肺がん末期の母

2011年1月末に肺がん末期と診断された母のことを綴っていこうと思います。

入院6日目

2011-02-14 01:06:40 | 入院
朝9時頃、母からのTEL。
少し記憶が曖昧な様子で「病棟が変わったから」と。
本当に?ベッドが違う位置にあるからじゃないの?と聞くと
看護婦さんに「ここ何号室?」と聞いて同じと知る。
しっかりして~~(笑
今日もボケ老人かい?
と笑いながら聞くと笑っていた。

午後12:30
いつもより早めに病院へ。
今日はバレンタインだよ~~♪っと
言いながら病室へ入ると
「あぁ、そっか。店の子達はちゃんとチョコ買ったかなぁ」と
心配する母。

今日は意識が大分しっかりしてそうだね。
よかった。

「今日は朝血を沢山抜かれたんだよ~・・・
 6本くらいかなぁ・・・」
と不安そうにいう母。

いやいや、血はそんなに抜かないでしょ~
また夢かな?と思って看護師さんに聞くと
肺に水がかなりたまっているのがレントゲンで分かったので
水を抜いたらしい。
本当は1000ml抜きたかったけど、痛がって同じ姿勢でいられないので
600mlだけ抜いたという。

600mlって・・・普通のペットボトルより少し多いんですが・・・?('-';

かなり重症なんじゃないの?と不安がぐるぐると頭に残るが
目の前にいる母は先週のボケ老人よりしっかりしているし。
大丈夫だよね。と不安を消し去る。

店の子達や兄、甥っ子へ手紙で
「最後のバレンタインになるけどー」と冗談半分本気半分で
手紙を書こうとするが、集中力がないようで短い手紙になった。

午後12:30
保険屋Sさんが私と二人だけで会いたいというので
正面玄関へ。
Sさんが母が気にしているからと調べなおしてくれて
わかったことを教えてくれた。
母の保険で死亡受取額から癌で余命宣告された場合は
先に死亡受取額の1/4までは下ろせるらしい。
つまり、治療して生存が長引いても生活には困らないということを
教えてくれた。
重粒子線などをすれば、保険適応外なのでそこから300万を
おろすこともできる。

つまり・・・
生きていていいのだ。

誰にも迷惑をかけず生きていけるのだ。

私や兄に迷惑をかけたくないといつも言っている母。
これなら迷惑なんて掛からないよ。
安心して長生きしてねと思って、ありがたいなと思ったら涙が出た。

母に話すと生きる希望がわいたようだった。
よかった。

主治医M先生とK先生、看護師さんと今後の治療について
話す時間になったので、私だけ別室へ。

CTを見ながら話しましょうというM先生は少し話しにくそうな様子。

1週間前のCTと、入院中のCTを並べながら説明が始まった。

それは素人の私が見てもはっきりと分かるほどの違いだった。

肺(右)半分以上を覆うような水。

この状態(体の調子)で点滴型の抗がん剤治療は無理とのこと。

・・・・。
だって、先週言ってたのに?
抗がん剤月曜から始めましょうって・・・。
なんで???
肺炎治まったらできるんじゃないの?

「錠剤の抗がん剤ならば始められますが・・・
 この抗がん剤が効くかどうかは今検査で
 取り出したがん細胞にかけて実験しておりますが・・・
 喫煙経験があるかたには効かないというデータがあるので
 希望は持たないで欲しい」
とのことだった。

明日その実験結果が分かるので、
そこで治療は無理か否かがはっきりするそうだ。

もし無理な場合は?

延命治療なしで、痛みを取り除き、
緩和ケア病棟へ移ることをお勧めします。

・・・。
緩和病棟で、痛みを取り除くモルヒネいっぱい打って
半分ボケ老人のようになって、死を待てと??
そんな馬鹿な話があるの?

先生に母へこの話をしていいか聞かれた。
この病院では患者の意思を一番に尊重され、
知る権利が重要視されている。
告知がモットーな病院。

余命だけは打ち明けず・・・
治療が出来ないのではなく、
今は体力がないから無理だけど
体力が戻ったら抗がん剤しましょうね、っと
希望を持たせてくれませんか?
と言うと
先生は
抗がん剤は無理に勧められるものではありませんから。
日常生活を送れる患者さんでも抗がん剤を使用して
死に近づく場合があります。
お母さんは下から延命はしないでほしいとおっしゃっておりましたし。
患者さんの意思を尊重します。
といわれた。

今の母は生きる希望を持ったのに、
なのにここでまた希望を切るの??
なんでこんなに残酷なの?
涙が止まらなかった。

病室に先生達と戻り、余命以外、ほぼ全てを母に告げた。
緩和病棟に行けば、今よりも自由があり
多少なら外出もできますよ。
と勧めている。
無知な母でもそれは
「もう治療する価値がないから、
 この病棟に居ては邪魔ですよ。
 あっちで死をまってね」
と聞こえたようだ。

「やっぱり治療は無理かー・・・」
そういう母は涙も流さず、自分の体の痛みや
変化に納得せざる得ないような感じにもみえた。

ショックだよね・・・。
ショックだよなー・・・・

なのに先生が去ったあと、
保険屋Sさんに笑いながら
「ほらね~~、このコの泣き声聞こえたっていったでしょ?」と
笑っている。

聞こえるわけないじゃん。
ナースステーションを挟んで遠くの部屋で話していたのに?
と聞くと
「なんだろうね~~、(指で宙を指しながら)
 ふ~~~っとね、こっちに聞こえたのよ」
って。

母は学がなく無知ではあるが
野生の勘、第六感がとても強い。
だからなのか?
親子だからか?

なら私の気持ちを察して
もう少し生きる気力を持って
頑張ろうよ!といいたいそれは言えなかった。

思いっきり怒鳴ってわめいて殴って
死にたくないよ!!
って言ってくれれば一緒に大泣きできるのにね。

自己満足でいいから
もう少し親孝行させてね。