MIN LEKPLATS

& Patrick Chan is the ONE

もうふっ切る

2011-02-19 10:01:44 | 無印
「氷の孤独」を読まれて皆さんそれぞれの感想を持たれたことと思います。
私は、正直言ってこの『レポーター』が意図して持っていこうとしている方向に賛成しかねるので、結論として記事自体にあまり好感を持てずにいます。これだけとことん三選手を追跡してくれた記事など未だ嘗てないので、その意味では感謝しているんですけどね。

これが全くのフィクションでないとするならば()、彼はかなりの期間三人に密着取材していることになります。取材する内に彼の視点から見えてきた『真実』があったはずです。机の上に収集した情報を全部置いて、そこから彼の『真実』に基づいたストーリー構築に必要な情報と必要でない情報を選別する作業をしたんでしょうね。そうしてあの劇的なレポルタージュが誕生した。

主人公三人のキャラ付けもかなりデルフォメされてるに違いないけれど、まあ基本的には的を射ていると思います。
でも、それとは違う次元のもっと深いところに私的にもの凄くひっかかることがある。読んだ段階では気づかなかったんですよ。訳してみて初めて気づいた。翻訳というのはある意味作者と観点を共有する作業なので、だから彼の考えが見えてしまったのかも知れないですね。さり気なくそこここに散りばめてある小さな要素、偶然のようにみせかけてあるけど、それがすべて僅かの狂いもなく、読者に一つの結論を出させる目的で配置されてある。
マスコミの世論操作というのはこういうふうにするもんなんだなあ、とある意味感心しました。

あんまり腹が立ったのでまたブログでぶちまけて発散させようかとも思ったんだけど、こんなとこで日本語でいくらわめき散らしても肝心のスウェーデン人民には届くはずもなく、ただ悪戯にまたなんの罪もない日本のファンの心をかき乱すだけなので・・何も言わずにおくことにしました。
こんな思わせぶりなことを書くの自体まあ罪な話で申し訳ないんですけどね。やっぱり何か一言いわないと収まらなかったもんで、済みません。所詮個人の意見に過ぎないのでどうか聞き流してくださいな。
でも、もしエリック・アルムクヴィストに会うことがあったら(ないと思うがね)断固として追求してやるよ、絶対いい加減なことでは許さない!!

・・ということでこの話はお仕舞い
メイン・テーマに入ります

奴はべるシュルまよのドキュメンタリーと称して、実は彼らの擬似小説を書いたに過ぎない。小説としては確かに悪くない出来だよな。でも、前述の如くプロットが私の好みではない。だからってシナリオを変更する権利は翻訳者にはないので、まあそのまま訳してやったけど(ありがたく思えよ

現実は私の手には負えない。不条理と思ってもどうすることも出来ない。
だから、もう現実はギブアップして妄想の世界に生きることにしたんだ。
今季の様々な出来事プラスこの記事のお陰で、私の前にも新しい『事実』が山積したからね。それをめ一杯駆使して好き勝手な話を書こうと決めた!!それが私のリベンジさ

そう、「翔ぶ者たち」ね。
私はもともとフィクションはほのぼのよりハードボイルドのが好きなんだけど、読者がファンだってのもあってこれまでかなり遠慮してました。でもこれで箍が外れちまったような気がする。
それでもOKという肝の据わった方だけ、お付き合いください。

これから翔びます、『私の』べるとシュル(勢いに乗ってマヨも合流するかも)


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8 Comments

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補足 ()
2011-02-20 17:01:14
-拍手-

>ピーさん

これについては少なくとも今はもう語るまいと決めたので、悪いですけどノーコメントです。もしかしたらそんな大仰なこと言う必要もない、読めば誰もが直ぐ気づくことなのかも知れないし、或いは誰も気づかない(私が不要に拘ってるだけの)ちっぽけなことなのかも、そこらへんも私にはわからないんです。

感情に任せて随分否定的発言をしてしまいましたが、あの記事がファンにとって貴重な資料であることは間違いありません。また、じっくり三人それぞれを理解する努力をして、彼らを主人公にした素敵なお話を紡いでくださったエリック君にはむしろ感謝すべきなんだよな、という気もしています。
ですから、私の考えは考えとして、皆さんはそれに拘ることなく御自分自身の感想を持って頂ければと思います。いろんな見方、考え方があっていいし、それで当然なんですから。

>レラさん

そうそう、そういうご自分で感じられた内容を大切になさってください。誰の見解が本当に真実かなんて誰にも判断は出来ないんですから。

特に人間の性格なんてもの凄く複雑なものですから。シュル太が「クリスのことなんか興味ねえ」と一度言ったからといって、じゃあ本当にこれまでずっと一切無視してきたのかどうか・・ま、そんなの言わずもがなのことですよね。
だから、あれはやっぱり彼らの関係の一側面を強調した抽象画として味わうべきではないかと思います。そう考えれば、それはそれで的を射ています。
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無自覚の共感が現れたルポでしょうか (MINAMI)
2011-02-23 12:29:38
きめ細やかな翻訳、堪能させていただきました。ありがとうございます。
一読してまず感じたのは、書き手側のアドリアンに対する強い共感と視点でした。もちろんクリストファーを第三者の眼からじっくり描き人物像を伝えようとしているのはわかるのですが、アドリアンのそれと比較すると若干の客観性を感じます。
想像するに書き手の方はアドリアンが現在置かれている立場と憤り、そして「孤独」を自分自身の過去と経験に重ね合わせているのかなとも感じました。決して意識的なものではなく抑えきれないような感情のようでした。特にひいき得点への示唆はアドリアン、サーシャ問わず書き手自身がクリストファーに問いただしたい、そういった気持ちすら浮かび上がってきたように思います。
一方、クリストファー関連の文章においてはページ数を多く(想像以上でした!)割いているにも関わらず、事実関係はつかんでいてもそこに広がる感情をつかみきれていないようなもどかしさを感じます。書き手なりの事実を重ねていくからこそ見えてくるものは確かにあれども、どうしても踏み込めない何かでしょうか。サーシャが「クリストファーは心を開いてくれない」とつぶやくように書き手の方もそれに近いものを感じたのかなとも。
悦さんのおっしゃる通りこの記事は時間をかけて取材されたルポでしょうし信頼関係も培われてきたことでしょう。ただ書き手の本心ではクリストファーの立ち位置と振る舞いに疑問を呈するしかなかったのかもしれません。
書き手側が三人を粒さに観察することにより、自然と自分自身の感情が浮かび上がり文章として綴られることの不思議さを実感いたしました。むしろこのルポを読んで本国の方々がどのように感じ何に共感したのかを知りたい気持ちでいっぱいです。そして願わくばクリスの立場からじっくり「ゲーテとの対話」みたいな感じでとことん突き詰めた歴伝など読んでみたいものです。本当はアドリアンのラスト近くの言葉についての考察やサーシャの寂しさについてもいろいろ感じるものがあったのですが、また拍手などでお伝えできればと存じます。
悦さんの感じるくりすとふぁ物語を、心より待ち望んでおります。ありがとうございます。
 
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なるほど ()
2011-02-23 16:20:20
MINAMIさん

深い考察をシェアしてくださり感謝です。
記事を書くのは人間ですから、どうしたって感情移入はありますよね。完全に客観的な記事など不可能でしょう。

ただ、私から見るとクリスは極めて単純人間という気がするので、レポーターが彼のことが理解できずもどかしがったというのはどうかなと思います。インタとなれば彼も、アドリアンみたいに思いの丈をぶちまけることはしないにしても、言うべきことは言ってるでしょうしね。
それから、アドリアンの今の状況の元凶はクリスではないでしょう。彼は既に国際的に評価されてるんだから、ナショナルの結果など彼のキャリアにおいてそれほど重要とは思えません。サーシャがクリスを邪魔に思う心境はよくわかりますけどね
また、例え点数がえこひいきだったとしても、そこで糾弾されるべきは審査員であって、クリスに問いただしてもしょうがないんじゃないかな、とか。そこらへんがちょっと理解出来ませんでした。もうちょっと説明して頂ければと思います。

基本的にベルントソンは言葉ではなく行動で示すタイプだから、これ以上迫ってみても見返りはない、というか何かもっと奥があるんじゃないかとあれこれ憶測してみたものの、実はそんなに深くない見たとおりの単純人間なんじゃないかと・・違うかな(笑)

なんか文章にするときつく反論しているみたいに読めるかも知れませんが、そうじゃないんですよ。気軽の意見の交換がしたいだけです。是非もう一度書き込んで御意見をお聞かせください。

私もMINAMIさんの仰る観点を念頭においてもう一度記事を読んでみます。
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生まれ変わり (itokoi)
2011-02-24 00:24:32
長い翻訳お疲れ様でした。
この記事で私が最も引掛りを感じるのはサーシャ登場時の仏教の下りです。この部分だけなんか浮いてる感じがして。実際にこういう会話があったのかどうかは分かりませんが、削っても構わないのに敢えて挿入してあって、ラストでアドリアンの名前が間違えられるに至るのがうーん・・・・・。

世論操作というよりは小説作法と言うべきか。そう考えると、スウェーデンスケート界の歴史部分もある意味伏線?勘ぐり過ぎですかね。

それぞれの選手にそれぞれの魅力があって、それぞれに優れていると思うのです。唯一無二なんです。切磋琢磨することによって、先輩から後輩へ(彼らにそういう意識はないかもしれませんが無自覚の内に)と受け継がれていくものはあるかもしれないけれど、よりよい存在にというのは違う気がします。何が起こるか分からない競技の世界はもっと複雑ですしね。

変なコメントですみません。
『翔ぶ者たち』大好きなので続編を楽しみにしています。
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翻訳ありがとうございました (hana)
2011-02-24 01:12:22
いつも拍手でしたが今回は思い切ってこちらに書き込みです。
とても長い文章の「氷の孤独」今までのインタやエピソードを思い出しながら、雑誌の写真を見ながら、あと悦さんの今までの記事や現地情報などを思い出しながらとても興味深く読ませていただきました。
時々ここは大げさな気が、とかや悦さんが言っていたのはこういう意味か、と思いながら読んでいました。
悦さんが「扉に鍵をかけてついでにつっかえ棒とかもして、厳重にしまいこんだままにしてあったこと」と表現していたバンクーバーの時の話は読みながら土足で覗き込みしている気分になって罪悪感さえ感じてしまいましたが、どこまで真実かはともかく貴重な文章だったのは間違いないと思います。
もっと早くにお礼を言おうと思っていましたが
覚悟していたつもりでしたのに思った以上にワールドでの選考に落ち込んでいました。ですが本人が真っ先に受け入れているのですからこちらも受け入れようと思います。
ベルントソンのワールド選考の結果を納得しているけど残念というスウェーデンの方もいましたが、私は他国の人間ですがおこがましくもそれがとても嬉しく思いました。
彼が頑張ってきた長い時間は決して無駄ではないですよね。
最後に遅くなりましたが悦さん本当に大変な作業ありがとうございました!!感謝しています
そして翔ぶ者たちも楽しみにしております
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深いですね ()
2011-02-24 19:45:02
itokoiさん

ああ、それは面白い発想ですね。
この記事は一分の隙もない考えつくされた構成になっていると感じます。だから、あの仏教の話だって絶対偶然なんとなくなんてことあり得ないですよね。
小説作法・・むむ、なんか多次元理解が可能なような・・エリックさんどこまで計算したんでしょうか。
作品というのは作者の手を離れた瞬間から一人歩きを始めると言います。作者自身が思いもかけなかった理解のされかたがあってもいいと思います。
興味深いアングルからのお話有難うとざいました。

hanaさん

こちらでのコメ大歓迎です。拍手だと私だけしか読めないので残念だし、ご返事する際もこっちのほうがやり易いですので、出来ればこれからもこっち優先にしていただければど思います。

クリストファーのことはいくら悔いても悔い足りることはありませんが、何度も言うことながらもう致し方ないことなので。
今更言っても詮無いことですけど、FPは昨季のフォトジェニックを持ち越せば良かったのになあ、とかいろいろ思います。そうすれば刷り込みの時間が必要なかった訳だし・・
いやいや、もうやめましょう
これもカルマなんだ、きっと。

多くの方々が私の至らない翻訳に対して感謝の意を表してくださいました。こちらこそ有難うございます。個人的にひとつの決着をつけたくて訳しただけなのですが、それが思わぬほど多数の皆さんのお役に立てたようで、こんな嬉しいことはありません。

「翔ぶ者たち」も、かなりやりたい放題になると思いますが、忍耐をもってお付き合いいただければ嬉しいです。
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難しいですね (MINAMI)
2011-02-25 10:50:17
お返事嬉しく読ませていただきました。
私の感じた記事へのもどかしさこそまさに「主観的」なものですので明確な答えは出せそうにありません。
ただ去年のオリンピック前にこの記事を読んでいたら、確実に「旧勢力への抵抗を試みるも跳ね返されてしまい壊れそうになったアドリアンが、少しずつ自分の真実を身体でもって認めさせ、さらに高みを目指そうとする物語」として受け取ったことでしょう。
どんなにクリスの足跡を丁寧に綴ってあっても、主人公はあくまでもアドリアン、興味の中心は彼にある、その印象が拭えませんでした。

クリスの性格がわりと単純明解というお話には納得です。日記やインタビュー読んでいると確かにそうですね。
書き手側の認識としてはクリスの性格自体はもちろん把握しているでしょうが、取材対象としての「理解」に止まっているような気がしました。一方アドリアンに対してはどことなく書き手本人が微妙に感情移入しているような部分も見受けられたのと、選ばれたエピソードのつなぎ方がすべてラストの言葉に一本化されていくような綾を感じました。

クリスが東京ワールドに向かった際本国の取材がついたこと、先日のナショナルで審査員に前髪を振ってアピールした時、思わず口元が緩んだ(そりゃそうでしょう!)とか、「戻るべきところに戻った」とか、ひとつひとつのエピソードは偶然のようですけれどもなぜかそれがつながると「やはりなんかあるんでないの?」と深読みしたくなってしまう気がします。
またアドリアンも、音楽止まったとたん抗議したのち見事に決めたナショナルとか、ヨーテボリワールドで二丁拳銃で審査員を撃ち抜いたり、スケアメ後のどん底状態では「なぜあいつみたいに点がでねえんだよ」状態で愚痴ったりして、でも最後には眼の肥えたサーシャにも同意される場面と、悟りをわずかに開いた台詞と、あのラスト。
やはりアドリアンの物語なのだと思わずにはいられませんでした。

あまり説得力のないお答えで申し訳ございません。ではこれから、小説の続きを読ませていただきます!
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なんか悟りが降りました ()
2011-02-25 15:44:29
M INAMIさん

ご返事有難うございました。
仰ること良くわかります。

やはりアドリアン視点でみるか、クリス視点でみるか、作者の視点だけでなく読む方の視点如何でも随分変わって読めるということですね。
なんか眼からうろこが落ちた思いがしています。人間ってのはほんと多重的で深いですね・・

MINAMIさんのお陰でいろいろと考えることができました。また、もしかしたらネット上ではべるファンとシュルファンのかなり過激な論争とかもあったりするのかなあ、なんて思ったり。

少し前から迷っていたのですが、この際決意して私としての考えをはっきり書くことにします。あまり気分の良い読み物ではないかも知れませんが、宜しければご一読ください。
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