊(ZTE)が北朝鮮やイランに不法に製品を輸出し、虚偽の説明を米国側にしていたとして、米国企業に対しZTEとの取引を7年間禁止にすると発表。ZTE製品を米国国内での販売停止処分にしました。


これによりZTEへの部品供給が止まり、ZTEは中国でのスマートフォンの販売が事実上停止に追い込まれました。この影響はZTEの世界各国での販売にも影響が出始めるものと予想されていましたが、先日ZTEは米商務省とのエクスクロー契約を締結し、4億ドルの預託金を預けることで米国企業からの部品購入が可能となったようですが、ZTEが再び問題を起こせばこの預託金は全て没収されるそうです。その他罰金10億ドルを払ったようです。(因みに日本国内でのZTEスマホのシェアは1%以下、上位20位に入っていません。ソフトバンクが子供向けの携帯とルーターで取り扱っているようです)



ところで実は、米国が先進国G7内での批判を浴びつつ現在唱えている「保護貿易主義」の中心は「二国間主義」で、その主要なターゲットは対中貿易赤字の是正のようです。


第二次世界大戦後の世界で、これまで国際通商的な枠組みであったGATT(1944~1995 多国間の関税貿易一般協定)やWTO(1995~)などは、多国で一緒になってルールを決めるというものでした。


この枠組みの中で実は米国の貿易収支は年約8000億ドルの赤字となり、その内の約半分の4000億ドル弱が対中貿易だそうです。2017年度の米国の中国からの輸入額は年5056億ドル、一方で中国への輸出額は年約1300億ドルだったそうです。


中国はこの対米輸出での大きな黒字を計上しながら、劇的に経済成長してきたのみならず、その先で米国の覇権を奪おうとする明確な野望をもち、米国側からすれば、自ら中国に大幅な貿易赤字を計上して中国をどんどんサポートして、結果的に米国の「経済という国家の土台」まで崩されかねないことへの危機感を抱いたことが今回の「米中貿易戦争」の根底にありました。


トランプ大統領は就任当初から、中国を「為替操作国」と認定し、中国との不均衡な貿易慣行を是正すると言い続けてきました。


米ソの冷戦終了後の1990年代の初頭、米国にとって最大の脅威は日本で、日本の強い貿易競争力によって米国の産業が悉く衰退してしまうという危機感から、85年の「プラザ合意」によって超円高にし、日米貿易摩擦に対する二国間協議を行って「不公正貿易慣行の是正」「スーパー301条」「日米半導体協定」など数多くの「日本叩き」を行って大成功をおさめました。当時の日本叩きの主役が今回USTR(合衆国通商代表部)代表に就任したロバート・ライトハイザー氏です。


USTRは米国と中国との不均衡貿易慣行を是正し、対中貿易赤字を減らし、中国が享受していた不当な米国からの所得移転を止めることで、米国の世界における覇権を奪おうとする中国の野望を砕く狙いがあるとみられています。


トランプ米政権は既に500億ドル(約5兆5000億円)分の中国製品に25%の関税を課す方針を決定、この内産業用ロボットや電子部品など818品目340億ドル分を7月6日発動。


これに対抗して中国は即座に大豆や自動車など同額分の米国からの輸入品に報復関税を発動。→米国は残り160億ドル分については今月末までに意見募集を終えた後で発動する予定であったものの月内への前倒しも示唆。


6月18日の時点で米国は、7月6日に発動した対中貿易関税に対して「中国が報復関税に動いた場合には更に追加措置を打ち出す」と表明。一方、中国は7月6日米国の追加関税発動に対しWTOに提訴。それと同時に自動車、大豆、ウイスキーなど545品目に米国と同じ340億ドル分の追加関税をかけ、米国が160億ドル分の追加発動をすれば同規模の報復で応じる方針を表明。


中国が6日に報復に動いたため米側は今月10日、この報復には「国際法上の正当な根拠がない」と批判。「米国からの対中輸出額が1300億ドルと小さいため、同額の関税をかけあっても、中国側の措置の方が対象となる割合が大きい」と指摘。


米国は更に、中国の知的財産侵害に対する制裁関税の追加措置として、衣料品や食料品など2千億ドル(約22兆円)に相当する6031品目の輸入に10%の追加関税を課すと発表。(発動は9月以降の見通し)


以上のように目下、米中は殴り合いのけんかの様相を呈している状態です。


今後、トランプ政権は中国との二国間間協議で対米貿易黒字の削減やハイテク分野への米国からの支援縮小、知財保護などの譲歩を促す狙いがあるとみられています。


米国の関税は追加措置を含めれば2017年の中国からの輸入(約5056億ドル)の半分を対象にする形になり、米国経済への副作用も大きくなると予想される中で、トランプ大統領は更に更に3千億ドル分の追加措置にも言及。つまり合計すれば5千億ドル(約55兆円)を超え、中国からの輸入品全体に及ぶことになります。これに対して中国側からの更なる報復も予想され、両国の対立は一段と激化していく様相です。


実は中国政府は2015年「中国製造2025」と名付けた産業政策を掲げ、半導体、電気自動車(EV)など主要分野でトップに立つ目標を設定し、政府の全面的支援と圧倒的な資金量を背景にAIなどの一部分野に力をつけつつあるようですが、トランプ米政府の一連の政策の目線がやはり、「中国のハイテクたたき」にあることは対中制裁対象品目をみてもロボット、情報通信、航空、宇宙技術など「中国製造2025」の重要産業が選ばれていることからも明らかなようです。


そもそも中国政府の全面支援を得た中国企業などは自由主義陣営の企業間の競争原理などとは相容れない存在ですし、中国企業を支援するために中国国内で一方的なルールを作ってきた中国共産党そのもので、このような中国企業が他国の技術をパクッてそれを安く大量生産して世界のシェアを奪おうとする汚いやり方は日本も韓国などにさんざんやられてきたことです(例として新日鉄の方向性電磁鋼板など、あとで中国にも技術を盗まれて韓国が中国を訴えたことで盗んだスパイの供述により発覚しというお人好しぶり)。


「核心技術」を安易に盗み、恰も元々自分たちの技術であったかのように振る舞う中国のやり方は明らかな知財侵害(日本の川崎重工の新幹線技術を勝手に中国が特許出願したことなどもその好例)です。日本政府も米国の呼びかけに応じて中国企業を相手にWTOに提訴を行うなど米国と共にやれることは全てこの際やっておくべきではないでしょうか。


中国へは米国政府が米国企業に命じて行った「核心部品の供給をとめる」というやり方が最も効果的だということもZTEの例でわかったわけですし。



引用:
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO3285444011072018MM0000/

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO28526910T20C18A3FF8000/

https://www.mag2.com/p/news/359254



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