25時間目  日々を哲学する

著者 本木周一 小説、詩、音楽 映画、ドラマ、経済、日々を哲学する

日本の行方

2015年01月29日 | 社会・経済・政治
  国家あるいは政府はすでに資本の動きを制御できなくなっている。資本は民主主義さえも制御するようになっている。
  フランスでのISISの支持者は20%を越えている。なぜそうなるのか。それは少数の富めるものと大多数の困窮するものに分かれてしまうのが資本主義がたどった道であり、現在このことが露呈してきたからである。フランスの貧困層は移民が多い。彼らは富めるものになりそうもない。お金があるところに金が集まる仕組みが資本主義であるからだ。
 日本はゼロ金利、ゼロインフレで、経済成長を目指している。ところが大企業の内部留保資金が過剰に積もっている。つまり設備投資などに使うところがないのである。
 日本人の貯金は1500兆円あり、あと、2,3年もすると、これが減り始める。この1500兆円が生み出す利潤を担保にして政府は借金を国内から調達している。借金までしてお金をくらばらまいても経済は成長しにくい。このことの現政府は挑戦している。安い労働賃金で物を作り、安い製品を売るということも限界にきている。またエネルギー資源は昔のように安くない。振興国は石油資源の乱高下に一喜一憂しなければならず、1960年代のような安い石油で物作りがしにくくなっている。
 ISIS(イスラム国)の問題は宗教面も含むが、15000人もの外国人戦闘員が参加するというのは、生活が苦しいからだ。

 政府は国民の無意識の手のひらの上にのっている。経済がだめなら政権が変わる。それは国民の無意識がそうしている。国民にも経済成長や好景気という幻想がある。さらに政府は資本家側から法人税の引き下げなどを要求され、それを断ることができない。
 ゼロ成長が果たして悪いかというとゼロ成長はむしろ勇気のいる政策であると思う。それは価値観を変えることでもあるからだ。
 例えば車を買う。それをボロボロになるまで乗る。3年に1回買う必要もない。みなが1度買った車を10年使うとすれば、企業はいくつつくったらいいものか検討がつく。正社員の過剰労働も正社員を増やせばよい。利潤が伸びないではないか、言ってくる人が必ずいるが、ゼロ成長であれば、これ以上利潤を追求することもない。現在の状態を常とするような状態を生み出すこと。そして財政の均衡を図ることが肝要に思える。もうこれ以上国債を発行しない。そのためには税金の体系を変えなければならない。規制も設けなければなければならない。国境を越える金融利潤からは税金をかけ、法人税も高く、消費税も生活必需品においては免除し、高いものにより多くの消費税をかける。所得税も累進性をもっと多くする。これは想像の話である。

 しかしながら人々はどうやら資本主義の全体像がようやく見えてきたところまできている。資本主義が始まってから今日までのデータがあるからだ。

 ISISは戦争と考えているから戦争の行為をとる。戦争に卑怯も、卑劣もない。ISISは6000人の戦闘員が死に、有志連合側も死者はいるはずだが、発表がない。ISISはどんな国づくりをしたいのかは、これからわかってくるのだろう。ISISの中心めんばーが死んでしまっても次々と同じようなグループが出てくるのは確かなことだ。グローバル資本主義がつづく限り、アラブやアフリカの貧困層は平穏な生活はできない。こころの安定を宗教に。経済の安定を平等に求めているなら、たいへんな挑戦である。
 新聞などのマスコミは事件ばかりの報道に懸命である。この事件が落ち着いたら、そしてまたアベノミクスが失敗したとなれば、財政の破綻が目前に迫る日本で、次の新しいケイザイシステム、考え方の大転換が起こってくるのかもしれない。
 そんなことをテレビ報道を見ていて思う。