・リジンとスレオニンLysine and Threonine りじんとすれおにん
日本人の主食としているコメの栄養価は、精白米100gでエネルギー356kcal、水分15.5g、タンパク質6.1g、脂質0.9g、炭水化物77.1g、灰分0.4g、食物繊維0.5gを含みます。
精白米47gの米飯100gでの、タンパク質2.5%、炭水化物37.1%で、五訂日本食品成分表によるアミノ酸組成は、リジンに欠け(アミノ酸スコアで特にリジンが不足し65)ますが他の穀類と比較すると良好で日本人の貴重な蛋白源となっていました。
アミノ酸スコアは、精白米82、大豆100、小麦粉は50、動物性たんぱく質(鶏卵・牛乳・肉類・魚類)100となります。主食となる小麦粉より良好です。
2007年の改定により必須アミノ酸の必要量については1985 年に FAO/WHO/UNU が示したアミノ酸評点パターンをもとにしてきまし。1985 年報告は諸損失分について考慮されていなかったこともあり,2007 年に改訂がありました。
264-293_新カラーチャートアミノ酸成分表.indd (kyoiku-tosho.co.jp)
https://www.kyoiku-tosho.co.jp/data/correct/teisei_colorchart.pdf
成人のたんぱく質推定平均必要量は0.66/kg体重/日として計算。
必須アミノ酸
アミノ酸評点パターン(1985 年) mg/gN
イソロイシン180 ・ロイシン410・リシン(リジン)360・含硫アミノ酸(メチオニン+シスチン)160
・芳香族アミノ酸(フェニルアラニン+チロシン) 390 ・トレオニン(スレオニン)210・トリプトファン70 ・バリン220 ・ヒスチジン120
アミノ酸評点パターン(2007 年)18歳以上 mg/g たんぱく質
イソロイシン30 ・ロイシン59・リシン(リジン)45・含硫アミノ酸(メチオニン+シスチン)22
・芳香族アミノ酸(フェニルアラニン+チロシン) 38 ・トレオニン(スレオニン)23・トリプトファン6.0 ・バリン39 ・ヒスチジン15 合計277(FAO/WHO/UNU)
米に含むスレオニンが、今回はかろうじてクリアーでしたが、以前より不足気味のアミノ酸でしたので、リジンとスレオニンについて解説していくことといたしました。
◇リジンLysine りじん
1889年に牛乳のカゼインより発見した苦味のある塩基性アミノ酸で、タンパク質の分解で生じたギリシャ語で解く、離すlysisの意味から命名です。リシンともいい必須アミノ酸のひとつで動物性蛋白質に2~10%と多く含み植物性食品に少なく、とともに穀類中心の食生活で不足、欠乏しやすいアミノ酸です。集中力アップや疲労回復、成長促進、肝機能改善、免疫力の強化が期待できます。
サプリメントなど単体での過剰摂取では、腎機能障害を引き起こす恐れがあります。 1日あたり10gのリジンを5日間摂取で、胃痛、下痢肝機能障害などの副作用のあるとの報告があります。
必須アミノ酸で、たん白質の合成を促し、ホルモン、酵素、抗体の材料となります。受胎能力を高め、脂肪燃焼作用があります。普段の食生活では不足しやすいアミノ酸で欠乏すると成長障害を起こします。
100g当たりのリジンの量(g)
くろまぐろ(生)2.3g・きはだまぐろ(生)2.1g・かつお(生)2.1g・かつお節(加工品)6.6g・はも(生)2.3g・くじら(生)2.5g・しらす干し(半乾燥品)3.5g・すじこ2.4g・若鶏肉(むね・皮なし・生) 2.1g・ゼラチン3.6g・脱脂粉乳2.6g・大豆(乾)2.4g・きなこ(全粒大豆)2.2g・湯葉(干し)3.6g・凍り豆腐3.4g・小麦はいが2.2g・精白米1.5g・精白米めし0.084g・小麦粉薄力粉0.19g~強力粉0.26g・うどん・生0.13g・食パン0.17g・とうもろこし(コーンフレーク)0.067g
体内で作り出すことのできないアミノ酸です。主食となる米飯に動物性タンパク質を含む食品や豆類を組み合わせるなど、バランスの良い食事を心がけましょう。日本人はリジンは、大豆製品で補えていたと考えられます。ビタミン、ミネラル類の多い野菜も欠かせません。
◇スレオニンThreonine すれおにん
1935年に発見された人体を構成する、必須アミノ酸のひとつで動物性タンパク質、血液中のフィブリノーゲンFibrinogen(上澄み血漿中の繊維素)に多く含みます。トレオニンともいい植物性たん白質にも少ないながら含まれますが利用率も低い傾向です。わずかに甘味があります。以前は精白米に不足ぎみの必須アミノ酸としリジンとともにスレオニンの2種がアミノ酸スコアより知らていましたが現在ではかろうじて満たされているとの評価受けています。
スレオニンは、多くは動物性食品(卵、蓄肉、魚肉)と一緒に取ることによって補うことができます。1日の摂取必要量は、成人で体重1㎏あたり15㎎(750mg/50kg)としています。酵素活性部位の形成、成長促進、コラーゲンの生成、肝臓への脂肪の蓄積を抑制する作用を有します。
過剰に摂取した場合は、胃腸障害や頭痛になるといわれています。 しかし近年ではスレオニンは日常の食事では、過剰になる心配はないといわれます。スレオニンが不足すると、食欲不振や貧血、体重の減少などを引き起こします。
研究が進むにつれて、今までにいわれていたことが、正しいとは限らなくなっているようです。常に新しい情報を追いつづけなければならないことを痛感致しております。
ご愛読戴きましてありがとうございます。よりよい情報をお届けしてまいります。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます