ベンガルのうた・内山眞理子 

内山眞理子の「ベンガルのうた」にようこそ。ここはエクタラ(歌びとバウルの一弦楽器)のひびく庭。どうぞ遊びにきてください。

ひとつのあいさつを タゴール

2018-07-17 | Weblog

 

 

ひとつのあいさつを

タゴール

 

 

ひとつのあいさつを 主よ

ひとつのあいさつを

わが身をつくして

あなたのこの世界に ひれふします。

スラボン月の雨雲が しずく重く低く

たれこめるごとく 頭をたれて

ひとつのあいさつを 主よ

ひとつのあいさつを

心おしみなく ささげさせたまえ

あなたの館のとびらに。

 

かずかずの音色が甘くうつくしく

まじりあい われをわすれる

ひとつのあいさつを 主よ

ひとつのあいさつを

あらゆる歌がさいごに

沈黙する大海原にゆきつくように。

カイラス山の湖をめざして飛ぶ渡り鳥に似て

昼と夜がそのためにめぐりますように

ひとつのあいさつを 主よ

ひとつのあいさつを

生(いのち)をつくして飛びつづけよう

大いなる彼岸をめざして。

 

 

ベンガル暦1317年スラボン月23日

 

内山眞理子試訳

 

 

 

訳者注:「あいさつ」と訳しましたが、原文は「ノモシュカル」です。

「ナマステ」のように、こんにちは、くらいの感じですね。

平易でしかも深い、それがタゴール詩の特徴といえるかもしれません。

 

スラボン月は雨季で、7月半ばから8月半ば。日付はベンガル暦で、西暦になおすと1910年8月上旬頃です。作詩場所について記載はありません。

 

 

 

 

 

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