温玉の記憶

日曜日までわりかし元気だったけど、月曜日に恐ろしい疲労がやってきて今日は一日布団虫だった。
晩御飯も夫に作ってもらって、明日のお弁当の食材も買ってきてもらってようやく疲労回復。
このまま風邪に以降しちゃうんじゃ？と思ったけど大丈夫そう。
今週まだまだあるのでホッとする。


さて話は変わるが、先日の文化庁派遣事業で仙台に行った時、仙台駅で現場に向かう車に向かいながら
なつこさんが「音響はダイチくんだよ」と言った。

ああ、ダイチくん。
去年も音響をやってくれた人だ。
確か、そうそう、芝居をやっている人で・・どんな人だったかな・・
と思うか思わないかの瞬間に車が空き、ダイチくんが出てきた。
顔をみた瞬間に、ブワーーーッと感情の記憶がよみがえってきて驚いた。

その感情の記憶というのが「帰りにみんなでご飯を食べに行ったのだが、何かそこで悔しい思いをした」というような漠然としたもので、人の顔見て思い出すのが「食べ物関係でなんだか悔しかった」てのは若干失礼な気もしたが、思い切ってダイチくんに「去年帰りに海鮮丼食べましたよね」と話を振ってみたら、ダイチくんは「あ！そうそう！そういえばそうでしたよね！あれ、なんか炊き込みご飯みたいの食べてませんでしたっけ」と言い、横にいた藤嶋くんが「えこさん、何かがついてこないとかって悔しがってて・・・あれ、確か温泉卵かなにか」と覚えていてくれてたことで、具体的な記憶がよみがえった。

私は海鮮丼か豚丼か炊き込みご飯かで散々迷った挙句に、温玉付きの豚丼を頼んだつもりが、温玉のない大盛り豚丼を頼んでしまっていたのだった。
そしてダイチくんが食べている海鮮丼が美味しそうだ、やっぱりこっちにすればよかったとか、豚丼に温玉がついてない、おかしいな、いや！これ違うじゃん！温玉ないやつじゃん！なんか安いと思った！！
とか大騒ぎをしたのである。

45もすぎて恥ずかしい限りだが、踊り終わった後というのは、何かタガというかストッパーが外れたようになっており「見境なくなっている」という状態なので普段は起こさないようなことを起こす。
もう一度いうが普段はこういう騒ぎは起こさない。普段は食べ物屋でぎゃあぎゃあ騒いで迷うこともないし、温玉があろうとなかろうとあまり気にしないし、間違えようとも「ああ、間違えたか」くらいで済ます。本当である。


言い訳がましくなってしまったが、まあそんなわけで、急に温玉の記憶が戻ってきた私は、ほとんど無意識に翌々日には温玉を作り、夕ご飯に出した。
去年の食べれなかった温玉が、今年になって私のところに舞い戻ってきたのである。

なんだかおかしい。

そしてもしもまたダイチくんに会うことがあったら「豚丼に温玉ついてこなかった」という気持ちを思い出すのだろう。それと同時に何かナサケナイような気持ちと「本当はそうじゃないんだ」と叫びたいような気持ちがないまぜになるに違いないと思うと、またダイチくんにどこかでばったり出会ってみたいと思うのである。