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北八ヶ岳の森・みどり池~根石岳(本沢温泉泊)・その2

2017年05月24日 | 【山】八ヶ岳とその周辺


本沢温泉露天風呂の誘惑に負け長湯をしてしまい、(まだ山行は続くのに)すっかりヘロヘロになってしまいました。案の定この後が辛かった。強烈な疲労感に襲われ足が重いのなんのって。

露天風呂分岐から先、夏沢峠まで残雪があり、峠に近づけば近づくほどその量は増えてゆきます。別に固い残雪ならたいしたことないんですが、雪はグズグズに柔らかくなっていて踏み抜き多数。



しかも踏み抜く深度が深い深い。ずるずる滑るし足を乗せる度にグシャッと崩れて、ここは時間がかかったな~。



10:34やっと夏沢峠です。この時点でもーへろへろ。



夏沢峠には隣り合わせに「山彦荘」と「ヒュッテ夏沢」の二軒の山小屋が並んでいますが、訪問時はまだどちらも小屋開け前で外にある仮設トイレもチェーンで巻かれて利用不可でした。



山彦荘は本日お世話になる本沢温泉と同経営で、館内に住み着いたヤマネとモモンガが有名らしいです。小屋の壁に写真が貼られてましたが、ずいぶんいっぱいいるなぁー。写真のように餌付けもしているようですが、本沢温泉のお兄さんが「もう二週間は誰も餌をあげにいってないから、どうなったかな~」って言ってました。まぁ野生のモモンガだから、勝手気ままに森の中で虫やら木の実を食べて暮らしているでしょう。



そして、ここで「こまどり沢」以降はじめて二組のハイカーさんに出会いました。大きな荷物を背負ったボッカさんも登って来ます。それぞれみんな別の方向へ歩いてゆきました。夏沢峠は北八ヶ岳の十字路なんです。



夏沢峠から根石岳へ向かいます。夏沢峠には残雪が無かったので、「あ~これで踏み抜き地獄から解放される」とホッとしたのもつかの間、再び樹林帯の残雪地帯です。相変わらず踏み抜き多し。この頃には気温もグングン上昇、夏のような日差しが照り付けます。



11:30箕冠山分岐です。画像だけ見ると涼し気ですが、むちゃくちゃ暑いんです。



ここから根石岳との鞍部までちょっとした下りがあるんですが、そこが滑る滑る。氷で滑るんじゃなく、ゆるゆるの残雪でズルズルなんです。



鞍部へ出ると残雪はまったくありませんでした。この一帯はコマクサ保護地との事ですが、訪問時の5月では当然何も生えていません。遮るもののない強い陽射しに照らされたザレ場は見渡す限り人の気配が無く、物音も無くシーンと静まり返り、なにやら白昼夢のような光景です。



11:36根石岳山荘です。特に用は無かったけれど「どれどれ?」と、山荘にちょっとだけ寄ってみました。私達の気配に気づき小屋内で作業をしていた感じのいいお兄さんが慌てて駆け寄ってきてくれたのですが、「後で寄らせていただきます」とだけ告げて出てきてしまいました。これぞ正真正銘ホントに冷やかしだけの迷惑な通りすがりハイカーですね(-_-;)



お目当ての根石岳は、もうすぐ目の前。山荘の前のガレ場を登り切れば・・・



11:48根石岳山頂!根石岳は通過点の山といった位置づけらしく、コレといった山頂標識が見当たらなかったので指導標でパチリと一枚。

心なしか元気がないように見えるのは、露天風呂での長湯と、踏み抜き地獄と、真夏のような暑さで心身ともにグッタリしているからです。



すぐ隣には優雅な山容の天狗岳が迫ります。東天狗の山頂標識に数人のハイカーさんがいるのが見えます。ここから東天狗に続く登山道がすっかり見渡せるのですが、向こうから来る人は誰もいません。みんな東天狗で引き返すようです。



そして反対側には硫黄岳。その後ろに赤岳が見えます。実は夏沢峠から硫黄岳方面へ行こうかとも迷ったんですが、本沢温泉のお兄ちゃんに「根石岳だけ行って帰ってくる」と言ったので、その通りにしました。



八ヶ岳の後ろに連なる南アルプスの山々。



霞んでますが、たぶん北アルプスの山々。



御嶽山。



では恒例のランチ休憩にします。もはや定番となったミニラーメンとオニギリです。



この日はほぼ風もなく、空には雲一つなく、ひたすら暑い陽射しがジリジリと照り付けます。目の前をビュンビュンとツバメたちが高速で通り過ぎ、その向こうを猛禽がゆったり悠々と風に乗り天狗岳の向こうへ消えてゆきました。



満腹になったところで、「後で寄る」と約束したので根石岳山荘へ行ってみます。


ここでコーラ(300円)を一本購入&トイレ(100円)を借りました。トイレは新しい感じでとても綺麗です。トイレのある棟そのものがとても綺麗なので、もしかしたら新築したのかも?根石岳山荘にはお風呂もあるそうで、湧き水の量が安定する7月下旬位から入れるそうです。今日のお客さんは「10人くらいかな?」って事でした。場所もいいし、ここは泊まってみたくなりましたよ。

12:55そろそろいい時間になってきたので帰ります。帰りは雪がますます柔らかくなり、更に歩きにくくなっていました。下りなので一応チェーンスパイクは装着しましたが、あまり意味なかったかな?まぁ気休め程度で。



13:30夏沢峠です。真夏か?と思うくらいむちゃくちゃ暑いです。ここから本沢温泉まで残雪がますますユルユルになっていてキツかった。



14:13本沢温泉まで戻って来ました。相変わらず人の気配が無くシーンとしています。他のお客さんは、どこへ行ってしまったんでしょうか?お兄さんに「根石岳どうでした?」と聞かれたので「うん、とにかく暑かった」と。「昨日までは寒かったんですよ、今日からいきなり暑くなったんですよね」との事です。



案内された部屋は二階の窓際「二号室(個室)」でした。ギリギリ布団を二組敷ける程度のこぢんまりとした部屋ですが、外にベランダがついて眺め良く明るい印象の部屋です。



窓からは玄関前のテーブルエリアと周囲の山々が見えます。



飲み物やバッチなどは館内一階の売店で販売されていました。品揃えは豊富な方だと思います。この他に外来向けに外売店もありますが、訪問時はシャッターが下りて営業はしていませんでした。



まさか作られていないと思っていた根石岳のバッチまでありましたが、残念ながら売り切れ~。



生ビールは800円でした。缶ビール350mlは500円、500mlは650円、ジュース類は300円です。食堂では信州の地酒各種1グラス500円もあります。



談話室には山と温泉関連の本がたくさん。



メニューが掲示されていたので、ここで飲食もできるんでしょうか?談話室は残念ながらテント泊の人は利用不可です。



乾燥室兼自炊室です。広く明るい印象でした。


洗面所とトイレも明るく清潔。洗面所の水は飲んでOKとの事。



そして、こちらが今回一番楽しみにしていた館内の内風呂です。新鮮金気と明瞭な芒哨味のする熱めの湯がたっぷり掛け流されています。



しばらく利用者がいないと、ロウ状の湯膜に覆われます。浴槽底にもこの湯膜がカサカサとたっぷり沈殿。

この内湯は男女別で24時間入浴可能。ただし消灯以降は風呂場の電気はつかないのでヘッデン持参でどーぞ。この湯が気に入り何度も通ってしまいました。


外には同じ源泉を利用した冬期利用の湯小屋もありました。こちらは男女交代制で夜間の利用不可。夏期は館内内湯、冬期は屋外の湯小屋といった具合に使い分けているようです。訪問時は時期柄どちらの浴室になるかグレーだったのですが、少し前から館内風呂に切り替わったようです。時間を気にせず何度も内湯に入りたかったんで、館内浴室になっていてよかったです。


つづいて屋外をウロついてみましょうか。



本館正面です。玄関の斜め上あたりが宿泊した部屋です。



ストック置き場です。同じメーカーのストックも多そうなので繁忙期には持ち間違いもおこりそうな予感。


屋外の水場です。確認はしなかったのですが、コップが置いてあったので「そのまま飲んでもOKかな?」と勝手に判断し、露天風呂の帰りなどたくさん飲みました。右の画像は屋外のトイレ(立ち寄り1回100円)です。テント泊ではこのトイレを利用するようです。まぁ、よくある仮設のポットンです。



夕食は17:30から食堂で皆でいただきます。この日のお客さんは我が家を含め10人ほど。テント場は二張りだったそうです。ゴールデンウィーク明けの5月から6月までは、だいたいこんな具合なんだそうで。静かな、静かな、とても静かな本沢温泉です。ただし開山祭は大人気で、既に100人!の予約が入っているらしいですよ。



夕暮れです。



暗くなる前に露天風呂に出かけてみました。昼はあんなに暑かったのに、この時間になると硫黄岳から冷たい風が吹きおろし肌寒いくらいです。前回の記事でも書きましたが「ぬるい」との前情報の露天風呂でしたが、訪問時は湯温が上昇し42℃以上の適温~やや熱めでした。



夕暮れの中、誰もいないガレ場の中でポツンと湯に浸かります。



聞こえるのは沢の流れと、時折吹く風の音だけ。目の前には荒涼とした硫黄岳が圧倒的な存在感でそびえていました。



消灯は20時でした。「こんなに早く寝れないよ~」なんて言ってましたが、昼間の遊び疲れでアッという間に夢の中。消灯後も廊下などは電気がついているので夜にトイレに行くとき助かりました。


夜中に目を覚ますと窓の外には無数の星が輝いていました。暗い森の方からトラツグミの「ヒィーーーー」という物悲しい鳴き声も聞こえてきます。昔の人はこの声を「鵺」といって恐れていたのだけれど、その気持ちもわかりますね。


明け方にはベランダでは何やら小動物の走り回る気配が。いったいなんだったんでょう?



つづく。