タゴールの歌
祈りも歌も
祈りも歌も修行も礼拝も
みな放っておこう。
きみはなぜ神殿の片すみにいるの
ぴたりと扉をとじて。
ひとり暗がりで
いったいだれを拝んでいるの
見てごらんよ 目をあけて
そこに神はいない。
そのかたは固い土をたがやす農夫が
はたらく場所に行ってしまったよ
十二月かけて石をくだき
道をつくるその場所に。
灼熱のなか 雨のなか みんなの中にいて
そのかたの双手は土にまみれているよ
さあきれいな服を脱ぎすてて
土の上においでよ、そのかたのように。
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ベンガル暦1317年アシャル月27日
内山眞理子抄訳
タゴール著ベンガル語原典『ギーターンジャリ』119番です。
インドの人びとの心をあらわした詩として知られています。
ベンガル語『ギーターンジャリ』におさめられた詩歌には日付や場所が記されたものが多く、詩歌が毎日のように作られたことがわかります。