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今年も富士山

2017年07月18日 | 【山】富士山・天城


先週のことですが・・・


7月9日(日)は去年に続いて、今年も富士山を登って来ました!


去年は天気は良かったものの、山頂部の暴風と濃霧で泣く泣く(?)富士山最高峰の剣ヶ峯とお鉢巡りを諦めたので、今回はその心残りを埋めるため、晴れて風も静かな日曜日「行くなら今日しかない!」と出かけてきました。



いやーーー、驚いたな~~っっっ。




山頂付近の凄い人・人・人!!!


去年と1週間ほどしか違わない時期に行ったんですが、くらべものにならないほどの人の多さです。たぶん登った時間がたまたま「ご来光組」の下山と被っての大混雑だったんだと思いますが・・それにしても凄かった。

それでも富士山登山オフィシャルサイトの「混雑予想カレンダー」で7月9日は、「混雑日」でも「やや混雑日」でもない「平常日(登山者が比較的少ない日)」とされているんですよね。



・・って事は、


「本当の混雑」は、こんなもんじゃない!?


オソルベシ、富士山人気。



まぁ富士山人気の凄さを垣間見れたって事で、いい経験ができました。



さて当日、目指すのは去年と同じ吉田ルートの五合目登山口。なぜなら他のルートはまだ登山期間外だったので、途中途中のトイレや山小屋事情が心配でした。

この日はまだギリギリ交通規制に入る前だったので、五合目まで自家用車の乗り入れが可能でした。ただ、五合目レストハウスの駐車場はアッという間に満車となってしまうようで、去年はAM3:30の到着で既に満車、その際は手前の道路上で誘導員さんに止められ、別の駐車スペースに案内されました。

ようは到着が遅れると、五合目レストハウス駐車場→少し手前の駐車場(去年はココ)→もっと手前の駐車場→さらに手前の駐車場・・・という具合に、どんどん離れた場所に停める事になってしまうんです。

ってなワケで、今回はできれば五合目レストハウスの駐車場(登山口やトイレに近く何かと便利)を確保したいので、前日の21時頃に現地到着。ほぼ満車に近い状態でしたが、なんとか停める事ができました。

ちなみにこの五合目レストハウスの駐車場、場所はいいんですが、いかんせん一コマのスペースが狭いんです。扉の開閉や出発前の準備で隣にぶつからないように気を使います。


到着してみると、まぁ凄い凄い!夜21時の山の中とは思えないほど大賑わいでした。


21時~22時台はご来光組の出発ラッシュなようで、あちこちで登山グループの賑やかな声が響いています。我が家は数時間仮眠して、早朝出発しようと計画していましたが、まぁ周囲が賑やか過ぎてぜんぜん眠れません。みんな「富士山に登るゾ!」という高揚感があって、中には円陣組んでオーッ!なんてグループもいたりして。

23時にもなるとご来光組出発ラッシュは納まるんですが、それでも常に誰かしらが動いているので、まさに「24時間眠らない登山口」です。HNKの「72時間」で取り上げたら面白いのにと思っていたら、2013年にやってましたね。再放送してくれないかな。


そうこうしているうちに、ほとんど眠れず出発の時間がやって来ました。本当は前回と同じ4:30頃に出発予定でしたが、もう目が覚めちゃったので行くことにします。この出発時間が後々山頂付近のご来光下山組大渋滞にハマってしまうんですが。


先ずは登山口前に設置された受付で富士山保全協力金(1000円)を支払います。テーブルには「山頂トイレがまだ開いていないので途中の山小屋で済ませるように」との案内が置かれていましたが「あ、いま開いたって連絡がありました」と、案内を下げていました。なんでも山頂トイレは静岡側の管理なんで、山梨側としてはどうにもできないらしいです。

今年の記念木札は二種類ありました。協賛施設にこの木札を持参すると、来年の3月31日まで優待利用できるんですよ~。


2:40闇の中を元気よく出発、と言いたいトコですが、寝不足に加えちょっと本日は体調がスッキリしません。ただ、気温は暑くなく寒くなく、なにより風がなく、山としてはなかなかの良い日みたいです。

3:10六合目安全指導センターでは無料(3000円のデポジット)でヘルメットの貸し出しを行っていました。



町の灯りの向こうに見える東の空が徐々に明るくなってきました。



上を見ると山小屋の灯りが煌々と連なっています。


やがて七合目の山小屋銀座に突入です。お客さんはご来光を見に出てしまったようで、人の姿はなくシーンと静まり返っていました。



どうやら日の出が近いようです。



山小屋のスタッフかな?屋根の上はお兄さんの特等席ですね。



どこの小屋だったか忘れましたが、ちょうど日の出を迎えました。三日月のような形の山中湖の上にグングン朝陽が上ります。



新しい朝のはじまりですね。



みんな、日の出に見入ってます。



太陽が昇るとごらんの通り。容赦なく太陽光線が降り注ぎます。



全てがギラギラ輝き、あ・・暑い。


この辺りから体調に異変が・・。高所のためか息が上がりっぱなし。足取りは鉛でも引きずっているかのようにズーーンと重く、さらには血の気が引いて冷汗がにじんできます。。うーん・・ヤバイなぁ、前回はこんな事なかったのになぁ。寝不足が原因だろーか?三昧に顔色が悪い、今日は帰ろうか?と指摘されてしまいました。



ここからは休み休み進みます。せっかくの雄大な眺めも楽しむ余裕無し。


数歩歩いては立ち止まり、また少し歩いては立ち止まり、フゥフゥ。もしこの先も調子が上がらなかったら、下山路の分岐で帰ろうか?とも薄っすらと考えていました。


・・・と、ここで重要な事を思い出しました。


なんと出発前に食事をするのを忘れてました!昨日の夕方からずーーっと何も食べてなかったんです。(アホだ・・)


という事で、途中の山小屋でココアとコーヒーを購入、そして持ってきたパンを食べつつ大休憩。なんてことないインスタントココアなんだけど、体調不良の体にはしみじみ美味しかったな~。やがて徐々に体調も回復、三昧に「顔色が少し戻ってきた」と言われました。



少し元気になったところで「さぁ、先へ進もう!」と歩き出し、山頂付近を見上げてみると・・・



・・・・!?



なんだか凄い行列が見えるじやないですか!よーーく目をこらすと、なんと下山する人の行列です。この時期はまだ須走ルートの下山道が通行不可のため、本八合目の分岐まで登りと下り同じ道を使う事になるんです。さらによーーく見ると、多勢に無勢じやないけど、登りの人が全然動けてないようです。


この時、吉田ルートから須走ルートへ入る分岐にいた指導員の方とお話ししたんですが

「9時頃まではご来光の下山行列が凄い」(そうかぁ、去年渋滞にあわずスムーズに歩けたのは、山頂付近を通過したのが下山ラッシュの過ぎた9時以降だったからなんだ・・・)


「中には行列を無理やり抜かして下りてきて登りの人に突っ込んできたり、登山道を外れて落石をゴロゴロ落とす人もいるから気をつけてね」(←実際に何人もいた)


「昨日だってこーんな大きな落石があったんだから」と両手を広げます。



そしていよいよ、私達も下山ラッシュとの擦れ違い渋滞に突入します。



登り1に対して下り100といった具合で、もはや「登り優先」なんて言葉は通用しません。・・というか、こんなに下山者が多ければ無理でしょう。



登り側も行列になっているので、とにかく時間がかかります。


この時期に富士山を登る場合は、本八合目より先は9時以降に通過するようにスケジュールを組まれる事を強くおすすめします。



8:30やーーーーーっと山頂に到着しました!長かった~~。とにかく長かった。体調不良のスローペースに始まり、本八合目からの大渋滞、こんなに時間のかかった山行は初めてだと思います。この頃には朝の体調不良はどこへやら、もうすっかりいつも通りに回復していました。



前回はまだ閉まっていた神社も今年は開いていました。まずは無事山頂へ来られたお礼のお参りです。ここで、お兄さんに「写真撮ってください」とスマホを渡されたんですが、いまだにガラケーの我が家、スマホの操作がわからず悪戦苦闘。お兄さんは内心(頼む相手を間違えた・・)と後悔したに違いない。



山頂部の土産物店も開き、仲見世のような賑わいでした。いいね~こういう楽しい雰囲気。わくわくします。


前回購入できなかった山バッチを購入。なんと、その場で日付を刻印してくれます。



続いて前回は悪天候のため断念した富士山最高峰の剣ヶ峰へ向かいます。


すると、去年は濃霧でまったく見えなかった「お鉢」がの前に。



おおっこれは凄い!安達太良や硫黄岳の爆裂口も凄いと思ったけれど、富士山はより一層凄い!!



そして降り注ぐ太陽光線のパワーもさすがの富士山。熱射と紫外線が容赦なく肌に刺さります。でも湿度がとても低いのでカラッとしているんですよね。洗濯物がよく乾きそうですよ。



富士宮ルート近くの浅間大社まで来ました。こちらも開いていました。すぐ横の日本一高い郵便局は明日からの営業だそうです。



こちらが富士宮ルートのようです。



お鉢をしみじみと眺めます。いやーー、やっぱり凄い。スケールの大きさに圧倒されます。



すると足元にはイワヒバリくんが。すぐ目の前でさえずりはじめました。あまり人間を怖がらないですね。



では剣ヶ峰へ向かいましょう。剣ヶ峰はあの観測所レーダードームの敷地内にあります。



しかしココからがキツかった・・。なんてことない坂道のハズが、空気が薄いせいか辛いのキツイのって。我が家のみならず誰もがヒィヒィフゥフゥ、ちょっと歩いては立ち止まり、また歩いては立ち止まり。トレランの人もここでは辛そうに歩きます。それを見ていたハイカーさんが「ホラ、走る人もキツそうだ、イヒヒ」と嬉しそうでした。



9:30正真正銘、日本の最高峰、剣ヶ峰に着きました!日本にはもうここより高い所はありません!



山頂柱のすぐ横には三角点もありました。なんと二等なんですね。



そしてこの岩の・・



赤く印がつけられている場所が本当の最高地点なんだそうです。黄色いTシャツを着たお兄さんが教えてくれました。別のお兄さんが隣の岩を指さして「こっちの方が高く見える」と、しきりに言ってましたが・・。


その後は日本最高峰の風に吹かれながら、持ってきたオニギリを食べつつ大休憩です。



のんびり休憩の後は再び歩きます。せっかくなのでお鉢を一周してみる事にしました。



途中、富士山の山肌に深く切れ込んだ大きなキャニオン状の箇所が見えます。あれが位置的にも「大沢崩れ」なんだと思います。



山小屋のカラフルな布団が豪快に干されているのが見えます。



お鉢巡りのゴールが近づいてきました。



10:30久須志神社まで戻って来ました。狛犬さんの足元に数人の人が転がっています。富士山では単に寝ているのか高山でダウンしているのか、こんな具合に転がっている人がとても多いんです。他の山ではあまり見られない光景です。


名残惜しいけれど帰りましょう。

今度はいつ富士山山頂に来られるかな。



下山ラッシュも解消して、帰りはサクサク下れそうです。


・・・と思っていたら・・んん??何やら下から凄い行列が。



!!!



防衛大学の若者たちが続々と上って来ますよ。みんな「こんにちはーっ」「お疲れ様でーす」と元気な声であいさつをしていきます。



それにしてもみんな、わっかいなぁー。「いくつなの?」と聞くと「はいっ、18、19・・かなぁ?」との事。「富士山キツイよねぇ」と言うと「はい、キツイですぅ~~っっ」とのお返事。正直でよろしい。


それにしても迷彩服って暑そう。と言ったら生地を触らせてくれたんですが、重っくるしい見た目に反してかなり快適そうな速乾風の軽い素材でした。



本八合目からは下山専用道へ入ります。ここからは赤茶けた砂がモウモウと舞うザレた道をただひたすら下るのみ。汗でベトベトの顔に乾いた赤土が付着してテンプラ状態になります。


途中からガスが湧き始め景色は見えなくなりましたが、ヒンヤリとした空気に囲まれて気持ちよく歩く事ができました。それにしてもこの下山道は、あまりに単調で飽きるなぁ~。


やがてシェルターを越え、ダケカンバの緑にホッとできる場所で、何度目かの大休憩。持ってきたオニギリをいただきました。いったい何個オニギリを持ち歩いてんだ?ってハナシですが。とにかくいつもオニギリとパンは大量に持ち歩いています。


再び歩き始め


13:00六合目安全指導センター



そして・・


13:27五合目登山口まで戻って来ました。五合目レストハウス周辺は、相変わらず大人気です。


ここが五合目レストハウスの駐車場です。片隅にひっそりと待機していた自衛隊の1トン半救急車は、学生さん達が高山病でぶっ倒れた時に救護するためでしょーか?



去年に引き続き交通規制前に登った富士山ですが、今年は前半の体調不良や登山道の渋滞と、想定外な事もありましたが、まぁこれもいい思い出になったかな。なにより山頂部の天気が良く、剣ヶ峰とお鉢巡りができたのがよかったです。

富士山は登山であるとともに仲見世のように並ぶ小屋群を抜けて山頂の神社へ参る、夏の風物詩のようなワクワク感が本当に楽しいんです。「剣ヶ峰を踏んだので、もう行かなくていいかな」なんて気持ちもあるけれど、また来年、初夏の風が吹く頃にムズムズと登りたくなってくるかもしれません。もしかすると、そういう富士山遺伝子が日本人の中に組み込まれているのかな。