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温暖化のサイクル

2019-10-01 07:40:57 | 科学

消えゆくスイスの氷河 2018年の異常気象で更に縮小

「気候変動」によって現在の地球は北極圏の氷や、世界各地の陸地の氷河が減少していると報じられている。

9月23日のNYの国連総会の気候変動サミットで注目された16歳のスウェーデン人の活動家グレタ・トゥーンベリさんの発言はややヒステリックな印象ではあったが、話題性として十分で、世界中がこの話題に注目するだけのインパクトはあった。


現在の地球で、事実として何が起こっており、どこへ向かっているのか、それに対する対策に温室効果ガスの削減が有効であるならば、グレタさんが言うように行動を起こすことをためらっている場合ではないのかもしれない。


以前から「地球温暖化」の先にある未来の姿をあれこれと映画の中で描かれてきたものの、それを観ても「地球温暖化」が我々の身に迫っているものとして今一つぴんとこなかったのは、それらが現在我々の周りで起きている身近な現象を描いているのではなく、あまりにも一足跳びの未来を描いていたからかもしれない。


例えば、映画「A.I」(米国 2001年)の世界では「地球温暖化が進んで一部の海に近い土地が沈み、(陸地減少で)妊娠・出産に厳しい許可制度が敷かれ、人間の代わりに多くの資源を必要としないロボットが活躍する未来」が描かれており、皮肉にもその先の遠い未来、人類が滅んだ後に地球は氷期に入り、氷に包まれた地球の姿が最期の方で描かれていた。


温暖化して南極や北極圏の氷河や氷床が解け海面上昇が起こって海だけが広がる「海洋惑星」となっている地球の姿を描いた作品が映画「ウォーターワールド」(米国 1995年)で、人類は海の上で「環礁」と呼ばれる浮遊島を建造して生き残りながら、どこかにある「ドライランド」と呼ばれる陸地を探している、という世界が描かれていた。


地球の過去の平均気温のデーターをどのようにして集めるのかという基礎的事項であるが、その方法は主に、
①有孔虫内の炭酸カルシウム中の酸素18比率から過去の海水温を測定する方
氷床コア(氷の柱)に含まれる酸素18比率から、過去の気温を推定する方法
の2通りがあるそうだ。


これら方法を用いて測定された結果、これまで過去40万年で地球は何度も氷河期を経験し、10万年周期で、短期間暖まる時期⦅間氷期)があることが判っており、現在はこうした氷期と氷期の間に来る温暖な期間である間氷期なのだ。


間氷期はおよそ約1万年続くといわれており、現在の間氷期は1.1万年前始まったものなのでそろそろ終わる頃なのではないかという見方もあるらしい。


氷河期の氷期では気温が下がって大気の蒸気圧が下がり、大気中に含まれる水蒸気が減り、雲が増える。雲が増えて寒冷な空気の中で降雪量が増えることで陸地の氷床や氷河が増え、海に流れ込む水量が減ることで海面が下がる。


約2万年前のウルム氷期(最終氷期)のときには年平均で気温が7~8度も下がり、氷河が発達して海面は現在よりも100~130mほど低かった(注)と考えられている。このため、日本では縄文時代の初めの頃から1万3000年前までは北海道と大陸は陸続きだった(移動可能だった)といわれている。


(注)終氷期の海水準低下とその影響で最終氷期の最盛期には、数十万立方キロメートルといわれる大量の氷がヨーロッパや北米に氷河・氷床として積み重なって、地球上の海水量が減少した結果、世界中で海面が約120mも低下していたといわれている。


間氷期では気温が暖まり、陸地の氷河や氷床が減って海洋に流れ込む水量が増えることで海面上昇が起こると言われているのであるが、これらは地球の公転軌道の変化や太陽活動の変動による気温上昇が原因とされる。


一方、「人類活動」などによる温室効果ガスによる温暖化効果によって、近年では海面上昇が加速していると言われている。


以下は朝日新聞デジタル版より引用から抜粋。
「専門家でつくる国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が先月25日、『海洋・雪氷圏特別報告書』の政策立案者向けの要約版を公表」


パネルは「100年に1度しか起きないような高潮などが、標高の低い大都市や島国では今世紀半ば、ほかの地域でも今世紀末までに、どこかで毎年起きるようになる」と警告しており、これは現在我々の身の回りで現実に起こっている。


「人間活動によって世界の海の温度は1970年以降、ほぼ確実に上昇しており、海面上昇も加速」


世界の平均海面は1902~2015年に16センチ(12~21センチ)上昇。」


「(これを詳しく観てみると)2006~15年は年3・6ミリ(3・1~4・1ミリ)で、1901~90年の年1・4ミリ(0・8~2ミリ)の約2・5倍。これはグリーンランドや南極の氷の消失が主な要因で、07~16年の消失量は97~06年に比べて南極で3倍、グリーンランドで2倍以上だった」


このように1970年以降海水温の上昇と海面上昇が進んでおり、海面上昇の速さも加速しているということらしい。


IPCCの報告によれば、「温暖化対策をせずに世界平均気温が産業革命前から最大4・8度上昇する場合は、海面は2100年に1986~2005年に比べて84cm(61~110cm)上昇する可能性があり、この場合、上昇は2300年には数mに達する可能性がある」


「温暖化対策の国際ルール『パリ協定』で合意している、気温上昇を2度未満とした場合は2100年に43cm(29~59cm)上昇するが、2300年でも1m程度に抑えられる」


「世界全体の海洋動物の生物量は対策なしの場合、今世紀末に1986~2005年に比べて15%程度、漁獲量は最大で同20~25%程度減る可能性がある」など。


懐疑派の反論
しかし、ほんの数世紀前に地球は「小氷期 (英:Little Ice Age, LIA)」(注)と呼ばれる比較的穏やかな氷河期を迎えていたといわれている。具体的には、ほぼ14世紀半ばから19世紀半ばにかけて続いた寒冷な期間のことである。


注:
IPCCは小氷期を「期間中の気温低下が1℃未満に留まる、北半球における弱冷期」と記述。



■小氷期の北半球
小氷期には気候の寒冷化によって「中世の温暖期」として知られる温和な時代が終了し、この間、世界の多くの場所で厳冬がもたらされた。最も詳細な記録が残っているのはヨーロッパと北米。


17世紀半ば、スイス・アルプスの氷河は徐々にその版図を低地へと広げ、谷筋に広がる農場を飲み込み村全体を押し潰していった。氷河が河川を塞き止め、決壊による洪水に襲われた村も多く、テムズ川やオランダの運河・河川では一冬の間完全に凍結する光景が頻繁に見られ、人々はスケートや氷上縁日(フロスト・フェアー)に興じた。


1780年の冬にはNY湾が凍結し、マンハッタンからスタッテンアイランドへ歩いて渡ることが可能であった。アイスランドでは海氷が何マイルにもわたって島を取り囲み長期間に渡って港湾を封鎖し、漁業や交易に打撃を与えた。


この厳冬の到来は、大なり小なり人々の生活に影響を与え、飢饉が頻繁に発生するようになり(1315年には150万人もの餓死者を記録)、疾病による死者も増加。


アイスランドの人口は半分に減少し、グリーンランドのヴァイキング植民地は全滅の憂き目を見た。


日本においても東日本を中心にたびたび飢饉が発生し、これを原因とする農村での一揆の頻発は幕藩体制の崩壊の一因となったともされる。


■小氷期をもたらした要因
小氷期の一部は太陽黒点数が著しく減少した期間(マウンダー極小期)と一致しており、太陽活動の低下と火山活動の頻発との組み合わせが大きな要因 (Free 1999, Crowley 2001)であり、ヨーロッパ地方では海洋循環の変動の影響もあったとされている(Mann 2002)。 


氷河学的には小氷期や小氷期後の現在も含め、氷期の中でも比較的温暖な時期が続く間氷期であったとされており、間氷期が既に1.1万年が経過しており、そろそろ間氷期の終わりに近付いているのではないかという見方もある。


■氷期へのスイッチは入らない?
問題は「氷期はどうやって起動するのか」という議論のようで、地球の公転軌道が変化(注)すれば、北半球へ当たる日光は夏に低下し、北部の氷床は夏でもだんだん溶けなくなり、何千年もかけて発達。氷床が増えることで地球のアルベド(反射光)を増幅させ、氷床の発達と冷却をより強くし、この過程が1万~2万年くらい継続することで氷期となる。氷期へのスイッチが起動しなければ間氷期が続くことになる。


(注)
地球の公転の軌道は楕円であるが、これがひしゃげたり真円に近くなったりの変動をくり返しているとされている。 


間氷期の長さはそれぞれ異なり、南極にあるドームCの氷コアを使って72万年前までの地球の温度を調べると、42万年前の地球の気候は現在の状態とさほど変わらず、その頃の間氷期は2.8万年続いたので、現在の間氷期も、人間の介入を除外しても同じくらいの長さに続く可能性もある(Augustin 2004)という意見がある。


40万年前と現在の似たような状況は地球の軌道によるもので、両間氷期とも、軌道要素の変化から来る強制力は他の間氷期と比べて少なく、シミュレーションによれば、現在の間氷期は温室効果ガスCO2の排出なしでも1.5万年あたり継続される(Berger 2002)という意見もある。


人類活動を除外した間氷期の長さの推定は理論上のものであって、人間が介入すると氷期起動のタイミングはどう影響されるのかということが議論の対象のようで、氷床が溶け、アルベドが減り、太陽からの入射光が増えれば更に氷床が減り、という循環が既に現在起こっているらしく、これまで「人類活動」という要素の影響が少なかった地球の気候周期とは異なる段階に地球が入りつつあるということなのかもしれない。

果たしてこのサイクルを食い止めることが可能なのであろうか。


引用:






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6 コメント

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どうなるのでしょう (泉城)
2019-10-03 08:21:51
kamakuraboyさん
おはようございます。
詳細にわたる内容ですね。

短期的には、温室効果ガスの増加により地球の大気が温暖化し、これにより氷河が解け海面上昇が起こっている一方で、長期的には、現在の間氷期からまた氷河期に移る時期にありますが、間氷期がまだ継続し地球の気候周期とは異なる状況になっているとすれば、未知の世界ですね。
「A.I」の描く氷河期か「ウォーターワールド」の描く海だけの地球か、それともまだまだ間氷期が続くのかどうなるのでしょう。いずれにしても人類が誰もいない未来の世界ではどのように予想してもそれを確認する術がありません。また、巨大な隕石や大きな噴火などなんらかの突発的な要因で気候変動が起こる可能性もあります。

ただ、人類の活動によって急激に地球環境を変えてしまうと近未来に何が起こるか予測不能ですから、やはり急激な変化は避けなければならないのでしょう。
地球温暖化で氷河期となる映画「デイ・アフター・トゥモロー」もありますね。
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こんばんは (kamakuraboy)
2019-10-03 19:17:01
コメントをありがとうございます。映画「デイ・アフター・トゥモロー」(2004年米国)では「公開より約2年前の2002年に実際に崩壊したラーセンB棚氷に大規模な亀裂が走る場面など、フィクションではなく現実を描いている部分もある」そうですね。

温暖化から氷期になってしまうプロセスは、「温暖化よって南極大陸の棚氷が融けるなど極地の氷の融解→真水が海へと供給され、海水の塩分濃度の変化が起こる→海流の急変が発生し、氷期へのスイッチが入る」というものですね。

ヨーロッパや北米が緯度のわりに比較的温暖なのはメキシコ湾流という暖流の影響が大きく、メキシコ湾流の変化は欧米地域の気候に大きな変化をもたらす可能性が大いにあるようで、2005年11月30日付のAFP通信の記事では、実際にヨーロッパにおいてこの映画ほど急激ではないものの、映画と同じ理論で、今後十年単位で平均気温が4度低下する恐れがあるとの科学者の見解を伝えているそうです。
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こんばんわ (井頭山人)
2019-10-03 19:21:51
今回は太陽系惑星史の中の地球気候変動史ですね。地球46億年の時間では様々な強烈な変遷が起きています。太陽を重力の中心として小惑星や宇宙塵が個体として固まりつつあったマグマの海の当初、初期の地球では月と言う衛星は無かった。猛烈な小惑星との衝突が起きて地球の一部と小惑星の一部が合体し月が出来たという仮説がある程度の信憑性を持って報告されて居ます。もちろん小惑星の衝突は地球に限らず8つの惑星では数限りないほど起きた事でしょう。今回は地球と云う惑星の気候変動がテーマです。そして人間活動のもたらす様々な要因が、地球の平均気温を押し上げているという想定です。こう云った温暖化の騒ぎは、結局のところ、「海の水位が上昇し今まで生活して居た土地が海面下に下がり、どうしてくれるんだ!それに対する対価を払え!」、という事が思惑の中心にあるのでしょう。地球気候の変動は、その地球の歴史が始まって以来継続して居るわけですが、この気候変遷にも長い歴史が有ります。灼熱の時期は当に終わりましたが、温暖期と寒冷期の時期は交互に繰り返しているというのが実態です。

実はこの地球気候に付いて、人間がその実体に関心を持ちその原因とメカニズムを追及し出したのは、そんなに遠い昔のことでは有りません。この変動のメカニズムに関しては、鎌倉ボーイさんがお書きの様に寒冷化と温暖化には様々な要因と仮説が有ります。大きく分ければ、地球外の要因と地球内部のまた地球表面の要因です。地球外の要因としては太陽系が銀河系内の宇宙塵の濃い中を通過する軌道時間とか、宇宙に於ける超新星爆発よる宇宙線の増大と強烈なシャワーが有ります。この宇宙線に因って地球表面に濃密な雲ができ、それが氷河の発達を促進している。この仮説は可成りの確度で信じられているようです。また太陽系の銀河系に対する公転軌道自体が楕円である為に起きる要因、そして太陽系内の地球の公転軌道がこれまた楕円である為に太陽からの光と熱を受ける割合に変化が生まれます。これらの変化時間は十年とか二十年とかの短時間では無く五万年とか十万年とかの時間帯で変化が起きます。人間が氷河期に付いて関心を持ち出したのはごく最近の事です。大陸の移動でさえ20世紀の10年代です。ドイツの地質学者ウェーゲナーが大陸移動に関する論文を載せた時、彼は多くの人に嗤われました。お前は馬鹿か?という訳です。地球は自転していると云う時も同じでした。氷河期の研究は太陽の研究と平行にして始まりました。太陽活動と温暖期、氷河期が密接に関係している事を発見したからです。地球内部と表面の話は長くなるので省略させてください。

生命体は地球の在り方の下で変化を遂げて来た訳ですが、現代では人間と言う種が地球の在り方を変化させつつある。何にしても植物は、樹木は、動物を生きさせている神だという事です。何にしても「木を切るな木を植えろ」と言いたいのです。詰まらぬことを長く書いてお詫びします。
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Unknown (井頭山人)
2019-10-03 19:32:16
もう少し書かせてください。
地球環境は寒冷期と温暖期に分かられますが、圧倒的に寒冷期が永いのです。小寒冷期も200年ほど前には有りました。日本でも不作続きで一揆が頻発した時期です。もしも現在の温暖期から寒冷期に入ったとするならば、農作物の収穫は半減します。そうなると、どういう事が起きるでしょうか?食料の奪い合いから戦争が起きる可能性が大です。多分起きるでしょう。本格的な氷河期が来ると、それが5万年続くと、サハラ砂漠は緑の草原か森に成り、現在の北ヨーロッパは氷河の下に成ります。人口は病気や餓死で半減する事でしょう。そう言う未来をマスコミは報道しない。国家として食料の自給が如何に大切かが分ります。寒冷化が怖いのは自明です。
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ハワイのキラウエア火山 (kamakuraboy)
2019-10-03 22:43:02
>泉城さん、ご指摘のように「巨大な隕石や大きな噴火などなんらかの突発的な要因で起こる気候変動」は過去にも現在もみられますね。

新しいところで、ハワイ島で去年キラウエア火山の爆発で火山煙が太陽光を遮るなど上層大気への影響以外に、溶岩が海に流れ込んで大量の水蒸気を発生させ「凍結した雨」が降り、マウナケアなど高所では氷点下になるなどハワイ島を寒冷化させていたそうです。噴火の規模によっては寒冷化がもっと長期間続くことにもなるわけですね。
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こんばんは (kamakuraboy)
2019-10-03 22:44:40
>井頭山人さん、コメントをありがとうございます。米国映画「デイ・アフター・トゥモロー」で描かれたような温暖化の先にある海流の変化によって、ご指摘のようにヨーロッパや北米地域が逆に寒冷化して氷河の下に入ってしまうと、仰るように「農作物の収穫は半減→食料の奪い合い→戦争が起きる可能性」が高くなるのかもしれません。

世界の人口は今のペースで増え続ければ2050年頃には97億人に達しているそうですが、その頃には更に食糧難が深刻化しているかもしれませんね。

地球の45億年の歴史からみれば産業革命後の200年間はほんの僅かな時間ですが、かつてないほど地球上に増え続ける人口によって「人類活動」の地球環境への影響が益々大きくなっていくということでしょう。

グレタさんが憤っていたように、世界の指導者は数十年先の未来には責任を感じていないということかもしれませんし、不都合な未来の姿、現在の姿さえも先進国のマスコミも(スポンサー企業や時の為政者がにとって不都合な真実を)あまり真剣に報道していないようです。
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